生産技術とは?生産技術職の仕事内容と業務の進め方を解説
1.生産技術とは?どんな仕事?
生産に関する技術全般を扱うのが「生産技術」です。
製造会社(メーカー)の中では、ものづくりの中心になる部門(部署)です。
生産技術者の仕事は、会社の利益創出に直接貢献することが出来る、とてもやりがいのある仕事です。
一方で、対応を誤ると会社の屋台骨を揺るがしかねないので、常に十分考えて進めていく必要があります。
以下に、生産技術業務の進め方のツボ(急所)を紹介します。
2.生産技術と設計技術の関係
モノづくりに関する言葉として、「生産技術」と「設計技術」があります。簡単に言えば以下の通りです。
- 設計技術:どのようなモノをつくるかを切り口とした技術
- 生産技術:どのようにしてつくるかを切り口とした技術
つまり生産技術は、設計者が作成した図面の意図をくんで、どのようにしてつくるかを切り口とした技術といえます。設計者と生産技術者がタッグを組んで、品質、納期、コストで競争力のある製品をつくり上げることが重要です。
3.生産技術の業務にはどんなものがあるの?
会社の規模、業種によって異なる場合がありますが、生産技術は主に以下の業務があります。
- 新製品の生産準備
- 既存ラインの維持向上
上記のいずれの業務でも肝心なことは、よく現場に足を運び、現物を手に取り、現実を目で見て、状況を把握しながら進めていくことが大切です。まずは、生産現場の生の声を聞き、実情を知ることから始めましょう。
4.生産技術が担当する仕事
プロジェクトの規模や会社によっても異なりますが、新製品の生産準備を例に、生産技術者が担当する目安を示したいと思います。
新製品の生産準備の全業務ステップは、以下の図に示すものです。
生産技術が主に担当するのは図面検討からはじまり、
内外製区分検討 ⇒ 工程計画立案 ⇒ 設備準備・レイアウト・人員 ⇒ 流動確認・品質確認 ⇒ 生産開始
までの業務です。
ただし、製品の新規性のレベルによっては設計構想の段階から関係し、開発の初期段階で、作りやすさ、生産上の改善点を織り込みが必要な場合もあります。
ここで注意したいのは生産現場が安心して生産ができるよう、安定流動に至るまで確認するのが生産技術の仕事です。中途半端な状態での現場への引き継ぎは絶対にNGです。
後で生産現場が苦しむことのないように、生産技術者が責任を持ってラインの完成度を上げておくことが重要となります。
5.生産ラインの完成度とは?
新製品を準備したときの生産ライン(製造ライン)の完成度の指標としては、一般的に以下のようなものがあります。
(1)品質に関係するもの: 工程能力の会社目標達成
「工程能力」とは、要求品質をつくり出す能力を統計的に示した尺度のことで、加工後の品質の実力判定や検査頻度の判断の目安に使用されています。
この工程能力の大きさを指数化したものが「Cp値」と呼ばれるものです。
[※関連記事:工程能力の計算方法と評価方法がこれでわかる!両側規格と片側規格の計算事例]
(2)生産性に関係するもの: 設備総合効率の会社目標達成
「設備総合効率」とは、手配した設備が効率よく使用しているかを表す指標のことです。
停止ロス、性能ロス、不良ロスを含んだ総合的な効率を表します。
[※関連記事:稼働率と可動率の違いは?設備総合効率とは?製造現場で使われる指標を整理]
(3)生産維持に関係するもの: QC工程表の準備完了
「QC工程表」とは、各生産工程の中で、製品に求められた品質特性に対し、どのような方法で管理するかを示したものです。
[※関連記事:QC工程表の作成方法と使い方]
6.困難を乗り越えるのがモノづくり
目標を達成するためには困難な道のりが多々ありますが、これを乗り越えるのがモノづくりの基本です。
生産技術職は「きつい仕事」という面もあるかもしれませんが、とてもやりがいのある仕事です。
(アイアール技術者教育研究所 T・I)