3分でわかる技術の超キホン 有機金属錯体とは?

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有機金属錯体は金属と炭素の間に直接結合で連結する化合物で、無機化学(金属)と有機化学(配位子)が融合する分野です。

周期表の元素の中で、8割以上は金属に属しますし、これらと炭素との結合の組み合わせを考えると有機金属化学の範囲はとても広く、触媒をはじめ様々な分野で研究されてきました。
その中で、Zeise 塩のような百年以上昔から知られている錯体もありましたが、多くはここ数十年で合成された化合物です。今回はその代表的な化合物を紹介させていただきます。
 

アルキル錯体

アルキル基が金属に単結合で連結した錯体です。最も代表的な化合物はグリニャール試薬R-MgXやアルキルリチウムR-Liなどが挙げられます。

例えば、

  • CH3Li メチルリチウム
  • CH3CH2MgBr エチルグリニャール

です。

この場合、アルキル配位子は-1価、相応にLiイオンは+1価、Mgイオンは+2価になります。

グリニャール試薬のC-Mg結合では炭素が陰性、マグネシウムが陽性に強く分極しているため、試薬の有機基は強い求核試薬としての性質を示します。

また、強力な塩基性を示すため、酸性プロトンと激しく反応する性質を有しており、アルキルリチウムと同じく水の存在下で取り扱うことのできない試薬です。
 

カルボニル錯体M-CO

1860年代に初のカルボニル錯体[Pt(CO)Cl2 ]が発見されました。
後に多くのカルボニル錯体が合成されました。すべての金属の酸化数は0です。
カルボニル錯体
 【図1.鉄とニッケルのカルボニル錯体】
 

オレフィン錯体

1830年代に最初のオレフィン錯体Zeise塩K[PtCl3(CH2=CH2)]が合成されました。
その構造は20 世紀半ばにPtが二重結合の部分に結合していることが分かりました。
オレフィン錯体
 【図2.Zeise塩】
 

芳香族錯体

1950年代にシクロペンタジエンから水素イオンが1つ抜けたシクロペンタジエニルイオンがFeに2つ配位した安定なフェロセンが発見されました。
シクロペンタジエニルイオンは負電荷と二重結合の位置が共鳴構造となっていますので、電子伝達の可能性が考えられ、有機金属分子ワイヤにも携わることになります。
フェロセン
 【図3.フェロセン】

シクロペンタジエニルイオン
 【図4.シクロペンタジエニルイオンの共鳴構造と有機金属分子ワイヤのイメージ図】
 

その同年代に、ドイツのKarl Zieglerがそれまで高圧が必要だったエチレンの重合反応の研究中に四塩化チタンを触媒として用いて、常圧重合が可能になりました。
その反応機構の究明をきっかけとして、有機金属化学は驚異的な発展を続けており、以下のように有機金属化学者は何度もノーベル賞を受賞しています。
 

<有機金属化学関連のノーベル賞(参考)>

  • オレフィン重合触媒(チーグラ触媒)の発見 (K. Ziegler, G. Natta) Nobel Prize 1963
  • ビタミン B12 の結晶解析 (D. Crwofood Hodgkins) Nobel Prize 1964
  • 初のカルベン錯体(CO)5W=C(OMe)Meの発見 (E. O. Fischer) Nobel Prize 1973
  • 均一系水素化触媒RhCl(PPh3)3 (ウィルキンソン触媒) の発見 (G. Wilkinson, R. S. Coffey) Nobel Prize 1973
  • 不斉触媒の開発 (K. B. Sharpless, W. S. Knowles, R. Noyori)Nobel Prize 2001
  • オレフィンメタセシス反応の開発 (Y. Chauvin, R. R. Schrock, R. H. Grubbs) Nobel Prize 2005
  • パラジウム触媒の開発 (Heck, A. Suzuki, E. Negishi) Nobel Prize 2010

これからの有機金属化学の技術動向にも注目していきたいですね。
 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・L)
 


金属化学等の特許調査・技術動向調査は日本アイアールまでお気軽にお問い合わせください。


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