【生産技術のツボ】工場内のレイアウト/人員・設備準備に関する重要ポイント

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工場・製造ライン

今回は、生産技術業務の中でから設備準備の進め方について紹介します。

1.工場における設備準備の進め方

生産技術は、製造会社の中では、ものづくりの中心になる部署です。
この部署で働く生産技術者の仕事は、会社の利益創出に直接貢献することが出来る仕事です。

この生産技術の業務の中で主要業務となるのが設備の準備です。

今回は、設備の準備にあたり、どのような点に留意すべきかについて説明します。

 

2.新製品の生産準備の業務ステップ

生産技術は、設計された新製品の新規ラインを設置し、安定流動に至るまでの生産準備を実施する業務です。
新製品の生産準備の全業務ステップは、以下の図に示すものです。

 
初期流動管理
 

 

初期流動管理とは?

生産上の問題発生を極力抑えるために、安定した生産をスムーズに実現させる活動手段として「初期流動管理」の実施が不可欠です。

この「初期流動管理」とは、新製品の立ち上げなどに際して、生産準備の初期段階から安定流動に至るまで、通常よりきめ細かな管理を実施して、QCD目標設定と大日程作成し、早期に達成する活動です。

「レイアウト/人員・設備準備」は、工程計画が完了した段階です。製品コスト、立上げ納期に最も関係する業務になり、QCD目標値を達成するための具体的な進め方について説明します。

 

3.工場のレイアウト/人員計画

設備準備の前に、まず検討する必要があるのがレイアウト/人員計画です。

この中で、レイアウトは、今回の新製品を生産する工場スペースはどこに設置し、面積はどこまで許容されるのか、会社としての合意をとる必要があります。特に、場所については、工場内の物流に大きく影響するため、慎重な検討が必要になります。

生産人員については、製品コストに大きく影響しますが、レイアウトによって変わってきます。
この点からもレイアウト検討が重要ポイントといえます。

以下の図は、同じ製造工程において、レイアウトの特徴と、必要人員が異なる事例です。
また、必要人員を検討するには、歩行時間を含め人の動きを中心として、ムダのない効率的な生産を行うための作業分析を行い、標準作業書を作成が必要になります。

 
人員計画(直線ラインとU字ライン)
 

レイアウト検討の中で、忘れてはいけない項目に工場内の柱、通路の位置と、材料入荷場と出荷場の位置関係などがあります。
特に、柱位置を十分考慮しないと、以下のように設備干渉のトラブルが発生しますので注意が必要です。事前にCAD図面上などで干渉しないか確認が必要です。

 
設備の柱と干渉事例
 

 

4.設備仕様書の作成

レイアウトがほぼ決定した段階で、設備仕様書の作成にかかります。
生産技術から設備製作部署(又は、社外の設備メーカー)に対し、設備製作を依頼する場合に、設備に要求されている事項を明確にした書類が「設備仕様書」です。

「こんな感じで設備製作お願いします」と口頭で設備製作部署に依頼したり、設備仕様書を作成しても不備が多いと、依頼者の意図と異なった設備が出来上がってしまう可能性もあり、巨額な投資ロスにつながりかねません。そこで、生産設備に要求される性能諸元、構造、希望完了納期、工事範囲など、設備製作上の必要事項を明確に定めたもの、つまり「設備仕様書」を書面で作成することが必要となります。

設備仕様書は、大きく分けて、以下のような分類になります。

  • 機械関係
  • 電気関係
  • 安全・環境

例えば、仕様書の「設置場所」は、単に設備の設置場所を示すのみではありません。
この情報のなかには、概要レイアウトと柱位置の図面を添付し、制御盤、油圧機器などの付帯設備、扉の全開位置などを含め、設置位置・必要面積内に設備が設置できるよう明確に説明できる情報が必要になります。前述したように、工場の柱と設備の干渉を防ぐためには不可欠な情報です。

設備製作メーカーへの設備見積もり依頼をするときは、設備仕様書を添付し実施します。漏れの無い仕様書づくりを心がけましょう。(漏れがあり、追加仕様となると、費用も追加になる可能性もあるため)

設備仕様書の中には、機械、電気関係の仕様のみでなく、安心して作業でき、周辺地域への環境も考慮した安全・環境の仕様書づくりも必要です。社内の安全規格があれば、添付も必要となります。万一、設備稼働後にケガなど問題が発生した場合は、設備仕様書の記述が問題になるケースもあり、不十分な情報は禁物です。

 
機械関係仕様書、電気関係仕様書、安全・環境

 

5.設備準備(進捗のフォロー、検収)

生産技術と類似した技術に、設計技術があります。簡単に言えば以下の通りです。
設備メーカーで設備製作期間は、途中段階から進捗フォロー、製作状況を十分確認しながら、メーカーと設備の作り込みが必要です。

設備完成時には、仕様書に記載した検収条件に基づき検査します。例えば以下の項目です。
(※「検収」とは、発注に応じて製作した設備について、仕様書に記載された品質条件・数量・仕様に合っていると確認した上で、受け取ること。)

 
設備準備のステップ

 

設備の検収条件

検収条件は例えば以下のような項目ですが、仕様書の条件によって異なります。

  • 加工後の工程能力調査による品質評価
  • サイクルタイムが要求以内に入っているか
  • 設置位置・必要面積内に設備が設置できる寸法に仕上がっているか
  • 起動条件、インターロック回路等の安全規格を満足しているか

 
ということで今回は、生産技術業務の中から、工場のレイアウト検討や設備準備など、製造ラインの立ち上げに関する流れと注意点をご紹介しました。

 

(アイアール技術者教育研究所 T・I)
 

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