【健康食品の関係者必見?】食品表示に関する法規制の概要 [景品表示法/食品表示法/健康増進法]

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食品表示の法規制(健康食品)

今回は、身近で関心も高い「食品の表示」に関する法規制の概要を解説します。

1.食品表示に関する主な法律と概要

(1)景品表示法

景品表示法」(通称「景表法」、正式名称:「不当景品類及び不当表示防止法)は、不当表示や過大景品を迅速に処理するために制定された独占禁止法の特例法で、昭和37年5月15日制定された法律です。平成21年(2009)9月1日、消費者庁の発足に伴い、公正取引委員会から消費者庁に移管されました。

この法律には「不当表示の禁止」や「景品類の制限及び禁止」が規定されています。
この法律では一般消費者に誤って認識される表示として「優良誤認表示(商品・サービスを実際よりも優良にみせかける)」(第5条第1号)と「有利誤認表示(販売価格などの取引条件を実際よりも安く感じさせるなど)」(第5条第2号)が挙げられます。
 

景品表示法の「表示」とは?

商品名を広告等において表示しない場合であっても、広告等における説明などによって特定の商品に誘引するような事情が認められるときは、「表示」に該当します。
例えば、書籍や冊子、ウェブサイト等の形態をとっている場合であっても、その説明の付近にその食品の販売業者の連絡先やウェブサイトへのリンクを一般消費者が容易に認知できる形で記載しているようなときは「表示」に該当します。(2条第4項)
 

(2)食品表示法

食品表示法」は、「JAS法」「食品衛生法」「健康増進法」の3法の食品表示に関する規定を整理、統合したもので、2015年4月1日に施行された法律です。
2020年の3月末に経過措置期間が終了し、2020年4月1日以降、新しい「食品表示法」に則って新たな食品表示制度が完全施行となり、栄養成分表示が義務化されました。懲役や罰金といった罰則も科されます。
 

食品表示法と旧法との関係
[図1. 旧食品衛生法、旧健康増進法及び旧JAS法に基づく各表示基準と食品表示法の関係]
(※出所:東京都福祉保健局HPより)

 

食品表示基準に規定される栄養成分のうち、たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムの量及び熱量は、必ず表示する必要があります。
また、ナトリウムについて食塩相当量で表示することや、栄養成分の量及び熱量について「○○含有」「低○○」といった強調表示を行う場合の基準などについても定められています。
 

食品表示法の主なポイントは、以下の点になります。

  • アレルギー表示に係るルールの改善
  • 栄養成分表示の義務化
  • 新たな機能性表示制度の創設
  • 表示レイアウトの改善

 
また、実務的に特に重要と考えらえれる条項としては、4条・5条が挙げられます。
実務に携わる方々は、資料や解説書などを十分に確認しておきましょう。

  • 食品表示基準(4条)
  • ① 名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量及び熱量、 原産地その他食品関連事業者等が表示すべき事項
    ② 前号に掲げる事項を表示する際に食品関連事業者等が遵守すべき事項

  • 食品表示基準の遵守(5条)

 

(3)健康増進法

健康増進法では、誇大表示の禁止について以下のように定めています。

何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(以下「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。(65条1項)
 

この条項の趣旨については、千葉県のサイト「健康食品と表示について」というページにおいて、以下のような説明がありますので、参考にして下さい。

“食品として販売されているものの中には、必ずしも実証されていない健康の保持・増進効果について、虚偽又は誇大に表示しているものが見受けられ、さらに長期的かつ継続的な摂取が推奨される傾向にあります。
このような状況下で、著しく事実に相違又は人を誤認させる広告が取り締まられることなく放置された場合、必要な診療機会を逸する等、健康に重大な支障を起こす可能性があることから、健康の保持増進の効果等に関して、虚偽又は誇大な広告を禁止しています。”

 

対象となる食品は?

食品として販売される無承認無許可医薬品や、生鮮食品等明らかに医薬品医療機器等法(薬機法、旧薬事法)の適用対象とならない食品についても規制の対象となります。
 

誇大表示の禁止に違反する表示を行った場合は?

誇大表示の規定に違反した場合は、以下の勧告・罰則等の対象となります。

① 表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告(66条1項)
② 勧告に係る措置をとらなかった場合、その勧告に係る措置をとるべき旨の命令(66条2項)
③ 命令に従わなかった場合、罰則を適用 6月以下の懲役または100万円以下の罰金(71条)
 

「健康保持増進効果等」に該当する表示例

健康増進法では、次のような事項について、虚偽誇大表示を行うことは禁止されています。
虚偽誇大であるかを問わず、医薬品医療機器等法(薬機法)や景品表示法上も問題となる場合があるので、詳細は各法令をご確認ください。

健康保持増進効果等 表示例
① 疾病の治療又は予防を目的とする効果 『糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に』『末期がんが治る』『虫歯にならない』『肥満の解消』 等
② 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果 『疲労回復』『強精(強性)強壮』『体力増強』『食欲増進』『老化防止』『免疫機能の向上』 等
③ 特定の保健の用途に適する旨の効果 『本品は、おなかの調子を整えます』『この製品は、血圧が高めの方に適する』 等
④ 栄養成分の効果 『カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です』 等
⑤ 人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことに資する効果 『皮膚にうるおいを与えます』『美しい理想の体形に』 等
⑥ 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの 『ほね元気』、『延命○○』、『快便食品(特許第○○号)』、『血糖下降茶』、『血液サラサラ』 等
⑦ 含有成分の表示及び説明により表示するもの 『ダイエットの効果で知られる○○をxxmg配合』 等
⑧ 起源、由来等の説明により表示するもの 『○○という古い自然科学書をみるとxxは肥満を防止し消化を助けるとある。こうした経験が昔から伝えられていたが故に食膳に必ず備えられたものである。』 等
⑨ 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより表示するもの 『健康 太郎(○○県△△歳)「xxを3か月間毎朝続けて食べたら9kgやせました。」』 等
⑩ 行政機関や研究機関等により、効果等に関して認められている旨を表示するもの 『xx国政府認可○○食品』『△△研究所推薦○○食品』 等

(※出所:東京都福祉保健局「食品衛生の窓」より)

 

2.健康食品と表示

食品の中でも、いわゆる健康食品については、以下の制度について確認しておく必要があります。

(1)国の許可が必要な表示制度

① 特定保健用(トクホ)

表示している効果について、有効性や安全性が科学的に証明されていることを国が食品ごとに審査して表示許可します。(健康増進法第43条第1項)
 

② 特別用途食品

発育、健康の保持・回復などの特別の用途に適することを表示する食品。国が食品ごとに審査して表示許可します。(健康増進法第43条第1項)
 

(2)国への届出が必要な表示制度

③ 機能性表示食品

機能性関与成分によって特定の保健の目的が期待できる旨を科学的根拠に基づき表示する食品を指します。
事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前(60日前まで)に国へ届出る必要があります。(機能性表示食品の届出等に関するガイドライン)
 

《機能性表示食品の制度の特徴》
  1. 疾病に罹患していない方(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している方を含む。)及び授乳婦を除く。)を対象にした食品です。
  2. 生鮮食品を含め、すべての食品(一部除く。)が対象となっています。
  3. 安全性及び機能性の根拠に関する情報、健康被害の情報収集体制など必要な事項が、商品の販売前に、事業者より消費者庁長官に届け出られます。
  4. 特定保健用食品とは異なり、国が安全性と機能性の審査を行っていません。
  5. 届け出られた情報は消費者庁のウェブサイトで公開されます。

詳細は、消費者庁の資料 『機能性表示食品』って何? をご参照ください。
 

(3)国の定めた基準に従い表示する(できる)制度

④ 栄養機能食品

特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものです。
ビタミン(13種類)やミネラル(6種類)、n-3系脂肪酸の機能を表示します。
対象食品は消費者に販売される容器包装に入れられた一般用加工食品及び一般用生鮮食品です。

一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が、定められた上・下限値の範囲内にある必要があるほか、基準で定められた当該栄養成分の機能だけでなく注意喚起表示等も表示する必要があります(食品表示基準第7条及び第21条)。
個別の許可申請を行う必要がない、自己認証制度です。
 

⑤ 栄養成分表示

エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量などの栄養成分の含有量を表示します。
容器包装に入れられた一般用加工食品及び添加物には、食品表示基準に基づき、栄養成分の量及び熱量の表示(栄養成分表示)が義務付けられました。(2020年4月1日からの新たな食品表示制度により義務化)

※食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドラインはこちら
<事業者向け>食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン 第3版」(令和2年7月)
 

(4)景品表⽰法及び健康増進法による健康⾷品の虚偽誇⼤表⽰等の禁⽌

「花粉症改善」「糖尿病予防」などの疾病の治療又は予防を目的とする効果や「疲労回復」などの身体の組織機能の増強、増進を主たる目的とする効果、特定の保健の用途に適する旨の効果などの表示はできないこととなっています。(ただし、国による表示許可食品は除きます)
なお、これらの表示内容は、医薬品医療機器等法(薬機法)にも抵触する恐れがあります。
 

(5)その他

消費者庁の「⽣鮮の機能性表⽰⾷品の広告等に関するQ&A」という資料に景品表⽰法⼜は健康増進法上問題となるおそれがある事例が示されていますので、ご参照ください。

 
(日本アイアール株式会社 A・A)
 


<参考資料>


 

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