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2024/12/3(火)9:30~16:30
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QMS(品質マネジメントシステム,Quality Management System)活動のステップとして計画があります。
計画が悪くても、後の活動レビューの段階で計画の見直しや軌道修正を行うことができますが、初期計画段階で苦労して、より質の高い良い計画を立てることは、高いモチベーションをもちながら、より良い活動を進めることに繋がります。
本コラムではQMS活動の計画段階で求められている三つの要素について説明します。
目次
「ISO9001」は、品質マネジメントシステムについての国際標準認証規格であり、図1のように構成されています。その箇条6で「計画」について述べられています。
本コラムで説明する三要素は、ISO9001による要求内容です。
【図1 ISO9001の構成】
QMS活動の進め方においては、図2に示すPDCA(計画・実行・確認・対処)サイクルを回しながら、活動の節目で、活動の中身や進捗をレビューし、活動内容の最適化を図りながら活動を継続していきます。
【図2 PDCAサイクル】
確認(レビュー)のステップにおいては、活動の結果を確認しますが、それとともにプロセス自体に問題が無いかどうかの確認も必要です。
このプロセスの評価の際には、全体プロセス、すなわちQMS全体の仕組みが最適かどうかの検討が必要な場合もあります。プロセス、方法が最適でない場合には、プロセスの修正を行わなければなりません。
結果が悪い原因がプロセスにある場合もあり、逆に結果がOKであったとしても、プロセスは良くなかった場合には、将来の別のケースでのリスクを持っていることになります。
計画段階で重要な三つの要素を図3に示します。
【図3 QMS活動における計画】
先に述べたプロセス重視の考え方は、計画段階でも意識が必要で、計画がPDCAサイクルの核となり、継続的に計画を最適化することがQMS全体(システムとプロセス)の継続的改善に繋がるようなものなっていることが求められます。
以下より三つの要素について説明します。
品質目標の内容には以下が求められます。
QMS活動は、組織全体で推進するものです。トップは状況に応じた品質方針を積極的に定め、組織メンバーによる個々の活動計画はそれに合致していなければなりません。
PDCAサイクルの確認(レビュー)の段階で関係者全員が、より客観的な状況判断を行うためには、計画段階から目標を分解・定量化しておき、実績確認時には比較ができるようにしておく必要がります。これは、見える化により、計画をより具体的に理解・共有化することにも繋がります。
計画には、顧客からの要求事項を満足するための活動が盛り込まれなければなりませんが、これに加え、組織活動という視点から求められる要求項目を検討して、対応する活動を計画しなければなりません。
顧客要求に関しては、具体的に要求されている内容に対応することはもちろんですが、「満足度を向上してもらいたい」という大きい要求に対して、受け身的ではない自主的な活動項目が加えられていることが求められます。
組織の内部と外部の状況を分析して、可能性のあるリスクへの対応策を盛り込んだり、逆にチャンスに対しては、積極的に有効活用する方策を盛り込まなければなりません。
組織の内部と外部の状況は絶えず変化し続け、それにともない新たなリスクやチャンスが生まれます。
計画段階では現状把握のために、組織の内部と外部の状況を検討しますので、それと同時にリスクとチャンスを検討し、それに対応する活動を計画に取り入れることが求められます。
品質マネジメントシステムの変更は、内部監査結果に対応して実施する以外にも、以下の状況などを定期的に評価し、計画的に実施しなければなりません。
活動のレビュー時には、活動内容自体の進捗や状況が中心になります。
一方、活動計画立案時の前提条件も変化していきます。対応が必要な変化点があれば、その都度対応していかなければなりませんが、そのような状況が既に発生していないかの確認と必要な変更とを行うタイミングを予め計画に盛り込んでおかなければなりません。
例えば、組織変更や人事異動で、計画したタスクの担当者が変更された場合はもちろんですが、兼務が増えて負荷が大きくなり過ぎていないかというようなことも確認する必要があります。
QMS活動では、仕組みと実行の両方が重要です。
外部機関によるQMSの監査や内部監査においても、仕組み(システム、決められたプロセス)と実行の両側面からの評価が行われます。
いくら素晴らしいシステムであっても実行がしっかりなされなければ効果はありません。
実行がやりきれていない原因がシステムにあって、より実行し易くするにはどうしたら良いのかを検討し改善しなければならない場合もあります。
「対策はルールの周知徹底です、教育です」でとどまらず、プロセス重視の考えで、継続的に実践・進歩可能なプロセスを目指す改善も重要です。
(アイアール技術者教育研究所 特許調査部 H・N)