3分でわかる技術の超キホン 電子回路部品「サーミスタ」の種類・原理・使い方

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サーミスタの解説
今回は、電子回路部品のうち「サーミスタ」について説明します。

1.サーミスタとは?

電子回路を構成する部品のうち「サーミスタ」は、温度センサと呼ばれるものの一種で、温度の変化により、抵抗値が変化する電子部品です。
-50℃〜150℃程度の温度範囲において手軽に使えることから、家電機器に組み込まれ、温度計測に多く用いられています。

電子体温計のように温度を測定するものから、エアコンの室内外の温度を測り温度コントロールをするもの、スマホなどの精密機器の内部温度の過熱を検知し、電圧をコントロールする温度補償するもの等に用いられており、私達の生活には欠くことのできないものとなっています。
 

2.サーミスタの分類・種類

サーミスタは、特性によって次の3つに分類されます。

① NTC(negative temperature coefficient)サーミスタ

NTCサーミスタは、温度の上昇に対してゆるやかに抵抗が減少するサーミスタです。
温度変化に対して抵抗値が3~5%/℃と変化するので使いやすく、一般的な温度センサとして多くの電子機器に使用されています。
温度検出用センサとしての利用の他、電源回路の突入電流減少用や温度補償用としても使われます。

材料は、ニッケル、マンガン、コバルト、鉄などの酸化物を混合して焼結したものです。
 

② PTC(positive temperature coefficient)サーミスタ

PTCサーミスタは、ある温度を超えると温度の上昇に対して急激に抵抗が増大するサーミスタです。
電流を流すと電気抵抗によりジュール熱が発生して温度上昇しますが、一定温度となると急激に抵抗値が増えて電流を流しにくくします。
このため電圧が一定ならば、一定の温度を保つ発熱体となります。
温度センサのほか、電流を流すと自己発熱によって抵抗が増大し、電流が流れにくくなる性質を利用して電流制限素子として用いられます。

チタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックを用いたセラミックPCTや、ポリマー中にカーボンブラック等の導電性粒子を分散させたポリマーPCTなどがあります。
 

③ CTR(critical temperature resistor)サーミスタ

CTRサーミスタは、NTCサーミスタのように温度に応じて抵抗値が減少しますが、ある温度を超えると急に抵抗が下がるサーミスタです。

材料は、バナジウムの酸化物に添加物を加えて焼結したものです。

 

3.サーミスタの原理

(1)NTCサーミスタの原理

まず、NTCサーミスタの原理を見てみましょう。

NTCサーミスタの材料はマンガン (Mn) 、ニッケル (Ni) 、コバルト (Co) などを成分とする酸化物を焼成したセラミックスであり、半導体です。

普通の金属(導体)では、温度が上がると抵抗が増します。これは、金属結晶を構成する陽イオンの熱運動による振動の振幅が大きくなることで、自由電子との衝突回数が多くなり、自由電子の平均移動速度が小さくなるからです。

これに対して半導体では、電荷の運び手である自由電子やホールの増加する割合が、それらの移動速度が小さくなる割合よりも大きいので、温度が上がると抵抗は小さくなります。
通常、半導体は外部から何の刺激も与えていない(光を当てる、電圧を印加するなどをしていない)状態だと、電子の移動が起こらず電流はほとんど流れない状態です。
一方、外部からエネルギー(熱、光等)を与えられると、自由電子や正孔が移動し電気を通すことができるようになります。
これが、温度が上昇すると電気抵抗が下がる理由です。
 

(2)PTCサーミスタの原理

PTCサーミスタは、チタン酸バリウムを主成分に、微量の希土類元素を混合した多結晶セラミックスを抵抗体として用いています。
チタン酸バリウムは強磁電体という特徴を持ち、その誘電率は温度によって変化するという特性があります。

PTCサーミスタの説明で、「ある温度を超えると」と表現しましたが、この温度はキュリー点です。
「キュリー点」とは、強磁性体の性質が失われる温度です。
つまり、キュリー点以下の時は高い誘電率によって電子がスムーズに移動して電流が流れる、つまり低い抵抗値を示します。
しかしながら、ひとたびキュリー点を超えてしまうと、物質は磁力を失い、誘電率が著しく落ち、電流が流れなくなります
これが、抵抗値が大きくなってしまう理由です。

このキュリー点は物質によって温度が異なりますが、一般的な使用範囲は-50℃~150℃程度となります。
 

4.サーミスタの使い方

サーミスタの使い方
 
図1は、サーミスタを使用する場合の簡単な回路図です。図2は図1のVthの温度による変化を示した図です。

図1のVthは、電源電圧をVin、サーミスタの抵抗値をRt、分割するための抵抗値をR1とすると、
Vth=Vin×R1/(Rt+R1) で表されます。

サーミスタは、温度によって抵抗値が非線形に変化するので、図1のような抵抗分割の回路を用いることによって、出力電圧Vthを線形に近くすることが行われます。(図2の20℃から40℃の範囲など)
R1の値を変えることにより、温度と電圧Vthの関係が線形になる部分が変わってくるので、使用したい温度範囲によってR1の値を決めています。
 

サーミスタの選び方とB定数

また、サーミスタの選び方ですが、大切なことは、使用する温度範囲を確認することです。
サーミスタは種類や製品によって最適な温度範囲があります。
その範囲内から外れた測定は、正確性が損なわれる可能性があるので、被計測体と、サーミスタの仕様書で使用温度範囲を確認することが大切です。

仕様書の中で重要なものが、”B定数“です。
「B定数」とは温度変化に対するサーミスタの感度を示しており、大きいほど感度が良い、つまり分解能が高くなります。
このB定数が大きいと抵抗値も大きくなり、温度変化に対して高い感度を示すということです。

B定数とは、規定された周囲温度2点での抵抗値を用いて算出した抵抗変化を示す定数となり、
式で示すと、
 B=ln (R/R0)/ (1/T-1/T0)
で表されます。
[R: 周囲温度T (K) の時の抵抗値、R0: 周囲温度T0 (K) の時の抵抗値]

使用にあたっては、サーミスタの仕様書で様々な仕様を確認することが大切です。
 
 
以上のように、サーミスタは温度に対する感度が高く、簡単に使用できるため、私たちの暮らしを支えるさまざまな製品に使われています。

 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)
 

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