管用ねじ(テーパねじと平行ねじ)の規格と使い分けを解説!NPTねじの注意点は?

配管設計や配管機器・配管継手の組立・保守を行う現場で、管用ねじの接続は安全性・密封性・保守性に大きな影響を与える重要な要素です。
特に、テーパねじと平行ねじは外観が似ていることから誤用されやすい一方で、シール方式や適用範囲に明確な違いがあります。また、国内のJIS規格だけでなく、海外製品で一般的なNPTねじとの互換性の問題も発生します。これらの違いを正しく理解し、適切に使い分けることは漏れや事故を防ぐために不可欠です。
本記事では、構造的な違い、見分け方、規格の体系、誤った組み合わせの注意点、そして実務での使い分けのポイントまで体系的に解説します。
目次
1.管用ねじとは
「管用ねじ」は、配管部品の接続用に制定されたねじ規格です。(「くだようねじ」と読みます)
薄肉のパイプなどの強度に影響することがないようにするために、通常のねじよりもネジ山の高さを低く、ピッチも小さくなっています。寸法はインチ系列で表します。
“G1/2“,”Rc3/4” というようにねじ種類とインチサイズで表示します。
また、管用ねじのネジ山角度は、JIS規格の場合55°となっています。
内部流体が漏れないよう密封性に重点を置く「テーパねじ」(R,Rc,Rp)と、密封性を要求しない配管部品取付けなど単に機械的接合を行うための「平行ねじ」(G)とがあります。
テーパねじは、下図のように軸線に対してネジ面に16:1の勾配をつけたものです。

【図1 テーパねじのねじ山角度とこう配】
2.テーパねじと平行ねじの基本構造と特徴
テーパねじ(R,Rp,Rc)と平行ねじ(G)の基本的な仕組みを整理して、両者の違いを明確にしてみます。
(1)テーパねじ(R,Rc,Rp)の特徴
テーパねじは、締め込むほどにねじ面の接触面積が増加して密着性が上がり、高いシール性を得られる構造を備えています。ねじ軸が先端に向かって細くなることで、締め付け時に雄ねじ・雌ねじが強く噛み合い、楔(くさび)効果が生じます。
Oリングなどのシール部品を用いずに密封性を得ることが可能です。必要に応じて、ねじ面にシールテープを巻くことにより密封性をさらに高めることができます。
テーパねじは、高い密封性能を活かして、漏れが許容されない配管ラインに多く採用されます。
具体的には以下のような用途があります。
- ガスや油圧などの高圧配管
- 漏れが許容されない配管ライン
- 内部スペースが限られ、フランジ接続が適用できない箇所
(2)平行ねじ(G)の特徴
平行ねじは、プラグなどの配管部品の機械的接合を目的とするものです。
おねじ、めねじともに軸径が全長にわたり一定で平行です。
平行ねじは、繰り返しの着脱でもねじ山を痛めにくい点が特徴です。調整性やメンテナンス性を求められる配管設備で利用されます。
3.管用ねじのJIS規格とおねじ・めねじの組合せ
(1)テーパねじのJIS規格(JIS B 0203)
① 基本記号の分類
- R:テーパおねじ
- Rc:テーパめねじ
- Rp:平行めねじ(R と組み合わせできるめねじ)
② テーパねじで使用できる組み合わせ
- R × Rc(PT)
旧JISでは「PT」と表記していました。密封性能が高いことが特徴です。 - R × Rp(PS)
旧JISでは「PS」と表記していました。密封性能はRcに比較すると若干劣ります。

【図2 テーパねじの組合せ】
(2)平行ねじのJIS規格(JIS B 0202)
① 基本記号
G:平行ねじ(おねじ・めねじ共通)
② ねじの組合せ
G × G (PF)
旧JISでは「PF」と表記していました。
(3)平行ねじ使用上の注意点
密封性を要求される場合にはシートガスケットやOリングなどのシール部品を使用する必要があります。

【図3 平行ねじ(G)で密封性を要求される場合(一例)】
規格が異なるねじ同士を無理に組み合わせると、さまざまな不具合が発生します。
たとえば、ねじ山の角度やピッチが合わないために十分に密着できず、初期の段階から微細な漏れが続く場合があります。
さらに、途中までは締め込めるものの、最後まで入りきらず適切なシールが得られないケースも生じます。
また、運転開始後に振動が加わると締結部分が徐々に緩み、漏れに至る可能性があります。
4.NPTねじについて
(1)NPTねじの特徴
「NPTねじ」とは、米国のASME規格で制定されている管用テーパねじ規格で、ねじ山角度60°を採用しています。
一方、JISのテーマねじは55°であり、見た目が似ていても互換性はありませんので注意が必要です。
NPTねじは米国内のみならず、石油精製プラントやLNG設備など配管を多く扱う現場で国際的に広く使用されています。JIS規格に基づいて設計製作された配管や配管部品と、ASME規格で製作された配管や配管部品とを接合する場合には、特別な注意が必要です。
(2)誤組み合わせトラブル対策
NPTねじとJISねじの誤組み合わせによるトラブルを防ぐためには、事前の規格確認が欠かせません。メーカーが提供する図面や仕様書を参照し、どの規格が採用されているかを確認することで、誤ったねじを選択するリスクを大幅に減らせます。
また、どうしても異なる規格同士を接続する必要がある場合には、無理に直接ねじ込まず、専用の変換アダプタを使用することで安全かつ適切な接続を実現できます。
このような事前確認と適切な部品選定が、漏れや破損を未然に防ぐための重要な対策となります。

【図4 NPTへの対応(一例)】
なお、ねじの規格を確実に判別するためには、専用のねじゲージを用いた測定が最も信頼性の高い方法です。
ねじゲージは、ねじ山の角度、ピッチ、外径の適合性を正確に確認でき、JIS規格のR・Gねじだけでなく、NPTねじなど海外規格に基づく配管部品の識別にも有効です。
特に輸入機器や中古設備では、刻印が不明瞭であったり規格混在が起きていたりすることが多く、外観だけで判断すると誤組み合わせにつながる危険性があります。
ゲージを当てることで、ねじ山のかみ合い具合やピッチの一致・不一致が一目で判断でき、安全に確実な規格判定が可能になります。現場で確実な組付けを行うためにも、ねじゲージの活用は非常に有効な手段です。

【図5 ねじゲージ(イメージ)】
5.管用ねじの図面表記方法
管用ねじの図面表示については、別記事「【機械製図道場・初級編】「ねじ」の表示方法、基本はこれでOK!」の、【関連知識】③管用ねじの表示で解説しています。確認したい方はこのページをご参照ください。
6.まとめ
テーパねじと平行ねじは、その組み合わせ、密封性や、適用できる用途に明確な違いがあります。これらの違いを正しく理解し、現場で確実に識別できる知識を身につけておくことは、漏れや破損といった重大トラブルを未然に防ぐうえで非常に重要です。
そのためには、まず両者の構造的な特徴を把握すること、そして外観・刻印・ゲージ測定などを通じて正確な見分け方を身につけることが求められます。さらに、配管条件や使用環境に応じて適切に使い分ける判断力を持つこと、そして異なる規格のねじを誤って組み合わせないよう十分注意する姿勢も欠かせません。特に、JIS と NPTねじの違いは現場での混乱が生じやすいため、常に意識しておくべき重要ポイントです。
これらを踏まえて設計・施工・保守を行うことで、安全性と信頼性の高い配管システムを構築でき、長期的な設備の安定稼働にもつながります。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・Y)






































