発明提案書を書くことで発明能力が上がる?
発明提案書の作成は、技術者のためになる!
前回の連載コラム “スター技術者の共通点は「知財力」が高いこと?” で述べたように、「発明」は
①自ら問題を発見し→②論理的思考能力を駆使して→③課題を明確にしながら→④解決手段を具体化すること
と考えることもできます。
発明提案書(発明届出書)の提出に、自らノルマを課す意味の一つは、技術者の問題発見能力や問題解決能力を向上させるためです。
発明提案書は、書けば書くほど「論理的思考能力」が身に付きます。その結果、自分への自信へ繋がります。
口下手で忖度が出来ない技術者は、自分の素晴らしい発明を発明提案書でアピールすれば良いのです。
発明提案書は自分の技術能力をアピールするチャンスの場です!
自分の発明を論理的に分かりやすく発表できない技術者では、会社の役には立ちません。
発明提案書の作成には、技術者に必要とされる全ての能力(発明能力)をアップさせる要素が詰め込まれています。
下の図は、特許明細書の構成要件で、発明提案書も同様の構成要件が求められます。
発明提案書を作成することは、会社のためだけではなく、技術者自身のためになるのです!
特許出願用の明細書を自分でもチェックすべし!
『依頼者(発明者)は、自分では容易に作成できない出願書類を弁理士が作成してくれたということに対して、多少の喜びを感じてくれるでしょう。しかし、それは顧客にとっての真の喜びではありません。書類を作成して出願するだけなら、弁理士であればできるでしょう。しかし、同じ発明の出願依頼であっても、弁理士が作成する書面の内容(質)によって、特許になる場合とならない場合に分かれることがあるのが現実です。さらに言うと、特許になるとしても、どのような内容の特許が成立するかは、作成される出願書類の内容によって大きく左右されます。そして、成立した特許の内容如何で、その特許が企業の事業活動にどの程度貢献できるかの結果が変わってきます。』
・・・これは、お付き合いある弁理士の声です。
弁理士等が作成してくれる特許出願用明細書ですが、自社の知財担当者だけでなく、(その発明を最も理解しているはずの)発明者自身もチェックすることが重要になってきます。
具体的には以下のような視点でチェックしてみましょう。
特許出願明細書でチェックすべき事項(例)
- 発明の要旨(本質)が間違って理解されていないか
- 請求範囲が狭すぎないか、請求範囲はこの内容でよいか
- 技術的に間違っているところが無いか
- 技術用語が間違っていないか
- 図面の間違いはないか
- 効果(利点)が間違って書かれていないか
- 技術的に余分なことを書き過ぎていないか
- 自社のノウハウが書かれていないか
発明提案書、そして特許出願明細書は、技術者としての自分の能力をアピールするための大事な書面であることを強く意識して向き合いましょう。
(日本アイアール 知的財産活用研究所 N・Y)
<参考文献>
- 橘 和之 著「特許明細書のチエック法」発明推進協会, 2009年
※知財教育については、日本アイアール・知的財産研修センターのサイトもご参照ください