DR(デザインレビュー)とは?[初心者向け基本解説]
当研究所サイトの資料ダウンロードページでは「FTA評価管理表」や「FMEA表」のテンプレートを提供していますが、どちらもよく「DR」(デザインレビュー)のツールとして活用されるものです。
今回のコラムでは、DRとはそもそも何か?について考えてみたいと思います。
目次
1.製造業における「デザイン」とは?
まず製造業における「デザイン」(設計)という言葉の意味を確認しましょう。
広義:企画から製品設計を経て、生産準備、販売サービスに至る各段階のアウトプットと業務プロセス
2.レビューとは?
「レビュー」という言葉には、見直し、再吟味、復習(振りかえり)、審査、再検討、講評といった意味があります。
下記のような解釈が妥当であろうと考えます。
あくまで評価、調査・検討であって、承認とは異なる行為です。
3.デザインレビュー(DR)の定義
下記のように説明することができます。
機能、性能、安全性、信頼性、操作性、デザイン、生産性、保全性、廃棄性、コスト、法令・規制、納期などの顧客要求や設計開発目標に関わるすべての品質特性の見地から、
妥当性の評価ならびに問題点の摘出を行い、次の設計開発ステップへの移行ができるかどうかを判断する組織的活動
簡単に書けば、「段階ごとに次のプロセスへ進んでよいのかどうかを、さまざまな人の意見を取り入れて検討すること」と定義できます。
4.デザインレビューの種類は?
DRは次の2種類のタイプに分けることが出来ます。
(1) フォーマルデザインレビュー(FDR)
企画、設計開発から製造、保守・アフターサービスに至るまでの製造各プロセス途中で専門家を集め、各段階の設計計画内容の評価、問題点の摘出と対策可否検討を行なう会議です。
専門家ならびに組織全体のノウハウを活用して徹底的に問題点の洗い出しを行います。
このDRでは、設計計算の進め方や性能試験方案など、設計アウトプットに問題点や抜けがないかどうかチェックし、次のプロセスに移行して良いかを判断します。(次段階への移行審査)
したがって、設計品質をつくりこむための大変重要な役割を果たすDRです。
(2) インフォーマルデザインレビュー(IDR)
「ミニDR」「技術検討会」などと呼ぶこともある、部門内で行う非公式のDRです。設計開発の担当者が所属する部内で、適宜開催される検討会です。
このDRは、開発工程において正式に計画準備されるものではなく、必要に応じて少人数の関係者で適宜開催されます。
専門家を正式に招集するものではありませんが、業務担当者が、自発的に部門内もしくは参加可能な部外の有識者を集めて、設計計画の進捗に応じて適時助言をもらう会議で、早期に問題点を摘出し対策を打つために有効な活動です。
ISO9001におけるDRとは?
ISO9001の「8.3 製品およびサービスの設計・開発」に、要求事項の一つとして「設計・開発のレビュー、検証、妥当性確認を行うこと」とする記述があります。
レビュー、検証、妥当性確認がしばしば混同されることがあるので、検証と妥当性確認について、その意味を確認しておきましょう。
- 検証: 設計開発各段階のアウトプットが、設計開発のインプットで与えられている要求事項を満たしているかどうかを確認すること
- 妥当性確認: 最終的に設計開発の結果として得られる製品や工程が、意図された用途において要求事項を含む顧客のニーズを満足する能力をもつことを確認すること
- レビュー: 計画された段階ごとに次の段階に移って良いのかどうかを、様々な立場の人の意見を取り入れ検討すること
ISO9001の記載に照らしても、デザインレビュー(DR)とは、設計開発が次段階へ移行して良いかどうかを、部門外部の人の意見を取り入れ検討する場であって、設計開発の各段階で実施するものと言えます。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)
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