【早わかり電子回路】オペアンプの応用回路② [コンパレータ/差動増幅回路]

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電子回路

1.オペアンプの働き

オペアンプについては、様々な応用回路があります。
当連載の前回のコラム(オペアンプの応用回路①)では、次のような例をご紹介しました。

  • 増幅:入力された信号を大きく増幅することができます。
  • フィルタリング:入力信号からノイズを除去することができます。
  • 信号変換:電流や周波数の変化を電圧の変化に変換することができます。
  • 信号処理:信号の合成や微分、積分などができます。
  • 発振:いろいろな波形の信号を繰り返し生成することができます。

オペアンプについては、様々な応用回路がありますが、上記の①から⑤に分類されるものがほとんどです。

今回は、前回ご紹介できなかった例について見ていきましょう。
 

2.オペアンプの応用回路

(1)コンパレータ

図1は、オペアンプを用いたコンパレータの回路(a)図と出力波形の(b)図です。

オペアンプを用いたコンパレータの回路と出力波形
【図1 オペアンプを用いたコンパレータの回路と出力波形】

 

「コンパレータ」とは、英語のcompare「比較する」を語源としていて、比較器あるいは比較回路などと称されることがあります。
2種類の電圧を比較して、出力にはHighレベルかLowレベルを出力します。
 

 
実は、オペアンプは、負帰還等を設けなければ、コンパレータとして動作させることができます。

図1(a)は、コンパレータの回路図で、図1(b)は、出力電圧Voを示した図です。
図1(b)において、非反転入力Vaと反転入力Vbを比較すると、Va-Vbが0より大きい場合は(Va>Vb)、出力VoがVccになっています。
逆にVa-Vbが0より小さい場合は(Va<Vb)、出力Voが-Veeになっています。

このように、VaとVbとの比較で出力が決まります。
HighレベルかLowレベルかを出力するので、「1」と「0」を扱うデジタル回路とも相性が良いです。
 

(2)非反転ヒステリシスコンパレータ

また、図2は、オペアンプを用いた非反転ヒステリシスコンパレータの回路(a)図と出力波形の(b)図です。

オペアンプを用いた非反転ヒステリシスコンパレータの回路と出力波形
【図2 オペアンプを用いた非反転ヒステリシスコンパレータの回路と出力波形】

 

図2(a)は、非反転ヒステリシスコンパレータを示しますが、回路としては、オペアンプに正帰還がかかった形になっています。(オペアンプの+入力に帰還がかかっている)

図2(b)は、入出力の電圧の様子を示したものです。
Viが-方向から+方向へ上昇するときは、青の矢印のように変化し、逆に、Viが+方向から―方向へ下降するときは、赤の矢印のように変化します。
オペアンプをコンパレータとして使う場合、オペアンプの出力はどちらかに飽和しているので、Voは+電源か―電源のどちらかに飽和しています。

仮に+15Vか-15Vとします。出力が+15Vに飽和している場合、オペアンプの+入力端子の電圧は、入力Viにかかる電圧よりも大きくなります。この状態では、Viに少しのマイナス電圧がかかっても、出力Voは反転しません。正帰還の効果により、見かけ上の+入力端子の電圧が増えたためです。
逆に出力Voが-15Vに飽和しているときには、オペアンプの+入力端子の電圧は下に引っ張られます。
そのため、入力Viがオペアンプの―入力端子以上になっても、出力Voは、すぐには反転しません。

このような効果を「ヒステリシス」といい、このような特性を持たせたコンパレータは一度出力がどちらかに飽和すると容易にはひっくり返りません
入力信号にノイズが重畳している場合などに、ノイズによって閾値を行ったり来たりするのを防ぐ効果があります。ヒステリシスコンパレータは「シュミット・トリガ」とも呼ばれています。
 

(3)差動増幅回路

図3の回路は、「差動増幅回路」と呼ばれる回路の回路図です。
反転増幅と非反転増幅を同時に行い、2つの入力電圧を減算(引き算)して出力することから「減算回路」とも呼ばれています。

差動増幅回路の回路図
【図3 差動増幅回路の回路図】

 

ここで、Voを求めてみると、
差動増幅回路のプラス入力をVi+、マイナス入力をVi-、オペアンプのプラス端子をV+(VA)、オペアンプのマイナス端子をV-(VB)とします。

まず、オペアンプのプラス端子V+を求めます。

差動増幅回路のプラス入力Vi+を抵抗R3とR4で分圧した電圧となるので、
VA= Vi+ × R4/(R3+R4)
となります。

次に、オペアンプのマイナス端子V-の電圧を求めます。
オペアンプのマイナス端子V-には電流が流れ込まないため、抵抗R1に流れる電流をIrとすると、Irは、抵抗R2にも流れます。
したがって、
(Vi- – VB)/R1 = (VB – Vo)/R2 = Ir
VB = (R1×Vo+R2×Vi-)/(R1+R2)
となります。

オペアンプのマイナス端子V-とオペアンプのプラス端子V+の電圧は仮想接地で等しいため、
VB=VA
となります。

したがって、
(R1 × Vo + R2 × Vi-)/(R1+R2) = Vi+ × R4/(R3+R4)
となります。

これを変形すると、
Vo={(R1+R2)/R1}{R4/(R3+R4))× (Vi+) − (Vi- × R2/R1)}
となります。

ここで、この式を簡単にするために、R1=R3、R2=R4とすると、
上の複雑な式は、
Vo= (Vi+ + Vi-)×R2/R1
となります。

この式より、差動増幅回路は、プラス入力Vi+とマイナス入力Vi-の差電圧を抵抗R1(=R3)とR2(=R4)の比で増幅した値が、出力電圧Voになることが分かります。

 

以上、オペアンプの応用回路を見てきましたが、まだまだたくさんあります。
オペアンプの可能性は、無限にあると言っていいほどでしょう。

次回は、オペアンプの選び方について解説します。

 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)
 

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