【機械製図道場・初級編】断面の表し方② 対称図形でない場合の断面表示方法
機械製図道場・入門編の「断面の表し方① 全断面図と片側断面図、線種の使い分け」では、多くの機械部品の形状や情報を図面で伝達するためにはその断面を正確に表すことが必須であるという説明と、基本となる2種類の断面図、すなわち部品全体を断面で表した全断面図と、中心線に対して対称なものを半分だけを断面で表し片方は外形で表した片側断面図とについて学びました。
今回は、対称図形でない場合の断面表示バリエーションについて学びたいと思います。
上下対称ではない場合、あるいは断面で表したい部位が長手方向でずれた位置に複数ある場合など、中心線基準の断面図表示では適切でないとき、断面をどのように表せば良いのでしょうか?
いくつか方法がありますので、確認していきましょう。
目次
1)切断線表示
断面に表したい面を切断線で表示します。
切断線には一点鎖線を用い、切断面が向きを変える箇所と切断線の両端には、短い太実線を入れて両端の太実線には矢印をつけ、断面を見る方向を表示します。下図に例を示します。
2)回転図示断面
ハンドル、フック、リム、軸、レール、構造部材など、形状変化に富んだ部品の切り口を、切断線の延長上に90度回転して断面表示する、切断箇所の前後を破断してその間に描く、あるいは図形内の切断箇所に重ねて細実線で描く、のいずれかの方法です。下図に例を示します。
3)部分断面
必要な部位だけを、破断線を使って区別して断面表示します。
2)、3)に使う破断線は、細実線のジグザグで表します。下図に例を示します。
表示したい複数断面が長手方向にずれる場合に、切断線を用いて複数断面を一つの図面に表示する方法を例題で演習してみましょう。
【例題】断面の描き方(断面表示のバリエーション)
《 問題 》
下図の形状の品物の、A-A断面を図に表してください。
《 解答 》
《 例題の解説 》
こんなとき、断面はどう描くの?
① 組立図や取扱説明書に入れる説明用図や複雑な図面
断面であることを示すため、ハッチングなどを施すことがあります。
これにより断面であることがより明確になります。
② 断面にしてはいけないもの
切断するとかえってわかりづらくなるもの、切断しても意味がないものは、断面表示しません。
ボルト、ナット、座金、小ねじ、ピン、キー、軸、リブ、などが該当します。
必要ある場合は、回転図示により部分断面を表示します。
前回と今回の解説及び演習で、必要な個所をわかりやすく断面表示する方法について学びました。
回転図示をどのやり方で表示するのが適切か、など経験を積み重ねることが重要です。
いろいろな形状の物体の断面製図を数多く練習してください。
次回は、形状の一部を省略できる場合のルールと描き方について解説します。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)