【センサのお話】ロボットセンサとは?内界センサ/外界センサって具体的に何?
今回は「ロボットセンサ」についてお話ししたいと思います。
ロボットは当初産業用途として発達ししてきました。
工場の組立ライン・部品供給用・溶接用など例えばマニピュレーター形状で活躍しています。また部品搬送などに自律移動型の形状もあります。
また最近では、人型ロボットや、ペット型のロボット、ロボット掃除機なども製品化されて身近な存在になりました。
これらのロボットにどのようなセンサが使用されているのか、その一部ではありますが焦点を当てて説明したいと思います。
目次
1.ロボットセンサとは?
ロボットセンサとは?というテーマに入る前に、ロボット本体の動き制御について述べたいと思います。
本体の動作を制御するには、コントローラ・アクチュエータ・メカニズム・センサの要素で基本的に構成されます。
そして、制御系にはオープンループ制御(開ループ)やシーケンス制御などもありますが、一般的にフィードバック(閉ループ)制御を用います。
コントローラ(コンピュータなど)からの命令をアクチュエータ(モータ、シリンダーなど)に対して行い、この作用でメカニズム(アームなど)が動作します。この動作結果をセンサが検知してコントローラに通知を行います。基本はこのループで繰り返し動作し制御を行います。
しかし、実際はコントローラからの命令を複数のアクチュエータに同時に行い、また追従制御のように命令値が時間変化していくような制御を行うことで、複雑かつ滑らかな動作を実現します。
【ロボットの基本的な制御】
このようなロボット動作制御の中で、ロボットセンサは一般的に「内界」「外界」の二つに区分されます。
「内界」はロボット本体の内側において本体用に使用されるもので、「外界」は本体外部の周囲向け環境用になります。それぞれについて以下に説明します。
(1)内界センサ
内界センサとしては、電圧センサ、電流センサなど動力源に関わるもの、また位置センサとしては、基準となる位置をスイッチで検知するものや、エンコーダー、ポテンショメータによる回転角度検出をするもの、測距センサであるTOF(Time On Flight)センサなどあります。
さらに、速度センサ、角度センサなど、旋回、回転、上下左右、曲げなどの動きに対するものなどが挙げられます。
また、姿勢を検知する傾斜計、加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサなどもあります。
異常検出としては、歪みゲージ、温度センサ、衝撃センサなどが用いられます。
(2)外界センサ
ロボットの周囲向け環境に対するセンサでは、人間の五感に関わるような視覚、聴覚、触覚、臭覚、味覚に相当するものと、近接距離センサ、力センサなどに分けられます。
まず視覚にあたるものには、カメラで使用されるイメージセンサ、光検出に用いるフォトトランジスタなどがあります。
また、聴覚としてはマイクロホンをはじめとした音センサなどがあります。
触覚に関しては、圧力センサ、振動センサ、気圧センサ、温度センサ、湿度センサなどがあり、臭覚では臭いセンサとしてガスセンサなど、味覚では化学センサの一種である味覚センサが挙げられます。
近接距離センサでは、赤外線センサや超音波センサ、レーザー変位センサなどTOFセンサが使用されます。
またステレオカメラで利用されている三角測量型の測距センサなどがあります。
さらに力センサでは、3軸/6軸力覚センサ等が挙げられます。
ロボットの周辺の安全な環境を維持するためのセーフティセンサも設置されることがあります。
(3)ロボットセンサをジャンルごとに整理すると?
ロボットセンサは以下のように分類することもできます。
① 機械量センサ
- 速度センサ
- 角度センサ
- 傾斜計
- 加速度センサ
- 角速度センサ
- 歪みゲージ
- 衝撃センサ
- 変位センサ
- エンコーダー
- ポテンショメータ
- 力覚センサ
- 振動センサ
② 測距センサ
- 赤外線センサ
- 超音波センサ
- 光測距センサ
- イメージセンサ
③ 環境センサ
- 温度センサ
- 湿度センサ
- 気圧センサ
④ 生体センサ
- 味覚センサ
- 臭覚センサ
- 音センサ
2.ロボットセンサの技術動向には今後も注目!
ロボット市場は、IoTなどの動きにも影響されて産業用では効率化と省力化のため、さらに市場が広がる傾向にあります。また、家電製品や玩具用はユーザニーズにも支えられ、急速な市場発展を遂げています。
スマートなロボットを構築するために、センサは多品種で大量に使用することが多くなります。
しかし、今後はドローンやお掃除ロボットなどの市場拡大などにも影響すると思われますが、センサの更なる省電力、小型化及びセンサフュージョンと言われるような融合化が進んでいくと思われます。
また、製造においてはMEMS技術の向上がより強く求められます。
生体におけるバイオセンシングなどの対応も含め、さらなる技術開発が進んでいくことが予想されます。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)
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