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不具合未然防止の基本と実務への適用《事例で学ぶ FMEA/FTA/DRBFMの効果的な使い方》(セミナー)
2024/12/3(火)9:30~16:30
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品質レベル変化の要因分析、不具合解析、そしてDRBFM(*)などにおいて、変化点の解析をすることは、とても重要ですが、変化を考えるときの切り口について、いくつかヒントを挙げたいと思います。
項目はランダムですが、現在不具合解析をされている方、あるいは不具合未然防止活動で不具合モードの想定を拡大して抜けを防止しようとされている方への参考になればと思います。
(*)DRBFM:Design Review based on Failure Mode、変更点、変化点に関係する機能と可能性のある故障モードを考えデザインレビューを行い、それに基づき設計検証と評価を行う手法
意図した変更については、その履歴を追っていくことは比較的容易ですが、それぞれの変更が実際の製品に変化点として現れるタイミングと実際の変更状態に注意しなければなりません。
一方、変化点で重要なのは意図しない変化を見つけていくことです。
製品自体に変更(変化)を与えていなくても、その使われ方や市場、搭載環境等が異なる場合には、製品に与えられる負荷パターンや負荷履歴が変化します。
不具合の解析や予防検討の際には、強度の低下側と負荷の増大側の両方向からのアプローチ・解析が必要です。特に交互作用、すなわち複合加速要因が無いかという確認が重要になります。
複数それぞれの要因が、想定された範囲内で、すなわち管理限界内での変化をしていても、同時に範囲限界近くに変化した時に、交互作用により想定外の強度低下や負荷増加が起きる可能性があります。
[※併せて読みたい関連コラム:ストレス-ストレングスの考え方と不具合対策のポイントはこちら]
変化を見つける方法の一つに差分解析があります。想定していた経験済みの製品状態と実際の不具合品を比べその差(差分)を調査することで変化を追跡できます。
想定外のことが発生していないかを調べるためには三現主義、すなわち現場・現物・現実(現象)に基づき情報収集・データ解析を行うことが重要です。
現物(製品)を徹底的に観察することにより気づいたポイントに対して、さらにミクロ的なことを調べたり、分析的評価することで不具合メカニズムの解明につながることもあります。
例えば、見た感じが違うというような直観的な差も調査の入り口となることがあります。
(工程中の熱の受け方や使用中の熱の受け方で色が異なったり、表面加工方法や摩耗形態で表面状態が異なり見え方も異なります)
自由度を許容できない場合には、設計図や工程図などのドキュメントに記載が必要です。しかし、最初の量産時において、必要前提条件が当然のように思われて記載漏れが発生する場合があります。
特にサプライチェーンが複雑で、最終製品となる前に何社も関係する場合には注意が必要です。
例えば、通常調達先の変更は管理され、変更の際には工程監査なども行われますが、精度に関係するような設計値や工程値の場合には、検査・測定装置の差の影響をチェックすることも検討しましょう。
品質変化の分析では、異なる製造ロットによる品質の差を分析しますが、以下の注意が必要です。
対策品の効果があったかを分析する場合には、反映されている製品のひも付き管理(トラッキング)が必要となります。
開発段階と量産段階での製造方法の変化あるいは想定外の差についての確認が必要です。
例えば、試作評価時は数が少ないので試作専用設備で製造し、量産で初めて量産設備を用いる場合には、設計検証結果や品質確認設定ポイントが有効でなくなる場合もあります。
開発の各段階で行われるデザインレビューなどでは、設定仕様の評価状態とともに、その製品を量産するための工法や設備・機械についても検討が行われますが、充分な情報がインプットされてないこともあります。
変化点には、その製品自体に変更点が無くても、使われ方が変わっていないかに注意しなければならないことは既に述べましたが、製品が適用されるシステムにも注意が必要です。
システムにおける制御においては、構成するセンサやアクチェータ(作動装置)の特性とマッチするように制御変数、故障診断値、そしてシステム寿命などが設定されます。
製品と組み合わせるシステムが変更され、ソフトウェアの固定値や適合値と、製品の特性との適合性が著しく損なわれる場合には、構成部品に想定外の負荷がかかる場合がありますので、製品と組み合わせて使われるシステムや適合データセットの変更や変更履歴の確認が必要となります。
(アイアール技術者教育研究所 H・N)