3分でわかる技術の超キホン 可変抵抗器の原理・特性・使い方をわかりやすく解説

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可変抵抗器の解説(オーディオのつまみ)

今回のコラムでは、電子回路部品のうち、「可変抵抗器」について説明します。

1.可変抵抗器とは?

電子回路を構成する部品のうち、可変抵抗器は、電子部品の中で最もベーシックな、抵抗器の一種です。
可動するつまみなどを用いることで、用途によって抵抗値を変化させることができるものです。
英語圏では可変抵抗器の総称を「ポテンショメータ」(potentiometer)と呼んだりします。

最もよく知られた可変抵抗器の使い道はオーディオなどのボリューム調節ではないでしょうか。
他に様々な機器のつまみで、指で回すものがあれば、ほとんど可変抵抗器が使われています。

また、回路の調整用に回路基板に搭載されているものは、一度調整したら、その後はあまり動かさないので「半固定抵抗」と呼ばれています。

 

2.可変抵抗器の種類

まず、抵抗を大まかに形状で分けると、軸などを回転させて抵抗値を可変させるロータリタイプと、細長い形状でスライドさせて抵抗値を可変させるスライドタイプとに分けられます。

 

3.可変抵抗器の原理

可変抵抗器の原理は、非常にシンプルです。
基本的な構造は抵抗体と、その表面を移動する摺動子でできており、この摺動子の変位量に応じて抵抗値を変化させることができます。

図1は固定抵抗器の回路記号で、抵抗体の両側に端子(端子①と端子③)から一定の電圧をかけ、抵抗体の上を動く接点(摺動子)につながった端子位置によって変動する電圧が端子②から出力されます。
抵抗体はほぼ一定に塗られているので、抵抗値は摺動子の回転角度とほとんど比例して変位します。

 

可変抵抗器の原理
【図1 固定抵抗器の回路記号】

この原理を利用して、アナログ電圧を調整したり、変位量を実際に出力された電圧で測定し、変位センサとして利用したりします。
 

4.可変抵抗器の特性

可変抵抗器の電気的特性を見てみましょう。

可変抵抗器の全抵抗値とは、図1の端子①と端子③との間の抵抗値になります。
例えば、「10KΩのボリューム」といった場合は、端子①と端子③との間の抵抗値が10KΩの可変抵抗器ということになります。
 

抵抗変化特性カーブ

可変抵抗器の特性として重要なものに、「抵抗変化特性カーブ」というものがあります。

抵抗変化特性カーブ
【図2 抵抗変化特性カーブ】

 
図2は、図1の端子①と端子③間の入力電圧に対する端子①と端子②間(または端子②と端子③間)の出力電圧を百分率(%)で表したものが、摺動子の位置(移動量)により変化する様子を示したものです。
図2のように抵抗変化特性カーブは、A特性、B特性、C特性のような特性があります。

単純な電圧調整用途に用いられるB特性や、オーディオのボリュームのように人の聴覚で自然に聞こえるA特性等を選択することができます。
図2以外にも様々な特性の可変抵抗器があり、用途に合わせて選択できます。

 

5.可変抵抗器の使い方

図3は、可変抵抗器の使い方を示す回路図です。
可変抵抗器の接続方法は大きく分けると、図3の(a)と(b)の2つになります。
 

可変抵抗器の使い方
【図3 可変抵抗器の使い方(電圧調整と電流調整)】

 

電圧調整

図3の(a)は、電圧調整を行う場合の接続方法です。
Vinの電圧が、可変抵抗器の抵抗値のRaとRbとに分割されて、電圧Voutから出力されます。
この場合は、可変抵抗器には常に一定電圧Vinがかかっているので、可変抵抗器の消費電力は一定です。

 

電流調整

図3(b)は、電流調整を行う場合の接続方法です。
可変抵抗器の端子①と端子②(または端子③と端子②)を短絡させて使用します。
端子②の位置により可変抵抗器の抵抗値が変化し、電流Irの値が変わります。
この場合には、抵抗値が変わるので、消費電力が変わります

 

可変抵抗器の弱点と電子ボリューム

また、可変抵抗器には、弱点があります。
それは、可変抵抗器の摺動子が抵抗体上を移動する時に発生する微小な電気的ノイズです。

このノイズが大きくなると、音響機器のボリューム操作時にガリガリという耳障りな音が発生しやすくなります。物理的に摺動子が移動するので、何回も移動すると、どうしても摩耗してきてノイズが発生することになります。

この問題点を解決するために、最近では物理的な移動がない電子ボリュームも多く使われています。
電子ボリュームは、一つのICとして構成されていることが多く、長寿命という特徴があります。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)
 

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