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不具合未然防止の基本と実務への適用《事例で学ぶ FMEA/FTA/DRBFMの効果的な使い方》(セミナー)
2024/12/3(火)9:30~16:30
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私たちが日常便利に使っている『物』は、いくつかの部品が組み合わさって『物』となっています。
使う上ではこの『物』がどのようなルールに則って作られたかなど殆ど気にしません。
安全に、便利に、安く、簡単に使えることがとても重要なのです。
そうした『物』が不具合なく使えていることは、実は標準化の恩恵にあずかっていることが多いのです。
オフィスや自宅にあるプリンターなど、身近な例で考えてみましょう。
プリンターには記録紙が必要です。
記録紙のサイズには、A4やA3といったサイズがあります。どこで購入してもA4サイズは同じです。
これは、国際標準の「ISO標準」(ISO=International Organization for Standardization)に準拠しているからです。
一方、プリンターの近くにテレビを置いても雑音が気になることがありません。
また、プリンターのインクやトナーの交換のため機械のどこに触れても感電したりしません。
スマホのバッテリーからの発煙などもありません。
こうした電気的な事柄は、「IEC標準」(IEC=International Electrotechnical Commissio)として定められています。
さらに、プリンターの中にはFax機能が備わったものがあります。
Fax機能のような通信にかかわる規格は、「ITU-T標準」(International Telecommunication Union’s Telecommunication Standardization Sector)に則って作られています。
通信の場合には互換性の確保がとても重要です。機器の製造メーカーを問わず、機器を使用する場所、国を問わず相互に通信できることが最も重要となります。
以上のISO、IEC、ITUの標準は、公的な機関によって制定される標準です。
これらの標準を「デジュール標準」といいます。
毎日仕事やプライベートでなくてはならないスマートホン。
現在多く使われているスマートホンを分類するとiPhoneとAndroidです。
これらはスマートホンの基本ソフトであるOSの違いですが、どちらも市場に受け入れられています。
このように多くの顧客に受け入れられ、市場に普及した技術を「デファクト標準」といいます。
私たちがよくスマートホンを用いて、インターネットに接続し通信をします。
通話をする相手がどこのメーカーのスマホートホンでも、どこのキャリアとの契約でも問題なく会話やメールの送信、受信ができます。このときWi-Fiといった無線の技術を使います。こうしたスマートホンの無線接続の規格などは業界団体が作った規格です。このようにして作られた標準もまた、デファクト標準といいます。
また、『物』ではなく、企業活動の円滑な運営や、人類が長期にわたって持続可能な地球、社会、人々であるために大きな影響がある『こと』の標準、「マネジメント標準」も存在します。
この『物』や『こと』についての取り決め、ルールこそが『標準』なのです。
標準を整理すると次のようになります。
① 公的機関が定める標準=「デジュール標準」
② 『物』、ではなく、『こと』、に関する標準=「マネジメント標準」
(例:ISO9000、14000など)
② 業界や市場が中心になって定める標準=「デファクト標準」
(例:iPhone OS、Android OS、Windows、DVD、W3C、IEEEなど)
次回は、デジュール標準について解説いたします。
(アイアール技術者教育研究所 M・O)