3分でわかる技術の超キホン QD-OLEDとは?原理と特徴を初心者向けに解説

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QD-OLEDの基礎知識

ディスプレイの要素技術としては、CRT(ブラウン管)ディスプレイに始まり、LCD(液晶)や有機EL(Electro Luminescence)などの技術へと進化してきました。
さらに最近では、「マイクロLED」や「QD-OLED」などの技術が話題となっています。
今回、その「QD-OLED」にフォーカスして基本知識をご紹介したいと思います。
 

1.有機ELディスプレイの基本(前提知識)

先ず本題に入る前に、「有機EL」について軽く触れたいと思います。
有機ELは、OLED(Organic Light Emitting Diode:有機発光ダイオード)とも言われ、発光材料として有機化合物を用いた発光素子で構成されます。

特徴としては、液晶との比較になりますが、バックライトを使用していないため薄型の構造に加えて、黒の品質が向上しコントラストが良く、また消費電力も減少することが挙げられます。自発光のためRGBの適切な制御で自然な色合いが表現できるなどのメリットもあります。そして、その構造は以下のようなものです。

 

OLEDの構造イメージ

 

2.QD-OLEDとは?

QD」とは量子ドット(Quantum Dot)のことであり、このQDの利用は液晶ディスプレイ(QLED)として2013年頃に市場に投入されました。しかし高価なため普及には至りませんでした。原理は液晶のバックライトとして青色LED光源を持つものです。その後市場は一旦下火となりましたが、最近では韓国メーカーにより開発が進み、再び注目されるようになった経緯があります。

そして「QD-OLED」は、一言でいえば量子ドットを有機ELのカラーフィルタとして活用するものです。

 

(1)QD-OLEDの基本的な原理

そもそも「量子ドット」とは、直径数nm~10nmサイズの半導体微粒子で、素材としては亜鉛、カドミウム、硫黄などを使用しています。
これらの微粒子は様々なサイズがあり、それらの素材の調合具合によって、光を当てたときに光の波長を変調することで多様な色に変換することができます。サイズが大きいほど赤色側にシフトします。

RGBの三原色の発光については、青色有機ELで発光する光をベースに、高いエネルギー状態に励起された量子ドットは、赤色量子ドット、緑色量子ドットに照射することで、ドットサイズが異なることで赤色、緑色を取り出します。青に関しては青色LEDをそのままもしくはカラーフィルタを利用することで青色を得ることができます。一例として構造を以下に示します。

 

OLED構造(RGBの三原色の発光)

 

(2)QD-OLEDの特徴(メリット)

QD-OLEDの特徴としては、白色バックライトではなく青色有機EL光源を利用することで青色はそのままで、赤、緑は量子ドットの効果により、発光スペクトル幅が小さい放出光を得ることで、白色に比べて調整できる光エネルギーが大きく、広い色域を作成することが可能になります。

有機ELでは、白色サブ画素の助けを借りていましたが、量子ドットを利用することにより青色有機ELに置き換え可能となりました。このため従来技術と比較して視野角が拡がる応答性能の向上などが期待できます。

寿命や耐久性などは製品が出回りある程度実績が出るまでは注視する必要がありますが、画質改善が見込まれるので注目技術と思われます。
環境面から量子ドットの素材としてカドミウムフリーの開発も進められています。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)
 

 

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