親水・撥水・吸水技術の基礎からPFASフリー技術の最新動向と具体的事例
2024/4/24(水) 13:00-17:00 ※途中、小休憩を挟みます。
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AIやロボットを開発していくと人間というものの理解が進みます。
逆に人間をよく理解することは、AIやロボットの開発に有効です。
同様に、様々な生物を理解することにより、人間社会にも応用のできる新たなアイデアや技術が生まれます。
生態系から学び、模倣・活用することを「バイオミミクリー(biomimicry)」と呼びます。
バイオミミクリーは造語で、生物を表す”bio”と、擬態を表す”Mimicry”を組み合わせたものです。
バイオミミクリーには二つのアプローチがあります。
一番目のアプローチは、ニーズ(neeeds、必要性)から始めます。
生物界で、同じニーズを持ち、解決策を備えている例を探すというものです。
一方、二番目のアプローチは、シーズ(seeds、種)から始めます。
生物の素晴らしい機能に感動した時に、その応用方法を考えます。
多くの事例では、ニーズから始められ開発が行われていますが、生物と全く同じ構成をコピーすることはできませんので、原理&現象を解析・解読した後は、実用化できる構成案を考え、評価を繰り返して模倣応用技術を完成させなければなりません。
シーズからの開発においては、生物での解決策は、省エネに優れ、自然と調和しているはずという視点から、何に適用していくかを考えます。
新分野の技術や新製品のタネとなるかもしれません。
バイオミミクリーに関する学問分野の名称は「バイオミメティック(Biomimetic)」です。
生物の模倣には単に生物の構造を模倣・応用するだけでなく、生物の生活のプロセスを模倣・応用することも含まれます。生物の構造と生活プロセスは、自然と調和しながら進化・最適化をしてきたものなので、良いお手本となります。
生態系では、単に餌食(prey)と捕食者(predator)の関係が存在するだけでなく、全体として多様性に富み、調和と循環の世界を作っています。
地球全体として、持続可能性(サステナビリティ、sustainability)の高い世界を作り上げていくために、生命、エネルギーそして環境分野において、バイオミメティックは大きな貢献ができると思います。
経営においてもサステナビリティは重要なキーワードですが、いま、トヨタなどの大企業も注目し、学ぼうとしている経営方法があります。
それは「伊那食品工業」という長野の寒天のメーカーが行うものです。
企業が急激な右肩あがりの成長の後、社会や経済状況の変化で経営がゆらぎ、リストラなどを行わなければならないというケースはよくありますが、伊那食品工業では、まずは会社を構成する従業員の幸福とモチベーションを大事にし、結果として無理のない自然な成長をめざすという経営を行っています。
この経営方法は、木の成長において、年輪が、寒さや暑さ、風雪などの環境によって幅は変わるが、一年一年それなりの成長を遂げ、木として成長を続けることになぞらえ、「年輪経営」と呼ばれています。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)