製造業の「購買・調達」ってどんな仕事?新規配属者や他部署の人でも業務内容がザックリわかる

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購買・調達業務

製造業(メーカー)における購買・調達業務は技術系社員が活躍できる仕事でもあります。

このコラムでは、製造業で「購買・調達」業務を行う上で、知っておきたい基礎知識を解説します。

 

1.購買・調達とは?

製品やサービスを社会に提供するために、外部に対価を出費するものはすべて購買業務と言えますが、製造業の購買・調達部門が扱うものは、通常は自社の製品・サービスに直接関係する原材料、部品、付属品、防錆材・塗料、梱包材などです。

本コラムでも、このような品物を対象として考えることとして、消耗品、水光熱費、業務委託・請負費、などは対象外とします。

 

2.購買と調達の違いは何?

一般的には下記のような定義づけがされることが多いです。

  • 購買(Purchasing)・・・金銭を出して購入すること
  • 調達(Procurement)・・・必要なものを入手すること

イメージとしては、

  • 購買:日常業務的なもの(標準品、市販品など)の購入
  • 調達:事業戦略に基づいた専門的な供給者(サプライヤー)の選定と交渉を経ての購入

といったところでしょうか。

ある製品を作るために必要となる原材料や部品の中には、もちろん上記定義中の「購買」に属する性質のものも存在します。

会社によっては、部門名が購買となっていたり、あるいは資材と呼んだりする場合もあるでしょうが、ここでは個々の部門名にはこだわらず、あくまでも戦略的な購買業務(=調達)の基礎について考えることとして、本コラムでは以下「購買」に名前を統一してご説明します。

 

3.購買部門の役割と求められる資質は?

ものづくりに要する費用(原価)の内、外部へ支払う金額の占める割合は6~7割と言われています。

そのため、購買の巧拙が原価(C)低減に及ぼす影響は大です。
また、購入品に要求される技術仕様を確実に満足する品質(Q)のものを、タイムリーに(納期に)納入する(D)ことが必要です。

従って購買部門は、工場(ものづくり)の使命とされるQCDのいずれにも重要なカギを握っているのです。

そんな購買部門で働く人々には、次のような力量が求められます。

  • 発注先の経営状況、技術力、品質保証システム、生産設備能力、人員と技能、などについて適切に評価できること
  • 同一購入品に対して複数の発注先情報を持ち、適切に比較評価できること

 

4.購買業務の基本的な流れ

購買部門の大きな役割は次の3つです。

(1)見積依頼

  • 依頼部門(設計・技術)からの要求仕様から「見積依頼書」を作成
  • 複数の取引先(発注候補)に見積依頼を送付し
  • 各社の見積結果を比較評価し、価格・納期の交渉(相見積もり)

 

(2)発注

  • 依頼部門と協議で発注先決定→発注(売買契約)

 

(3)納入処理(検収)

  • 納期管理
  • 納入品の確認と検収
  • 支払い手続き

社内各部門及び取引先との購買業務の流れは図1のようになります。
 
社内の各部署と取引先との関係(購買業務の流れ)
 

5.見積評価

見積評価とは価格交渉のことであると考える方も多いと思いますが、それ以外にも重要な点が多々あります。

(1)見積要求事項と見積回答の整合性(最重要)

取引先の見積仕様書が、当方の要求仕様を確実に満足しているか。
確認チェックシートを用意して、取引先に記入埋めしてもらうのも一法です。
 

(2)見積書の除外項目に要注意

納期、保証期間、などは適用除外事項記載があればよく読んで、取引上問題がないかよく確認することが重要です
 

(3)秘密保持契約(NDA=Non-Disclosure Agreement)

仕様書には当方固有の技術情報が含まれるため、受注有無に関わらず、見積依頼前に締結しておくべきです。

[※秘密保持契約(NDA)に関する詳しい説明はこちらのページをご参照ください。]

 

6.価格交渉

図2に価格交渉プロセスを示します。価格交渉を適正かつ的確に進めるためには、取引先の見積価額を正当に評価できる根拠、材料が必要です。

見積価格=積算額+利益
積算額=単価 x 個数(台数)+諸経費(梱包、輸送、など) (税別)
  • 予め類似の品物の購入実績や、市場における一般的な価格(相場価格)などのデータを基に、購入する品物の予算額(実行予算)を設定して、取引先からの見積との比較検討を行います。
  • 複数の取引先から見積もりを取り、価格以外の要因とともに比較検討することも行います(相見積もり)

単価は、〇〇一式という価格表示でなく、材料、加工、組立など中身をブレークダウンした形で各々の単価で表示した方が、見積評価がしやすくなります。これを「単価積算方式」といいます。
 
価格交渉プロセス

 

7.発注業務

発注書の他に、共通した取引条件を定めた「基本契約書」を締結します。
基本契約書に記述する内容は下記のようなものです。

  1. 引き渡しの定義
  2. 代金支払い方法
  3. 所有権や知的財産権などの権利の所在
  4. 検収方法と不適合品の扱い
  5. 紛争発生時の処理方法
  6. 契約有効期間(更新日)

また特に下記の2点についてはリスク対応上明確にしておく必要があります。

  • 瑕疵担保責任の所在・・・損失が生じた場合の負担区分
  • 発注条件の変更・・・経費増となった場合の負担区分

 

8.納期管理

納期管理の基本として必須なものが「工程表」です。
責任者とスケジュールを明記した工程表を発注先から提出してもらいます。
その上で、購買担当者は、決められた納期が遵守されるよう遅延防止に努めなければいけません。

遅延防止対策として、次のようなものがあります。

① 定期報告

定期的(通常毎月)、工程表に沿った進捗報告書を提出してもらいます。
必要に応じて、進捗会議を行い、遅れの場合の対策を協議します。

② 中間検収

工程のマイルストンを設定して、中間検収ポイントを設定します。
その時点での、品質確認を行える利点もあります。手遅れにならないうちに必要な修正を加えたり、挽回策を立案したりすることも可能となります。

③ 中間払い

大型案件の場合は、進捗に応じた、分割発注とします。
受注者にとって、資金繰りの助けともなり、納期遵守にも効果があります。
ただし、納期遅延の場合のペナルティ契約など、条件を厳格にします。

 
以上、今回は製造業での購買・調達業務の基本知識を概説しました。
ご興味のある方は、続編のコラム「購買・調達担当者が絶対に押さえておくべき業務のポイントと心がけ」も併せてご参照ください。
 
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)
 

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