環境試験の種類と概要[信頼性試験を学ぶ②]

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環境試験の種類

設計した製品が基準を満たしているか、顧客の要求品質の基準を満たしているかを確認するために信頼性試験を実施します。製品が市場に出回る前に信頼性と安全性を検証・評価する重要な試験です。

信頼性試験は主に環境試験、EMC試験、電気的試験の3つに分類できます。
それぞれどんな試験項目があるのか、自動車を例にして代表的な試験をご紹介していきます。

今回は「環境試験」について解説します。

1.環境試験とは?

「環境試験」は、機器が実際に使用する環境を想定し、擬似的に再現する試験です。
実際の使用環境に近づけて試験を行うことで、機器にどれほどのストレスを与えるのか確認することができます。単独試験で行うこともありますが、複数の要素 (例えば温度と湿度)を組み合わせて行う複合試験もあります。

 

2.環境試験の種類と内容

(1)振動試験

私たちの身の回りにある製品はあらゆる振動を受けます。
例えば自動車が走行している間は揺れが生じるため、搭載されている電子機器や電装品に負荷が掛かります。機器に振動が継続的に加わることで外観の見栄えが悪くなるだけでなく、ねじの緩み、電子部品とはんだ付けの結合が弱い場合には剥離を起こす可能性もあります。

取れてしまった部品によっては、製品の誤動作や故障を招く場合もあります。
製品が市場に出る前に振動によって製品がどの程度影響を受けるのか確認・調査をする試験が振動試験です。常温・常湿の状態で振動試験を行う場合もあれば、高温多湿の状況下で振動試験を実施することもあります。複数の環境ストレスを与えることにより、実際の使用環境に近づけることができます。
 

(2)耐水試験

自動車やバスは家電製品とは異なり、雨や水しぶきなどを受ける環境に晒されます。
雨の日に車を運転していても車内に水が入ったり、電子機器に水が入って故障することはないはずです。それは耐水性が考慮された設計になっており、その上試験で評価がされているためです。

例えば、防水ケースの中に回路基板が内蔵されているとしましょう。
ケース防水性が脆弱の場合、内部の回路基板に水入りして、機器の一部機能損失または故障に至る可能性があります。耐水試験では製品の水に対する耐性について評価をします。
水の掛かる状態によって試験方法が異なるので、取り扱いする製品の使用環境についてよく理解した上で、試験方法を選択します(下記試験は一部)。

  • 散水試験: 水滴に触れる可能性がある部品、あるいは間接的に水しぶきを受ける部品が対象。
  • 噴水試験: 直接水しぶきを受ける部品、あるいは水しぶきを多く受けてしまう部品が対象。あらゆる方向から水を噴射する。
  • 浸水試験: 水につかることのある部品が対象。水の入った槽に部品を入れて数分放置する。

自動車の耐水試験
 

(3)熱衝撃試験

熱衝撃試験は、低温と高温の切り替えを短時間で行い、急激な温度変化を繰り返す試験です。
機器へ機械的ストレスを連続的に与えて耐久性を評価します。
急激な温度変化が発生することで、機器を構成している部品1つ1つが膨張と収縮を繰り返します。

特に、材料の異なる部品が接合されている場合、熱膨張係数の違いから応力が発生します。
繰り返し応力が加わることで材料自体に疲労が蓄積され、いずれは接合面にクラックが生じます。

例えば、電子部品と回路基板はハンダで接合されています。温度変化によるストレスが加わることでハンダ接合部にクラックが入り、回路基板から電子部品が剥離してしまいます。

  • 低温側と高温側をそれぞれ何度に設定するか
  • 低温側と高温側それぞれの晒し時間
  • 低温側→高温側を1サイクルとした時に何サイクルまで試験を実施するか
  • 低温側⇔高温側に達するまでの時間

などの具体的な試験条件については、事前に取り決めをしておくと安心です。
 

(4)温湿度サイクル試験

温湿度サイクル試験では、温度変化を利用して湿度のサイクルを行うことで、結露や呼吸作用による水分吸収に起因する欠陥の影響について確認する試験です。

空気中に含まれる水分量が多いほど湿度が高くなり、結露は湿度の高い状態から急激に冷却されることで発生します。
周囲温度が変化した場合、機器はその内部の空気が膨張したり収縮したりします。そして水分を含んだ空気が出入りします。この現象を「呼吸作用」といいます。

半密閉された機器で、温湿度サイクル試験をします。
温度上昇時、機器内部が冷えている間は機器内部へ空気が流れます。温度下降時、機器内部が冷やされるまでは内部圧力が高いため、水蒸気はすき間を通して外へ放出されます。
しかし、放出される量はわずかであり、内部に残った水蒸気は冷却されて結露が発生します。試験のサイクル数を重ねることで結露の量は増えていきます。

先に述べた耐水試験のように水が直接機器に入らない場合でも、温度が変化することで機器内部に水分が発生してしまうため、温湿度サイクル試験を行っておく必要があります。
また、氷点下で使用される機器の場合には、温湿度サイクル試験で氷結時の影響も検証します。
 

(5)耐薬品性試験

薬品や油脂によって、樹脂やゴム材は膨潤・劣化します。あるいは電子部品の絶縁不良に繋がることがあります。「膨潤」とは樹脂が液体を吸収することで、樹脂の分子間に液体が入り込んで膨張してしまう現象を指します。水入り防止のために回路基板を樹脂モールドしている場合、樹脂の劣化により水入りして基板が故障することもあります。
耐薬品試験とは、薬品と油脂に対する車載部品の耐性を確認する試験です。
試験に使用する薬品は、部品が使われる箇所によって異なります。

薬品が使われる箇所 薬品
エンジンルーム内 エンジンオイル、ディーゼルオイル、電解液
車体 カーシャンプー、撥水コート、ワックス
車内 くもり止め、エタノール

部品に薬品を直接塗布、または部品を薬品に浸漬して放置し、数時間後に異常がないか調べます。
薬品によっては高温で放置したり、温度サイクルを実施することもあります。

 
以上、今回は信頼性試験・評価のうち、「環境試験」の種類と内容について解説しました。
次回は、EMC試験と電気的試験の種類についてご紹介します。
 

(アイアール技術者教育研究所 S・H)
 

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