化学

《中国化学物質規制の解説》危険化学品安全管理条例の概要、危険化学品安全使⽤許可証の申請など

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中国の化学物質規制

ご存じのように、中国での化学物質製造使用や中国へ化学品を輸出する場合は、化学品の種類に応じて、化学物質規制に沿って対応しなければなりません。
今回は、この中国化学物質規制法の基礎知識(概要)をご紹介します。

 

1.中国における危険化学品規制法

中国では、危険化学品安全許可制度および危険化学品登録制度が実施されています。

まず、基本的な危険化学品規制法として「危険化学品安全管理条例」があります。
「危険化学品安全管理条例」に基づき、危険化学物質を製造、輸入する企業は、企業の所在地の危機管理部門に危険化学品安全使⽤許可証危険化学物質登録証明書を申請する必要があります。

さらに「危険化学品安全使用許可証実施弁法」「危険化学品登録管理弁法」などの条例が制定されています。

 

2.「危険化学品安全管理条例」とは?

「危険化学品安全管理条例」は 2002年1月26日に初めて公布され、2011年2月16日に一回目の修正を採択されました。
そして、2013年12月7日に二回目の修正を行い、現在まで有効です。

 

危険化学品安全管理条例の概要と重要ポイント

「危険化学品安全管理条例」2013年バージョンでは8章102条があります。
主な条項をいくつか抜粋してご紹介します。

第3条:「危険化学品」とは、毒性の強い化学物質、腐食性、爆発性、可燃性、助燃性を有し、人体、設備及び環境に有害な化学物質をいう。(危険化学品の定義)

第6条:危険化学品の生産、保管、使用、操作、輸送の安全監督管理を実施する関連部門は、次の規定に従って職務を遂行しなければならない。
(1) 生産安全監督管理部門は、危険化学物質の総合的な安全監督管理を担当し、危険化学物質リストの決定、公表、調整を組織し、新築、改修、拡張工事の安全条件審査を実施する。危険化学物質の生産および保管プロジェクトを担当し、危険化学物質安全生産許可証、危険化学物質安全使用許可証、危険化学物質営業許可証を発行し、危険化学物質の登録を担当する。
(2) 公安機関は、危険化学物質の公安管理に責任を負う。
(3) 品質監督・検査・検疫部門は、法律に基づいて、危険化学物質およびその包装、容器、製造業者に対する工業製品の生産許可の発行、および製品の品質の監督を行う。
(4) 環境保護部門は、廃棄された有害化学物質の処分の監督と管理を担当し、有害化学物質の環境危険性の特定と環境リスク評価を組織する。…
(7) 工商管理部門は、関係部門が発行した許可証に基づいて、危険化学物質を生産、貯蔵、運営、輸送する企業に営業許可証を発行する。
これで責任分担を明確して、現在危険化学物質の総合的な安全監督管理を担当するのは生産安全監督管理部門にあります。

第14条:危険化学品生産企業は、生産を開始する前に、安全生産許可規則に従って危険化学品安全生産許可を取得しなければならない。

第29条:化学企業は、生産時に有害化学物質を使用し、その使用量が規定量に達した場合は、有害化学物質安全使用許可を取得しなければならない。

第33条:国は、危険化学物質の取り扱いについて許可制度を実施する。

この条例によって、危険化学品の生産企業だけではなく、有害化学物質を使用したり販売したりする企業も、(使用量によりますが)すべて許可を申請する必要があります。
ただし、法律に従って設立された危険化学品製造企業は、企業が製造した危険化学品を工場の範囲内で販売する場合、危険化学品営業許可を取得する必要はありません。

 

3.「危険化学品安全使⽤許可証」の申請

「危険化学品安全管理条例」及び「危険化学品安全使用許可証実施弁法」に基づき、危険化学品安全使用許可適用業種目録に収載された業種の化学工業企業は、危険化学品を使用し生産を行い、かつ、その使用量が法定基準に達した場合、危険化学品安全使⽤許可証の取得が義務付けられています。

なお「危険化学品安全使用許可証実施弁法」は2013年5月1日に発効、2015年5月および2017年3月に国家労働安全総局命令により二回修正を行いました。

 

4.「危険化学物質登録証明書」の申請

「危険化学品安全管理条例」第5章第67条では、危険化学品製造企業及び輸入企業は、国務院労働安全監督管理部門の危険化学品登録担当機関に危険化学品を登録しなければならないと規定されています。

具体的に「危険化学品登録管理弁法」(2012年7月から実施)の第 15-16条では、登録企業の危険化学物質登録証の有効期間内に、企業名、登録住所、登録品種、緊急相談窓口の電話番号を明記する。
製造または輸入された有害化学物質に新たな危険性があることが判明した場合、変更申請書を15営業日以内に登録局に提出する必要があると定められています。

登録証明書の有効期間は3年間です。更新する場合、登録証明書の有効期限が切れる3か月前に審査および更新の申請を提出しなければなりません。

中国の化学品管理の法規制は頻繁に改正されますので、情報のアップデートにご注意ください。

 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・L)

 


《引用文献、参考文献》

  • 1)危険化学品安全管理条例(2013年版)
    https://www.gov.cn/gongbao/content/2014/content_2695514.htm
  • 2)危険化学品登録管理弁法(2012年版)
    >https://www.mem.gov.cn/gk/zfxxgkpt/fdzdgknr/gz11/201207/t20120701_405682.shtml
  • 3)危険化学品目録(2015年版)
    https://www.mem.gov.cn/gk/gwgg/201503/t20150309_241330.shtml

 

 

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