3分でわかる技術の超キホン ネットワークカメラと映像解析機能
目次
1.ネットワークカメラとは?
最近では、街中や建物内、公共交通機関など、様々なところで見かけるものに「ネットワークカメラ」があります。今回はこのネットワークカメラについてお話ししたいと思います。
ネットワークカメラは、「ネットワーク」と名前がついている通り、ネットワークに直接接続して使用されるカメラのことです。
IPアドレスを使用するため、「IPカメラ」とも言われます。
また用途により、「監視カメラ」「ライブカメラ」とも言われます。
これに対して「Webカメラ」というものがあります。
一般的に、WebカメラはパソコンなどとUSBなどで接続してパソコンを経由してネットワークに接続可能なカメラです。
今回は、この「Webカメラ」とは区別される、「ネットワークカメラ」について説明します。
2.ネットワークカメラの構成
先ずネットワークカメラの構成を述べたいと思います。
基本となるネットワークカメラ本体の構成は、カメラ部分である撮像装置、撮像装置の雲台でパン・チルト機構を有する機構部、ネットワークとの通信を行うインタフェース回路、これらすべてを統括制御する制御回路で主に構成されます。
ネットワークカメラのインタフェースに関しては、ONVIF(Open Network Video Interface Forum)という規格標準化フォーラムが複数の企業により結成されて運営されています。
このネットワークカメラを用いた利用構成について以下に示します。
(1)監視カメラ
図1に示す構成図は、監視カメラの使用例です。
それぞれの場所に設置された監視カメラに電力供給を行う「PoE(Power Over Ethernet)ハブ」に収容して、レコーダー経由で監視モニタにて監視するシステム例です。
工場、店舗、ビル管理など多くの監視システムで利用されています。
(2)遠隔モニタリングシステム
図2のシステムは、遠隔モニタリングシステム例です。
街中などに設置されたライブカメラなどインターネットを経由して遠隔で見ることが可能なシステムです。
街中の街灯、ビルの屋上、駅の改札、交差点など人や車の往来がある場所に設置されている多数のネットワークカメラを遠隔で選択することにより、その場所の撮影画像をインターネット経由して見ることが可能になります。
また、遠隔のスマートフォン、タブレットなどより画像の閲覧だけでなく、操作して撮影方向を制御することも可能です。
(3)定点観測用のカメラ
第3の例として、NHKや民放が放送に使用している定点観測用のカメラ(通称「お天気カメラ」「ロボットカメラ」「情報カメラ」などとも言われます)があります。
これらは図示していませんが、主放送局がリアルタイム伝送装置や独自のネットワーク網などを使用して全国の端末を制御可能なシステムを構築しています。
また、国土交通省の河川監視カメラなども同様に独自網で構築されています。
3.ネットワークカメラを利用した映像解析機能
ネットワークカメラ本体内蔵や、映像解析用Windowsアプリケーションなどの形で、映像解析による各種機能がメーカーより提供されています。
現在市場に提供されている機能がどのようなものかいくつかご紹介いたします。
- 人数計測:
ライブ映像や蓄積された映像より、人の頭部を検出して人数を計算します。また、人間の滞留による行列カウントなども行われています。 - 人流検出:
人の検出により交差点やビルの通路などでは動線分析を行い、人の流れを検出します。 - 顔認識・顔認証:
人の頭部の検出による顔認識です。この認識画像とデータベースとの照合による性別、年齢などの推定や顔認証などの機能です。 - シルエット表示(ぼかし表示):
映像上の顔に対する特定をできなくするプライバシー保護のためのシルエットや、モザイク、ぼかし表示などの機能です。 - 侵入検知:
特定エリア内への人の侵入を検知して報知を行うなどの機能です。 - 置き去り検知:
人がモノを置き去ることによる新たなオブジェクトの追加を検知して、不審物かどうか判断することが可能になります。
4.IoTセンサとしてのネットワークカメラ
今世の中では、IoT(Internet of things : モノのインターネット)という言葉が多く用いられます。
すべてのものがインターネットに繋がることです。インターネットに繋がることでいろいろなデータを収集可能となり活用することができます。
このデータには各種センサから得たデータです。
センサは、IoTセンサとも言われ、ジャイロセンサ、加速度センサやGPS、環境の温度センサ、湿度センサなど様々なものがあります。
ネットワークカメラはこのようなIoTセンサと一つとなります。
得られるデータは、上記3.で述べたような機能によるデータなどです。
これらの人数計測によるカウント値、滞留する行列カウント値、人の流れの多さの検知、侵入検知、置き去り検知などの情報がIoTセンサの情報として収集され処理後データ利用が行われます。
5.これからもネットワークカメラの活用は続く?
ということで、今回はネットワークカメラと映像解析機能についてお話しました。
今後も影像/画像解析ソフトウェアによる様々な解析機能が追加されていくと予想されます。
既に製品化などが行われていますが、家庭内ではインターフォンとの融合で、外出先から来訪者や家屋内の人と会話ができる機能もあります。
また、人間の顔認識と同様に車体認識、ナンバープレート解析なども進み、高精度の車体追跡捕捉も可能になっていくでしょう。
今後もプライベートな利用市場の拡大とともに、機能の充実、信頼性の向上が続き、安全・防犯・危機管理の分野における活用例もさらに拡がっていくものと思われます。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)