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【中国特許分析】人工知能技術(AI)に関する中国特許出願状況は?

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AIに関する中国特許調査

人工知能技術」(AI, artificial intelligence)とは、デジタルコンピューターまたはデジタルコンピューター制御の道具を使用して、人間の知能をシミュレート、拡張し、環境を認識し、知識を獲得し、知識を使用して最良の結果を得る理論、方法、技術、およびアプリケーションシステムです。

人工知能はデジタル時代にますます重要な役割を果たしており、その技術は、交通、医療、教育、物流、高齢者介護、文化、スポーツなど、生活のあらゆる側面に広く浸透しており、伝統的な生活様式を大きく変えています。未来をリードする戦略技術として、人工知能は、世界的に大きな期待がされています。

今回は、中国における人工知能分野の現在の技術開発と研究動向を把握するために、中国の主要な特許データベースの一つである“Incopat”を利用して、人工知能技術に関する中国特許の状況を調べてみました。

1.AI技術の世界各国(地域)への出願動向

人工知能技術に関する特許の中国(CN)、米国(US)、日本(JP)、韓国(KR)、ヨーロッパ(EP)、PCT出願(WO)への公開件数推移および割合を図1-1、図1-2、図1-3に示しました(2001~2020年)。

人工知能技術に関する世界特許出願の公開公報件数推移
【図1-1 人工知能技術に関する世界特許出願の公開公報件数推移】

 

出願先国別に見ると、出願先では米国(US)が一番多くて35%、次いで中国(CN)31%、PCT出願(WO)8%、日本(JP)6%、韓国(KR)6%、欧州(EP)5%、となっています。

人工知能技術に関する出願先国別公開公報件数割合
【図1-2 人工知能技術に関する出願先国別公開公報件数割合】

 

また、PCT出願の中では米国籍が一番多く、半分以上を占めています。

[PCT出願]出願人国籍別公開公報件数割合
【図1-3 [PCT出願]出願人国籍別公開公報件数割合】

 

世界各国への公開件数推移を見ると、2010年までは各国への特許出願公開件数はほぼ横ばい状態ですが、2010年以降から年々増加しており、特に中国での成長率が大幅に加速しています
2016年から、中国特許の出願は爆発期に入り、年間1万件以上の特許出願が公開されています。
これは、人工知能が明確な研究開発のホットスポットになり、中国国内の大きな注目を集めており、主要な技術に大きな進歩が見られることを示しています。
なお、2017年7月、中国国務院は、オープンで協調的な人工知能技術革新システムを構築し、国家競争力の全体的な上昇と飛躍的な発展を推進するために、「新世代人工知能開発計画」を発表しました。これも中国特許の公開件数増加に繋がる一因となったようです。
 

2.AI技術に関する最近10年の中国特許・実用新案の出願状況

最近10年の出願状況(図2)を見ると、特許と実用新案とも年々に拡大しています。
AI関連技術はソフトウェアに関する発明が殆どと考えられるため、相対的に実用新案は少なく、大半が特許となっています。

最近10年間人工知能技術に関する中国出願の状況(公開件数推移)
【図2 最近10年間人工知能技術に関する中国出願の状況(公開件数推移)】

 

3.AI技術に関する中国特許出願のIPC分類状況

人工知能分野の主要な技術テーマと研究開発の焦点を把握するために、この分野の中国特許IPC大分類(サブクラス単位)の統計分析を見てみましょう。

付与件数が多いIPC分類とそれに対応する技術トピックを表1に示しました。

IPC分類 定義
G06F 電気的デジタルデータ処理
G06F3 計算機で処理しうる形式にデータを変換するための入力装置;処理ユニットから出力ユニットへデータを転送するための出力装置,例.インタフェース装置
G06F9 プログラム制御のための装置,例.制御装置
G06F16 情報検索;そのためのデータベース構造;そのためのファイルシステム構造
G06F17 特定の機能に特に適合したデジタル計算またはデータ処理の装置または方法
G06K データの認識;データの表示;記録担体;記録担体の取扱い
G06K9 印刷されたまたは手書きされた文字を読取るまたは認識するため,またはパターン,例.指紋,を認識するための方法または装置
H04L デジタル情報の伝送,例.電信通信
H04L12 データ交換ネットワーク(メモリ,入力/出力装置または中央処理装置間の相互接続,またはそれらの間の情報または他の信号の転送)
H04L29 グループH04L1/00~H04L27/00の単一のグループに包含されない配置,装置,回路または方式
G06Q 管理目的,商用目的,金融目的,経営目的,監督目的または予測目的に特に適合したデータ処理システムまたは方法
G06Q10 管理;経営
G06Q50 特定の業種に特に適合したシステムまたは方法,例.公益事業または観光業
G06N 特定の計算モデルに基づくコンピュータシステム
G06N3 生物学的モデルに基づくコンピュータシステム
H04N 画像通信,例.テレビジョン
G06T イメージデータ処理または発生一般
G06T7 イメージ分析
H04W 無線通信ネットワーク
G10L 音声の分析または合成;音声認識;音声処理;音声または音響の符号化と復号化
G07C 時間または出席者の登録;機械の稼働の登録または表示;乱数の発生;投票またはくじ引き装置;他の箇所に分類されないチェックのための配列,方式または装置

【表1 IPC分類(サブクラス)説明】

 

図3-1に人工知能技術に関する中国特許出願のIPC分類状況を示しました(公開年ベース)。
人工知能技術は、主に5つのIPC分類(サブクラス)、G06F(計算、デジタルデータ処理)、G06K(データ認識)、H04L(デジタル情報伝送、通信)、G06Q(データ処理システム)、G06N(計算モデルに基づくシステム)に集中していることがわかります。

 

中国特許出願のIPC大分類別公開件数
【図3-1 中国特許出願のIPC大分類(サブクラス)別の公開件数】

 

図3-2を見ると、2016年以降、G06F、G06K、G06Nの3分類に対応する技術の特許出願公開数が大幅に増加しているようです。G06Q(データ処理システム)、G06T(イメージデータ処理)、H04L(デジタル情報伝送、通信)、H04N(画像通信)などと比べても、この3分類の増加ペースは急激です。
 

IPC大分類別公開件数推移
【図3-2 IPC大分類(サブクラス)別公開件数推移】

 

下層IPC分類別の公開件数推移
【図3-3 下層IPC分類別の公開件数推移】

 

IPC分類のメイングループ単位での件数推移

より詳細に、IPC分類のメイングループ単位で、特許出願公開件数推移も見てみました(図3-3)。

2016年以降、G06K9(データ認識、データ表現、記録)、G06F16(情報検索、データベース構造)、およびG06N3(生物学的モデルベースのコンピュータシステム)は、大幅な増加を示しています。
それらの自然言語処理、深層学習に関する技術は、科学的研究の観点からでも市場の観点からも、人工知能技術の分野における研究の焦点であることがわかります。

さらに、G06F3(データ入出力装置)の音声認識技術、G06T7(画像分析)のコンピュータービジョン技術、H04L29(デジタル情報伝送装置システム)、H04L12(データ交換ネットワーク)、G06F9(プログラム制御装置)、G06Q10(行政管理に関連するデジタルシステム)、G06Q50(ビジネスインテリジェンスシステム)などのクラウドコンピューティングの分野での特許出願もわずかな増加傾向を示しました。
上記の技術は、近年の人工知能技術における大きな注目もされているであることがわかります。
 

4.中国特許において注目されているAI関連の技術効果

人工知能技術に関する中国特許の中には、具体的な技術効果や課題を見てみましょう。
incoPatによる機械的データベースから抽出したキーワードに基づく統計結果を図4に示しました。
技術効果や課題解決について、効率性向上、複雑性低減、利便性向上、速度向上、精度向上、コスト削減、安定性向上の研究に注力していることが分かります。

技術効果ごと公開件数推移
【図4 技術効果ごと公開件数推移】

 

5.AI技術に関する中国特許の出願人分析

(1)出願人の国別割合

人工知能に関する出願人国籍別(図5-1)を見ると、中国特許の出願人のうち、中国籍の出願人が全体の8割以上(84.90%)を占めています。

なお、外国籍出願人の中では、アメリカ籍の出願人が一番多く7.55%で、次は欧州籍の出願人が3.43%、日本籍の出願人が2.20%、韓国籍の出願人が1.21%となっています。
外国籍の出願人は全体の15%に過ぎず、特に近年では中国国内企業が人工知能の分野で特許出願を大幅に増やしています。

人工知能技術に関する中国特許出願人国別割合
【図5  AI技術に関する中国特許出願人国別割合】

 

(2)AI技術の中国特許の出願人ランキング

出願人別出願件数上位ランキングを表2に示しました。
出願人の国籍を見ると、中国国内企業が一番多くて7社であり、米国籍が2者、韓国籍の企業が1社となっています。
上位10位の出願人はすべて企業出願人であり、現在の国内の人工知能技術が商業的応用に傾いていることを示しており、企業が中国の人工知能の知的財産権の主力であることがわかります。

順位 出願人 件数 国別
1位 ファーウェイ・テクノロジーズ 5459 中国
2位 国家電網公司 5245 中国
3位 テンセント(Tencent) 5028 中国
4位 バイドゥ 4865 中国
5位 インテル(Intel Corporation) 4124 米国
6位 中興通訊(ZTE Corporation) 4103 中国
7位 アリババグループ
(Alibaba Group Holding Limited)
3225 中国
8位 サムスン電子(Samsung Electronics Co., Ltd.) 3192 韓国
9位 平安技術(深セン)有限公司 2930 中国
10位 アイビーエム(IBM) 2926 米国

【表2 AI技術に関する中国特許出願人上位ランキング】

 

6.AI関連の中国現地主要企業の概要と特許出願動向分析

人工知能技術に関する中国特許出願人ランキング(表2)をみると、上位10位にランクインした中国現地企業は、ファーウェイ・テクノロジーズ国家電網公司テンセントバイドゥ中興通訊アリババグループ、および平安技術(深セン)有限公司の7社となっています。

この7社について、企業の概要と人工知能技術に関する中国特許出願状況をご紹介します。
 

(1)ファーウェイ・テクノロジーズ

ファーウェイ・テクノロジーズ(http://www.huawei.com/、略称:ファーウェイ)は、1987年に中国深圳市に本社を置く、通信機器を提供し、スマートフォンなどの家電製品を販売するハイテク民営企業です。

現在、ファーウェイは主にICT(情報技術および通信技術)インフラストラクチャとスマート端末の製品およびサービスを提供しており、オペレータ事業、消費者事業、企業事業の3つの主要事業があり、モバイル、コアネットワーク、固定ネットワーク、テレコム付加価値サービス、データ通信、ソフトウェア、チップ、OSSサーバー、ストレージとネットワークセキュリティ、スマートフォン、ノートブック、タブレット、データカード、ゲートウェイ、モデム、セットトップボックス、スマートウェア、ターミナルクラウドサービス、クラウド製品などをカバーしています。また、同社の主な技術分野は、モバイル通信関連技術、人工知能関連技術、スマートフォン関連技術、GPU Turbo、アークコンパイラ、センサー、シチュエーションインテリジェンス、モノのインターネット、生物学的およびオブジェクト認識、仮想現実、拡張現実、3Dスキャン、エネルギーイノベーション、プライバシーセキュリティ技術などとされています。

2017年、ファーウェイは人工知能チップを搭載した最初の携帯電話「HUAWEI Mate10」を発売し、EI(Enterprise Intelspangence)エンタープライズインテリジェンスを正式に発表しました。ファーウェイの長年にわたる人工知能の分野での蓄積されたテクノロジーとベストプラクティスをエンタープライズアプリケーションシナリオと組み合わせることで、お客様にワンストップの人工知能プラットフォームベースのサービスを提供します。
2018年は、全シナリオの人工知能をカバーする世界初のAscendシリーズチップと、Ascendシリーズチップをベースにした製品とクラウドサービスを発売しました。同年10月10日、Huaweiは上海で開催されたFull Connect ConferenceでAI戦略とフルスタックフルシナリオAIソリューションを発表し、フルクラウドネットワークに基づいてフルスタックフルシナリオAI機能を導入し、自動運転ネットワークを作成しました。また、新世代の人工知能携帯電話チップ「キリン980」を発売開始しました。
2019年1月、ファーウェイは、最適化された分岐予測アルゴリズム、増加したOPコンピューティング計画、および改善されたメモリサブシステムアーキテクチャを使用して、サーバー用に特別に設計された「Kunpeng920」コンピューティングチップを発表しました。同年8月には、自社開発AIチップ「Shengteng910」が正式に発表されました。また、人工知能ネイティブ(AI-Native)データベース「GaussDB」と業界最高のパフォーマンスの分散ストレージ「FusionStorage8.0」も発表しました。

なお、ファーウェイは、初めてコンピューティング戦略を発表し、コンピューティング業界における優れたナビゲーションの新時代が始まり、「Shengteng」および「Kunpeng」チップシリーズ製品に基づいて、世界最速の人工知能トレーニングクラスター「Atlas900」、人工知能トレーニングサーバー「Atlas 800」、インテリジェントスモールステーション「Atlas 500」、人工知能推論およびトレーニングカード「Atlas 300」、および人工知能加速モジュール「Atlas 200」を発売開始しました。

人工知能技術に関するファーウェイの中国特許出願公開状況
【図6-1-1 人工知能技術に関するファーウェイの中国特許出願公開状況】

 
 

人工知能技術に関するファーウェイの特許出願IPC分類別公開状況
【図6-1-2 人工知能技術に関するファーウェイの特許出願IPC分類別公開状況】

 
 

2020年12月の時点で、ファーウェイの人工知能技術に関する中国特許出願公開は5459件あり、有効特許が2578件で、審査中が1317件、失効が1564件(拒絶455件、出願公開後の取下げ286件、特許料未納793件、存続期間満了23件、放棄7件)となっています。また、同社は上述の通り、中国国内での出願以外に、PCT出願(WO)2850件、米国出願(US)2770件、欧州出願(EP)1274件、韓国出願(KR)240件、日本出願(JP)142件、香港出願(HK)9件、台湾出願(TW)7件も有しています。

なお、図6-1-2から見ると、ファーウェイの人工知能技術開発は、主にG06F3(データ入出力装置)の音声認識技術、H04L29(デジタル情報伝送装置システム)およびH04L12(データ交換ネットワーク)のクラウドコンピューティング技術に注力していることがわかります。人工知能領域で高い技術競争力を有し、この分野での今後の展望も期待されています。
 

(2)国家電網公司

国家電網公司(http://www.sgcc.com.cn/、ステートグリッドとも呼ばれる)は、2002年12月29日に設立され、主に送電と電力供給に従事する中国の中央政府が直接管掌する中央企業です。世界最大の電力会社であり、AIなど先端技術へのR&D投資に旺盛な企業でもあり、2018年のフォーチュンの世界企業500社売上高番付で2位になっています。

2016年に、国家電網の直下にある科学研究ユニットである「グローバルエネルギーインターネット総合研究所」は、送電線検査画像のインテリジェント分析の分野で人工知能画像認識技術の技術研究を組織および実施しました。同時に、送電と変換のための人工知能クラウドサービスプラットフォームの開発を開始しました。同年10月、国家電網は、電力人工知能技術の研究を継続的に強化するための「人工知能特別開発計画」を発表しました。

2018年に、国家電網は、電力システム人工知能合同研究中国の電力システム人工知能合同研究室を設立しました。同時に、国家電網人工知能「2つのデータベースと1つのプラットフォーム」の本社レベルのトレーニングプラットフォームが構築され、送電線の欠陥識別技術に飛躍的な進歩が見られました。
2019年2月に、送電線検査画像のインテリジェント分析クラウドサービスシステムが完成し、同年12月に同社のシステムに開放され、迅速かつ効率的にサービスを提供する人工知能最前線チームを実現しました。
2019年10月13日、電力人工知能技術成果推進会議で、北京中飛艾維航空技術有限公司、北京天下宏圖空間情報技術有限公司とグローバルエネルギーインターネット総合研究所は、電力人工知能技術成果の変換合意に署名しました。現在、グローバルエネルギーインターネット総合研究所は、電力人工知能技術実績の変換において、31件の技術実績変換契約を締結しており、技術実績譲受人は、関連技術を使用して、3年間で約1億元の生産額を達成しました。
2020年11月、中国電力開発促進協会と国家電網公司ビッグデータセンターが共催する「2020人工知能と電力ビッグデータフォーラム」が北京で開催されました。
国家電網は、また、ビデオ品質インテリジェント検出システム、運用検査データ前処理ツール、変圧器リスク早期警告分析システム、配電ネットワークステーションエリア評価および計画分析システムなど、さまざまな人工知能製品も開発しました。

2020年まで、同社は電力人工知能技術に関する中国特許出願公開は5245件あり、有効特許が1407件、審査中が2621件、失効が1217件(拒絶790件、出願公開後の取下げ262件、放棄11件、特許料未納154件)、未確認1件となっています。また、中国国内での出願以外に、PCT出願(WO)33件があります。

人工知能技術に関する国家電網公司の中国特許出願公開状況
【図6-2 人工知能技術に関する国家電網公司の中国特許出願公開状況】

 

(3)テンセント

テンセント(http://www.tencent.com/、Tencent)は、1998年11月に設立され、深圳市に本拠を置く持株会社で、インターネット関連の子会社を通してソーシャル・ネットワーキング・サービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供している中国本土で最大のインターネット関連企業です。テンセントの事業は、ソーシャル、金融、情報、ツール、プラットフォームなどの分野に拡大しており、その子会社は、さまざまなグローバルなインターネット関連のサービスと製品、エンターテインメント、人工知能、テクノロジーなどを専門としています。

テンセントは、多くの強力な人工知能技術研究所、例えば、Tencent AI Lab(人工知能の基礎研究に焦点を当てる)、Youtu Lab(画像認識に焦点を当てる)、WeChat Artificial Intelligence Lab(音声認識、自然音声処理、データマイニング、機械学習に焦点を当てる)などを設立し、Tencent Cloudの外部サービスをサポートしています。それらの人工知能技術研究所の基礎研究方向には、コンテンツAI、ゲームAI、ソーシャルAI、プラットフォームツールAIの4つのカテゴリがあり、コンピュータービジョン、音声認識、自然言語処理、機械学習などをカバーしています。現在、Tencent Cloud AIは、インテリジェントな製造、政府業務、人々の生活、医療、教育、金融、企業、文化観光などの分野で広く使用されており、WeChat、QQ、Daily Express、QQMusicなどの数百のTencent製品でも使用されています。
2017年11月、テンセントは、医用画像処理のための全国的な人工知能オープンイノベーションプラットフォームの構築を着手しました。
2020年7月14日、International Data Corporation(IDC)が発表した最新の「中国人工知能クラウドサービス市場調査レポート(2019)」は、Tencent Cloud AIパブリッククラウドは市場シェアで中国のトップ3に入り、顔認識APIの呼び出し数は中国で1位になっています。

なお、Gartnerが初めて公式に発表した「Magic Quadrant for Cloud AI Developer Services」の調査レポートでは、Tencent Cloudが、Gartner Cloud AI Developer Servicesに選ばれた中国で唯一のクラウドベンダーになりました。これは、AI開発者サービスの分野で、Tencent Cloudが、テクノロジー、製品、エコロジーにおける長年にわたる広範な展開により、中国のクラウドベンダーのリーダーになり、徐々に国際的なクラウドベンダー間の強力な競争相手になったことを示しています。

テンセントは現在、AI技術および製品の分野で強力な能力を蓄積しており、世界中で6,500を超えるAIに関する特許を出願し、800本の以上の論文が国際的なAI会議に出されています。特許出願のうち、中国特許出願公開は5028件あり、有効特許が1497件、審査中が3321件、失効が210件(拒絶205件、出願公開後の取下げ4件、特許料未納1件)となっています。中国出願以外に、PCT出願(WO)834件、米国出願(US)637件、香港出願(HK)156件、欧州出願(EP)105件、韓国出願(KR)86件、インド出願(IN)72件、台湾出願(TW)34件を持っています。

人工知能技術に関するテンセント公司の中国特許出願公開状況
【図6-3 人工知能技術に関するテンセント公司の中国特許出願公開状況】

 

(4)バイドゥ

バイドゥ(http://home.baidu.com/、Baidu)は、2001年1月1日に北京で設立され、主に検索エンジンサービスに従事する中国のインターネット企業であり、全世界の検索エンジン市場において、Googleに次いで第2位で、「中国のGoogle」とも呼ばれています。同社の主な事業は、検索とナビゲーション、検索コミュニティ、モバイルインターネットとアプリケーション、人工知能、ウェブサイトと企業サービス、通販とオンラインエンターテインメント、およびソフトウェアなどとされています。

バイドゥは、検索エンジンに基づいて、音声、画像、知識グラフ、自然言語処理などの人工知能技術を進化させてきました。過去10年間、バイドゥはディープラーニング、会話型人工知能オペレーティングシステム、自動運転、AIチップなどの最先端分野に投資しており、強力なインターネット基盤を持つ大手AI企業となっています。

2016年9月、バイドゥは、人工知能、AR、VR、その他の技術革新分野に焦点を当て、Baidu Venturesの設立を発表しました。同年、バイドゥの人工知能の成果である「Baidu Brain」を初めて公開しました。「Baidu Brain」は、バイドゥの一般的なAI機能の集大成であり、音声、画像、自然言語理解、ユーザーポートレートの4つのコア機能があり、270項を超えるAI機能を開放し、1日あたりの通話量は1兆を超えています。
2017年4月、バイドゥはApollo自動運転プラットフォームを立ち上げ、自動車業界とパートナーにオープンで完全かつ安全なソフトウェアプラットフォームを提供しました。これは、世界規模での自動運転技術の最初のシステムレベルの開放です。7月、バイドゥは世界初のAI開発者会議を開催し、人工知能オープンプラットフォームの全体的な戦略、テクノロジー、ソリューションを初めて発表しました。
2018年7月、バイドゥがスマートアップルを正式に発表し、世界初のL4量産自動運転バス「Apollon」が組立ラインから登場しました。9月、「Baidu Cloud Intelligence Summit」が上海で開催され、Baidu Cloudは、業界で唯一の「AI to B」プラットフォームである「ABC3.0」と、クラウドファーミング、クラウド製造、クラウドサービスのプラットフォームの3つの主要な業界エンパワーメントプラットフォームを発表しました。10月、バイドゥはAIに関するパートナーシップの最初の中国企業メンバーになり、AIグローバル業界ルールの策定に参加しました。
2019年7月、「Duer OS 5.0」、「Apollo 5.0」、「Baidu Brain5.0」が発表されました。11月、IDCは2019年の中国AIクラウドサービス市場ベンダー評価を発表し、Baidu AI Cloudは中国で1位にランク付けされました。12月には、バイドゥが独自に開発した中国初のクラウドベースのフル機能AIチップ「Kunlun」のクラウドサーバーが正式に発売されました。
2020年1月、バイドゥはYuxin Technologyに戦略的に投資し、「Cloud + AI」が金融業界で大規模に実装されました。
クラウド、AI、インターネットの統合開発という一般的な傾向の下で、バイドゥは、モバイルエコロジー、スマートクラウド、スマートトランスポーテーション、スマートドライビング、および人工知能におけるよりフロンティアレイアウトの新しいマルチエンジン成長パターンを形成し、将来の発展をサポートするための強力な潜在エネルギーを蓄積しています。

バイドゥの人工知能に関する公開された中国特許出願は4865件あり、有効特許が962件、審査中が3591件、失効が312件(拒絶308件、出願公開後の取下げ4件)となっています。また、米国出願(US)506件、PCT出願(WO)113件、欧州出願(EP)87件、韓国出願(KR)52件、日本出願(JP)17件、ドイツ出願(DE)1件、台湾出願(TW)1件、イスラエル出願(IL)1件、スウェーデン出願(SE)1件もしています。過去3年間で、バイドゥの中国における人工知能の特許出願公開数は大幅に増加しており、2020年には中国国内で一番多くなっています。同年、バイドゥのコアR&D費用が収益の21.4%を占め、R&D投資の集中度は中国の大手テクノロジーインターネット企業の最前線にあり、人工知能分野での今後の展望も大きな期待されています。

人工知能技術に関するバイドゥの中国特許出願公開状況
【図6-4 人工知能技術に関するバイドゥの中国特許出願公開状況】

 

(5)中興通訊

中興通訊(http://www.zte.com.cn/、ZTE)は、1985年に「深セン中興半導体有限公司」として設立され、通信設備および通信端末の開発および生産を事業とする会社です。
ZTEは、オペレーターネットワーク(54%)、端末(29%)、および電気通信(17%)の3つの主要な事業を運営しています。コア製品は、2G/3G/4G/5Gワイヤレス基地局とコアネットワーク、IMS、固定ネットワークアクセスとベアラ、光ネットワーク、チップ、ハイエンドルーター、スマートスイッチ、政府および企業ネットワーク、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、データセンター、通信ソフトウェア、モバイル電話およびホームターミナル、スマートシティ、ICTビジネス、および航空、鉄道、都市鉄道のトランジット信号伝送装置です。ZTEは主に自社ブランドで製品を販売していますが、OEM生産も行っています。
ZTEは、複数の業界における人工知能技術の研究と革新を非常に重要視しており、人工知能の基礎技術の分野での投資を長年続けており、電気通信、スマート道路交通、スマートファイナンス、ロボットモーションインテリジェンスなどの多くの分野でアプリケーションの革新と実践を行ってきました。

ZTEは、自社開発の「uSmart Insight」プラットフォームに依存して、「uSmart Insight」人工知能ソリューションを発表しました。それは、グローバルな通信事業者と企業顧客に高度なデータ管理とインテリジェントなアプリケーション機能を提供し、グローバルな通信事業者と企業顧客の急速なイノベーション、デジタルトランスフォーメーション、インテリジェントな変革のニーズに対応します。

ZTEの人工知能技術に関する公開された中国特許出願は4103件あり、有効特許が1305件、審査中が1016件、失効が1782件(拒絶579件、出願公開後の取下げ504件、放棄5件、特許料未納678件)となっています。また、中国国内での出願以外に、PCT出願(WO)1191件、米国出願(US)373件、欧州出願(EP)331件、韓国出願(KR)50件、インド出願(IN)50件、日本出願(JP)25件を持っています。

人工知能技術に関する中興通訊の中国特許出願公開状況
【図6-5 人工知能技術に関する中興通訊の中国特許出願公開状況】

 

(6)アリババグループ

アリババグループ(http://www.alibabagroup.com/、Alibaba Group)は、1999年に設立され、浙江省杭州市に本社を置く持株会社で、企業間電子商取引(B2B)のオンライン・マーケットを運営しており、情報技術(IT)などを行う会社です。サービス範囲は、B2B取引、オンライン小売、ショッピング検索エンジン、サードパーティの支払い、クラウドコンピューティングサービスをカバーしています。
アリババグループの事業の一つであるAlibaba Cloud(www.aliyun.com)は2009年9月に設立され、拡張性の高いクラウドコンピューティングおよびデータ管理プラットフォームの開発に取り組んでおり、アリババグループのオンラインおよびモバイルビジネスエコシステムの参加者をサポートするクラウドコンピューティングサービスの完全なセットを提供しています。

2016年に、アリババ人工知能研究所(Alibaba AI Labs)が設立され、主にアリババのビジネスエコシステムで革新的な人工知能アプリケーションを開発し、アリババの顧客とパートナーに人工知能ソリューションを提供しています。音声認識、自然言語処理、声紋認識、ディープラーニング、コンピュータービジョンなど、さまざまな分野での理論研究と製品の商業開発に焦点を当てた世界トップの研究チームがあり、同時に、研究所は、最初のインテリジェント音声アシスタントスピーカー「Tmall Genie」を含む、消費者向けの人工知能製品も開発しています。
2018年5月、アリババグループ、センスタイムグループ、香港サイエンスアンドテクノロジーパークコーポレーションは、共同で「香港人工知能研究所」(HKAI Lab)を設立しました。
2018年10月、アリババ人工知能研究所はホテルサービスロボット「Space Egg」を発売開始しました。さらに、自動車用「Tmall Genie Auto」AIソリューションも発表しました。
2019年1月、アリババグループは、「アリババビジネスオペレーティングシステム」を立ち上げ、あらゆる種類のワンストップソリューションを提供し、ビジネスパートナーがデジタルトランスフォーメーションのペースを加速するのを支援しています。

アリババグループの人工知能技術に関する公開された中国特許出願は3225件あり、有効特許が799件、審査中が2244件、失効が182件(拒絶174件、出願公開後の取下げ5件、放棄1件、特許料未納1件、存続期間満了1件)となっています。また、中国国内での出願以外に、PCT出願(WO)785件、米国出願(US)699件、台湾出願(TW)445件、欧州出願(EP)157件、香港出願(HK)136件、日本出願(JP)118件、インド出願(IN)6件、韓国出願(KR)61件もあります。

人工知能技術に関するアリババグループの中国特許出願公開状況
【図6-6 人工知能技術に関するアリババグループの中国特許出願公開状況】

 

(7)平安技術(深セン)有限公司

平安技術(深セン)有限公司(https://tech.pingan.com/、略称:平安技術)は、2008年に設立され、平安グループ傘下の技術ソリューションの専門家であり、人工知能、クラウド、その他のテクノロジーを使用して、金融、ヘルスケア、不動産、自動車、スマートシティの5つのエコシステムを強化することに専念しています。主なサービスは、コンピュータソフトウェアとハードウェアの開発、設計とコンサルティング、コンピュータシステムの統合、コンピュータデータ処理、データベースサービス、ソフトウェアリース、ソフトウェアの販売と技術サービス、ソフトウェア開発と技術サービスのサポートなどとされています。

人工知能は平安技術のコア技術の1つであり、現在、予測AI、認知AI、意思決定AIなどの一連のソリューションが形成されています。インフルエンザや糖尿病など、さまざまな病気の予測に、病気予測モデルを核とした予測AIが応用されています。認知AIの分野では、顔認識、声紋認識、OCR、画像認識などの技術が世界をリードするレベルに達しています。深層学習、データマイニング、生体認証などの高度なAIテクノロジーを統合した平安脳インテリジェントエンジンは、マーケティング、運用、リスク管理、意思決定、サービス、予測のための6つのサービス統合モジュールを提供し、各モジュールは、標準化されたアプリケーションとカスタマイズされたAIソリューションを提供できます。

人工知能技術に関する平安技術の中国特許出願公開状況
【図6-7 人工知能技術に関する平安技術の中国特許出願公開状況】

 
 

平安技術の人工知能技術に関する公開された中国特許出願は2930件あり、有効特許が188件、審査中が2681件、失効が61件(拒絶59件、出願公開後の取下げ2件)となっています。また、PCT出願(WO)783件、米国出願(US)25件、香港出願(HK)21件、日本出願(JP)18件、シンガポール出願(SG)18件、欧州出願(EP)12件、オーストラリア出願(AU)8件、インド出願(IN)6件、台湾出願(TW)4件があります。

 

7.参考:分析対象とした母集団(検索式)

No 検索式 件数
1. IPC=(G06N or G06F or G06G or G06J or G06K or G06M or G06Q or G06T or H04N or H04L) 13,433,010
2. TIABC=(“人工智能” or “机器智能” or “artificial intelligence” or “机器学习” or “机器人学” or “深度学习” or “进化算法” or “人机交互” or “交互接口” or “交互界面” or “自动驾驶” or “智能驾驶” or “无人机” or “智能家居” or “智能手机” or “智能可穿戴” or “自然语言处理” or “虚拟助手” or “模式识别” or “知识图” or “语音识别” or “语音合成” or “声纹识别” or “语义分析” or “人脸识别” or “生物特征识别” or “深度神经网络” or “生成对抗网络” or “随机森林” or “条件随机场推荐” or “智能语音” or “语音交互” or “计算机视觉” or “行人识别” or “车辆检测” or “图像识别” or “卷积神经网络” or “受限玻尔兹曼机” or “自编码” or “深度信念网络” or “递归神经网络” or “循环神经网络” or “递归张量神经网络” or “长短期记忆网络” or “决策树” or “随机森林算法” or “逻辑回归” or “朴素贝叶斯” or “K最近邻算法” or “K均值算法” or “Adaboost算法” or “神经网络” or “编程” or “逻辑” or “阵列” or “现场可编程门阵列” or “现场可编程逻辑阵列” or “云计算” or “云平台” or “智能机器人” or “知识表现” or “智能搜索” or “人工生命” or “遗传算法” or “机器视觉” or “指纹识别” or “视网膜识别” or “虹膜识别” or “掌纹识别”) 5,549,462
3. 1 and 2 2,097,385
4. PNC=(JP or US or EP or KR or WO) and PD=[20010101 TO 20201231] 34,783,593
5. 3 and 4 1,068,838
6. PNC=CN and PD=[20010101 TO 20201231] 27,796,284
7. 3 and 6 516,542
(出願番号合併:419,270)

 

AI技術動向の分析には中国企業の特許・技術情報調査が不可欠

ということで今回は、AI技術に関連する粗めのキーワードとIPC検索を中心とした簡易的な検索により、中国における人工知能技術分野の特許出願状況について、大まかなボリューム把握レベルの簡単な分析をしてみました。

自社の具体的な技術開発競争や市場競争に関する現状の分析と、今後の戦略立案・研究のサポートを目的とする調査については、より詳細な技術動向の調査を行うことが必要となります。
 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 J・X)


中国の技術情報調査、特許調査・分析サービスは日本アイアールまでお気軽にお問い合わせください。


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