3分でわかる技術の超キホン リポソームとは?mRNAワクチンとの関係は?

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1.リポソーム(liposome)とは

リポソーム(liposome)の多くは、リン脂質から構成される閉じた小胞LNP)で、細胞膜と似たように脂質二重層構造を持っています。
この特徴を利用して、薬物や栄養素をカプセル化することにより、ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System, DDS, 薬物送達システム)を達成することができます。
リポソームは保存用の凍結乾燥粉末にすることができるため、1971年利用された以来、ナノドラッグキャリアとして最も広く使用されている薬物担体になりました。
 

ドラッグデリバリーシステム(DDS)

薬物送達は、患部に薬物を送達するだけでなく、体内での分布をコントロールして、量的、空間的、時間的に制御することができます。たとえば、細胞に直接浸透することが難しい一部の薬物は、表面修飾により、生物学的障壁(血液脳関門、細胞膜など)に浸透して、効果を高めたりします。
また、リポソームの薬物負荷および放出速度を制御して、薬物の副作用を低減します。表面リガンドの導入により、薬物分子の標的化を向上させます。
 

リポソームの構造

リポソームは人工脂質二重層膜です。
両親媒性分子のリン脂質が水相に分散すると、疎水性脂質が集まって水相を回避する傾向があり、水溶液のコアを有し、脂質二重層の疎水的な膜に囲まれる構造となります。
コア中の親水性の溶質は、脂質二重層を容易に通過することはできません。疎水的な化学物質は二重層に結合することができます。
したがって、リポソームには親水的な分子も疎水的な分子も搭載することが可能です。
脂質二重層は細胞膜などの他の二重層と融合することができるため、リポソームの内容物を作用部位へと輸送することができます。
リン脂質分子構造にはリン酸基と第四級アンモニウム基からなる親水基と2つの長い炭化水素基からなる親油基を持つことが特徴です。

リポソームとそれを構成するリン脂質分子の構造
[図1 リポソームとそれを構成するリン脂質分子の構造]

 

リポソーム及びそのDDSの形成

両親媒性リン脂質分子と内包薬物を超音波処理により水中に分散させて、攪拌後に球状リポソームを形成し、薬物を脂質二重層にカプセル化して微小胞を形成します。
リポソームが細胞膜と融合できるという特徴を利用して、薬物を細胞に送達することができます。

リポソーム(liposome)及びそのDDSの形成
[図2 リポソームとそれを構成するリン脂質分子の構造]

 

2.リポソームとmRNAワクチンの関係

送達システムとして、リポソームは様々な薬物と関連していますが、いま最先端のmRNAワクチンでも切り離せない存在です。
 

mRNAワクチンの原理

リポソームにより形成された脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle, LNP)は、脂質二重層を越えた無差別なデリバリーが可能ですので、ワクチンの利用に向いています。
実際、現在使われているコロナワクチンはリポソーム媒体を利用しています。

細胞に入る前、カチオン性脂質ナノ粒子は、負に帯電したmRNA分子と静電複合体mRNA/LNPを形成し、安定性を向上させることができます。
mRNA/LNP複合体が細胞膜に到達すると、カチオン性リン脂質と負に帯電した細胞膜が膜融合を引き起こし、mRNA分子の送達が促進されて、細胞内に取り込まれます。
その後、さまざまな酵素の働きにより、pH値が低下してLNPの二重層構造が壊れ、mRNAが放出し、抗体に変換されて、免疫の役割を果たします。
 

以上、今回はリポソームの基礎知識をご紹介しました。
リポソームは、病気の治療や診断だけでなく、生化学、免疫学、さらに、食品産業、化粧品産業、および血液学などでも使用されています。

次回は、DDSの基幹技術(薬剤標的化技術/薬剤放出制御技術/吸収改善技術)について解説します。
 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・L)

 
 

 

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