最低限知っておきたい冷蔵庫の技術知識・要点解説(仕組み/機能/技術トレンドなど)

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冷蔵庫の基礎知識・要点解説

冷蔵庫とは、一般的に、食品を貯蔵するために、収容部の温度を低温度に保つことができる装置を言います。
古くは氷冷蔵庫もありましたが、現在では、冷凍庫を備えた電気冷蔵庫のことを指していることが多いです。
国産第1号の電気冷蔵庫は、1930(昭和5)年に株式会社東芝(当時は株式会社芝浦製作所)から発売されましたが、庭付き一戸建てが購入できるほど高価なものだったようです。

電気冷蔵庫の基本的構造は、収容部を構成する箱にヒートポンプの一種である冷凍機を取り付け、この冷凍機によって筐体内の熱を外部に排出するものです。
筐体の壁には断熱材が設けられ、熱の移動が遮断されています。

今回は、電気冷蔵庫の基礎知識について解説します。

1.電気冷蔵庫の仕組み・構造

冷蔵庫は、冷媒を循環させ、その途中で冷媒を気化させることにより、筐体内の熱を奪い、外部に放出する、いわゆるヒートポンプの仕組みを利用した「冷凍機」によって筐体内を冷却しています。

冷凍機のしくみ
【図1 冷凍機のしくみ】

 

冷凍機では、環状に接続された配管(パイプ)の途中に、図1に示すように、圧縮機凝縮器膨張弁、および冷却器が設けられています。

冷蔵庫の構造図
【図2 冷蔵庫の構造図】

 

図2は冷蔵庫の構造を示しています。

圧縮機は、電力により気体冷媒を圧縮して高温、高圧状態とするものです。この圧縮機は、通常、筐体の背面側下部空間に配置されています。筐体内の容積が400L以上であれば、省エネを考慮してインバータ方式のものが使用されています。

凝縮器は、「コンデンサ」とも呼ばれ、圧縮機で高温、高圧状態となった気体冷媒から周囲雰囲気に放熱させて冷却し、液体とする役割があります。凝縮器は、冷蔵庫の天板部分や背面に設けられています。

膨張弁は、液体冷媒を絞り部分に通過させ、その圧力を急激に降下することで沸点を低下させることにより、気化しやすい状態とするものです。

冷却器は、膨張弁を通過して気化しやすくなった液体冷媒を気化させることにより吸熱して、筐体内の空気を冷却するものです。図示していませんが、冷却器の近傍にはファンが設けられ、冷却器で冷やされた空気を庫内へと送風します。

筐体は、図2に示すように、本体部、扉、引出し(野菜ケース)を備えています。これらは、内面側が樹脂パネルで構成され、外面側がステンレス等の金属パネルで構成されています。両パネルの間の空間には断熱材が収容されています。断熱材にはウレタンや真空断熱材が使用されています。安価な冷蔵庫では、ウレタンのみ、省エネタイプでは、真空断熱材とウレタン、450Lを超える大型のものでは、高性能真空断熱材と高密度ウレタンが採用されています。

には、片開き観音開き、および両開きがあります。
片開きは、冷蔵室に取り付けられた1枚の扉が、左右いずれかを中心として片側一方にのみ開放するものです。内容量が450L以下の小型の冷蔵庫に採用されることが多いです。
観音開きは、左右に分かれた扉が内から外に向かって開放するものです。このため、全開すると、庫内全体を見渡しやすく、また前方に突出する扉の範囲が少なくて済むという利点があります。
両開きは、片開きとは異なり、1枚の扉を左右いずれにも開放することができるようになっています。これは、シャープ株式会社の特許技術でした。

内部は、大きく分けて、冷蔵室野菜室(野菜ケース)、冷凍室で構成されています。冷凍室は、-18℃以下とされ、冷蔵室は、3~10℃、野菜室は、10℃以下に冷却されています。

 

2.冷蔵庫の主な付加機能

(1)タッチパネル機能

タッチパネル機能とは、扉に設けたタッチパネルを操作することにより、冷蔵庫の設定を行うことができるようにした機能を言います。
冷蔵庫の冷蔵室や冷凍室での温度設定などを行うことができます。扉を開けずに操作できるため、操作に手間取ったとしても、庫内の温度が上昇してしまうといった不具合が発生することがありません。

また、アイコンを表示させたり、カラーのバリエーションを増やしたりと、表示形式を自由に設定することができます。操作すべきアイコンを点灯させるなど、利用者が操作しやすい機能を備えたものもあるようです。

さらに、スマホと連動できるタイプのものもあり、外出先から設定変更するなどの操作が可能となっています。

 

(2)タッチオープン機能

タッチオープン機能とは、ボタンやタッチパネルに軽く触れたり、手をかざしたりするだけで、扉を開けることができる機能を言います。
タッチオープン機能を備えた冷蔵庫では、扉を本体部に回転可能に支持する軸は、モータによって回転するように構成されています。そしてボタンやタッチパネルに人が近づいたり、触れたりしたことが検知されると、モータを駆動制御して扉を開放するようになっています。

 

(3)無線LAN・Wi-Fi機能

AIと連携し、お出かけ時に省エネ運転を行ったり、スマホのGPS機能による位置情報から買い物先にいることを検知し、まとめ買いを予測して庫内を予め低い温度まで冷却しておいたりできるものがあります。
また、登録した気象情報から冬の寒い時期での冷えすぎを抑制するものもあります。省エネ状況をスマホに表示させるといったことも可能なものがあります。

 

3.冷蔵庫の技術開発のトレンド

(1)人工知能(AI)

AI搭載の冷蔵庫は、2014年にLGエレクトロニクス社から発売されたのが最初のようです。
現在では、庫内の食材から献立を提案したり、スーパーでの特売情報を教えてくれたり、自動で節電したり、食材の適切な保存場所を教えてくれたりすることができるようになっています。今後、様々な機能が追加されていくことが予想されます。

 

(2)モノのインターネット(IoT)

IoTとは「Internet of Things」の略称で、直訳すると「モノのインターネット」ということになります。上記無線LAN・Wi-Fi機能と重複しますが、冷蔵庫がインターネットに接続されて、遠隔操作や冷蔵庫の状態を外部から把握することができたりします。

例えば、冷蔵庫の扉にタッチパネルを設け、そこで庫内の食材で調理できる献立をインターネット上から取得して表示させたり、スーパーなどでの特売情報を表示させたりすることができます。
また、音声によりスマホからの情報を知らせたりすることもできます。庫内の食材について在庫管理を行い、ある食材が減ってくれば、報知させることも可能です。その他、インターネットを介して様々な情報のやり取りを行わせることも考えられています。

 

(3)省エネ技術

① インバータ制御技術

直流を交流に変換する装置を学術的に「インバータ」(逆変換器)と言います。
交流を一旦直流に変換した後、再度交流に変換することで、周波数と電圧の大きさを自在に変えています。

冷蔵庫におけるインバータ制御とは、冷媒を循環させるための圧縮機の回転数をインバータによって自動調整するものです。
圧縮機の駆動をインバータ制御することで、扉の開閉や、庫内および周辺の温度を考慮したきめ細かい運転が可能となり、省エネ効果を発揮することができます。

 

② 自動省エネ運転技術

例えば、搭載するセンサによって、長時間扉の開閉がないことや、室内が暗くなったことを検出して自動的に省エネ(節電)運転に切り替えることができます。

 

③ 断熱材

真空断熱材の構成に工夫を凝らしてさらに薄型にしたものがあります。
真空断熱材は、芯材となるガラス繊維(グラスウール)などをラミネートフィルムで覆い、その内部を真空にすることで作られています。
ガラス繊維の構造と細さを最適設計することで、さらに薄型化したものがあります。

 

4.主要冷蔵庫メーカーとその搭載機能

以下、各メーカーの特長といえる主な搭載機能について説明します。

(1)三菱電機

  • 切れちゃう瞬冷凍」機能: 食品をゆっくりと均一に冷却します。そして、凍結点を過ぎても凍らない過冷却状態にした後、温度変化を与えます。これにより、食品全体に多量の氷核が一瞬で形成されます。さらに約-7℃まで冷却し続けることで、微細な氷結晶が食品全体に均一に形成されます。この結果、凍結による細胞の破壊を抑え、美味しく冷凍できることになります。しかも、一般的な冷凍が-18℃であるのに対し、約-7℃という比較的高い温度で冷凍するため、凍ったままでも包丁で切ることができ、薄切り肉や魚の切り身を一片ずつ剥がすことも可能となっています。
  • AI(人工知能)搭載: センサから扉の開閉情報を収集します。開閉が活発な時間帯は「食材の投入あり」と判断し、その都度、食品の瞬冷凍を再スタートします。一方、扉の開閉があまりない時間帯は「食材の投入がない」と判断し、再スタートすることなく、瞬冷凍を継続します。これにより、確実に食品を瞬冷凍することができます。

(※参考URL: https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/reizouko/function/ |三菱電機株式会社)

 

(2)日立

  • まるごとチルド」機能: 冷蔵室の全段を約2℃・湿度80%に維持することにより、収容した野菜などの食品が乾燥したり変色したりするのを抑制して鮮度を保つことができます。
  • 特選氷温ルーム」: 冷蔵室の一部に、約-1℃で、収容した食品を凍らせない領域を設けることにより、肉や魚などの食品の風味や食感を落とないようにすることができます。冷気を食品に直接当てないようにして(間接冷却)、乾燥を防いでいます。
  • 冷蔵庫カメラ」機能: 冷蔵庫を最後に閉めたときの庫内の様子を撮影し、外出先からスマホで確認できるようにした機能です。
  • ぴったりセレクト」機能: 下2段の引き出しをそれぞれ野菜・冷蔵・冷凍モードのどれかに自由に設定できる機能です。冷却器とファンに加え、フラップを制御することにより実現されています。

(※URL: https://kadenfan.hitachi.co.jp/rei/ |日立グローバルライフソリューションズ株式会社)
 

(3)パナソニック

  • ワンダフルオープン」機能: 冷蔵庫本体から引出しを完全に引き出すことができるため、食材の使い忘れ防止だけでなく、掃除も楽です。
  • 微凍結パーシャル」機能: 肉や魚が凍り始めるぎりぎりの約-3℃で冷凍することで、生鮮食品を2週間保存できます。
  • はやうま冷凍」機能: 業務用冷凍庫レベルの大風量冷気によって、食品の細胞を壊さず冷凍することができます。

(※URL: https://panasonic.jp/reizo/ |パナソニック株式会社)

 

(4)東芝

  • もっと潤う摘みたて野菜室」機能: 野菜室に1日につき20回以上も潤いのある冷気を送り込み、野菜劣化の原因となるエチレンガスを分解する機能です。これにより、野菜の鮮度を10日間維持することを実現しています。
  • 氷結晶チルドモード」: 潤いのある冷気の水分を利用し、食材の表面を氷の膜で包み込むことで生のおいしさと鮮度を保つことができます。
  • 速鮮チルドモード」: 低温の冷気を2つのファンで強力に送りこみ、食品の中までスピード冷却することにより、凍らせずに食材を長期保存できるため、鮮度とおいしさを保ちます。

(※URL: https://www.toshiba-lifestyle.com/jp/refrigerators/ |東芝ライフスタイル株式会社)

 

(5)シャープ

  • プラズマクラスター」: 空気清浄機に搭載されているプラズマクラスターを冷蔵庫にも採用することにより、庫内を除菌することができます。
  • AI(人工知能)」機能: あいさつや天気予報、特売情報、購入した食材を使用した献立の提案など、音声により知らせてくれる機能です。

(※URL: https://jp.sharp/reizo/ |シャープ株式会社)

 
以上のように、普段当たり前のように使用している冷蔵庫ですが、日々進化を遂げています。
必需品だからこそ改良の余地がまだまだあるのかもしれません。

 
(アイアール技術者教育研究所 T・N)

 

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