そうだったんだ技術者用語 バイオミミクリー、バイオミメティック、そしてサステナビリティ

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バイオミミクリーとは?事例解説

バイオミミクリーとは?

AIやロボットを開発していくと人間というものの理解が進みます。
逆に人間をよく理解することは、AIやロボットの開発に有効です。
同様に、様々な生物を理解することにより、人間社会にも応用のできる新たなアイデアや技術が生まれます

生態系から学び、模倣・活用することを「バイオミミクリー(biomimicry)」と呼びます。
バイオミミクリーは造語で、生物を表す”bio”と、擬態を表す”Mimicry”を組み合わせたものです。

 

バイオミミクリーの代表的な事例

  • 蚊の針を模倣し、ギザギザ状で皮膚との接触面積を少なくした、刺されても痛みがない注射針
  • ザトウクジラの胸ビレの凸凹を模倣し、渦の発生により流れを安定化した、低騒音・低振動の風力発電機用タービンブレード
  • カタツムリの殻の表面形状を模倣し、表面に数百ナノからミリサイズまでの広範囲な層で溝を作り、水分で汚れを取り除く外壁の表面構造
  • タマムシの外皮の構造を模倣し、金属の表面に何層にも重なる膜を作り、特殊な反射で発色をさせる、塗料を用いない色彩鋼板
  • モルフォ蝶の羽の麟片構造を模倣し、複数の層に射し込んだ光が層の間隔や屈折率の違いから特定の色を反射し色の濃淡を生む、染料を用いずに発色するドレス
  • アホウドリの翼の平面形ギンヤンマの羽の断面形を模倣し、効率を向上したエアコン室外機のファン
  • カエデの種のプロペラ形状の薄い翼果を模倣し、回転効率を向上した風車
  • ペンギンの翼や魚群の円環状に泳ぐ仕組みを模倣し、攪拌効率を向上した炊飯器の攪拌ブレード
  • イルカのエコーロケーション(反響定位)を模倣した、ロボット掃除機の物体の距離・方向・大きさの検知
  • サメの表皮の楯鱗(じゅんりん)を模倣し、スイング時の空気抵抗を低減したテニスラケット
  • マグロの皮膚の表面から分泌する体液を模倣し、海水との摩擦抵抗を軽減する船舶用塗料
  • ヤモリの垂直の壁を歩ける足の構造を模倣した、何度も繰り返し利用できる接着テープ
  • フクロウの羽の形状を模倣し、騒音を低減した新幹線のパンタグラフやノートパソコンの内蔵ファン
  • カワセミの口ばしの先端の尖った形状を模倣し、空気抵抗を低減した新幹線の先頭部分
  • ハスの葉の水玉をはじく構造を模倣した、ヨーグルトが付着しない蓋
  • クモの糸のタンパク質構造を模倣した、高強度で軽量な有機繊維

 

ニーズからのアプローチとシーズからのアプローチ

バイオミミクリーには二つのアプローチがあります。

一番目のアプローチは、ニーズ(neeeds、必要性)から始めます。
生物界で、同じニーズを持ち、解決策を備えている例を探すというものです。

一方、二番目のアプローチは、シーズ(seeds、種)から始めます。
生物の素晴らしい機能に感動した時に、その応用方法を考えます。

多くの事例では、ニーズから始められ開発が行われていますが、生物と全く同じ構成をコピーすることはできませんので、原理&現象を解析・解読した後は、実用化できる構成案を考え、評価を繰り返して模倣応用技術を完成させなければなりません。

シーズからの開発においては、生物での解決策は、省エネに優れ、自然と調和しているはずという視点から、何に適用していくかを考えます

新分野の技術や新製品のタネとなるかもしれません。

 

バイオミミクリーの価値

バイオミミクリーに関する学問分野の名称は「バイオミメティック(Biomimetic)」です。

生物の模倣には単に生物の構造を模倣・応用するだけでなく、生物の生活のプロセスを模倣・応用することも含まれます。生物の構造と生活プロセスは、自然と調和しながら進化・最適化をしてきたものなので、良いお手本となります。

生態系では、単に餌食(prey)と捕食者(predator)の関係が存在するだけでなく、全体として多様性に富み、調和と循環の世界を作っています。

地球全体として、持続可能性(サステナビリティ、sustainability)の高い世界を作り上げていくために、生命、エネルギーそして環境分野において、バイオミメティックは大きな貢献ができると思います。

 

経営にもバイオミミクリー?

経営においてもサステナビリティは重要なキーワードですが、いま、トヨタなどの大企業も注目し、学ぼうとしている経営方法があります。

それは「伊那食品工業」という長野の寒天のメーカーが行うものです。

企業が急激な右肩あがりの成長の後、社会や経済状況の変化で経営がゆらぎ、リストラなどを行わなければならないというケースはよくありますが、伊那食品工業では、まずは会社を構成する従業員の幸福とモチベーションを大事にし、結果として無理のない自然な成長をめざすという経営を行っています。
年輪経営とは?
この経営方法は、木の成長において、年輪が、寒さや暑さ、風雪などの環境によって幅は変わるが、一年一年それなりの成長を遂げ、木として成長を続けることになぞらえ、「年輪経営」と呼ばれています。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)
 

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