3分でわかる技術の超キホン イメージセンサとは?CCDとCMOSの違いは?
今回はイメージセンサについて説明したいと思います。
イメージセンサは半導体センサで、例えばデジタルカメラやスマートフォンのカメラ機能で使用されるものです。それ以前より、ファクシミリやスキャナーなどの画像読み取りとして利用されてきました。
最近は特に高速化、高画質化が進んでいますが、いったいどのようなものか探っていきたいと思います。
目次
1.イメージセンサとは?
イメージセンサは、簡単に言えばレンズから入った光を電気信号に変換して、データとして取り出し転送するものです。
これは受光した電荷を蓄積し、電荷の転送および電荷の電圧出力を行う過程からなります。
前半の過程は、光電効果を利用したフォトダイオードで担います。
後半部分は、その半導体の構造から大きく2つのものがありCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)とCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)です。
これらをそれぞれ、CCDイメージセンサとCMOSイメージセンサと言い、それぞれ固体撮像素子とも言われます。それらの構造も含む特徴や相違点について説明を進めます。
2.CCDイメージセンサとは?
CCDイメージセンサは、「電荷結合素子」と言われるように、隣同士の素子が電荷を受け渡すことができる構造になっており、フォトダイオードにより電荷が蓄積され、この電荷を隣にバケツリレーのように移動させることを繰り返すことで送り出し、最終的に電荷を電圧に変換する構造をとっています。
CCDには一元配列と二次元配列があり、一元配列ではファクシミリ、複写機、イメージスキャナーなどの用途に利用されます。
二次元配列はデジタルカメラ、ビデオカメラ、医療用カメラなどにも利用されます。
またカラーの撮像においては、1枚のイメージセンサでRGB各色を作る単板方式とRGBそれぞれにイメージセンサを用意する「多板方式」があります。
以下に基本構造を示します。
3.CMOSイメージセンサ
CMOSイメージセンサは、画素ごとにフォトダイオードとCMOSトランジスタで構成され、画素ごとに信号を増幅します。
これにより、読出しによる電気ノイズの低減化が可能となります。
また、CMOSトランジスタによるスイッチで画素ごとに読み出すことが可能となり、高速転送が可能となります。
当初は、CCDイメージセンサに比べて照度が低い状態では素子そのものが不安定な状態となり、ノイズが発生することもありましたが、改良がなされ高画質化されました。
CCDイメージセンサに遅れること本格的に実用化されたのは1990年代以降で、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォンなどに利用されています。
以下に基本構造を示します。
4.イメージセンサの比較(CCDとCMOS)
(1)CCDとCMOSのメリット/デメリット
それぞれのイメージセンサについて述べてきましたが、ここに両者のメリット/デメリットについて以下の表にまとめました。
CCDイメージセンサが、1969年に発明と商品開発が始まり、市場のシェアとしてはこちらのほうが断然占めていましたが、2000年代になるとCMOSイメージセンサへと市場が変化しており、現在はCMOSイメージセンサが主流となっています。
(2)CCDとCMOSの主な用途
《CCDイメージセンサの用途》
- デジタルカメラ
- ビデオカメラ
- 携帯電話
- 複写機、ファクシミリ、イメージスキャナー
- 医療用カメラ
- 車載カメラ など
《CMOSイメージセンサの用途》
- Webカメラ
- 携帯電話
- デジタル一眼レフ
- スマートフォン
- 小型HDビデオカメラ
- 車載カメラ など
5.イメージセンサの開発競争
現在では、街中やビル内、家屋などいたるところに監視カメラが設置されています。
また交通系では、ドライブレコーダーなどの車載用カメラや、Nシステムなどの自動車ナンバー自動読み取りシステムなどのカメラなどが溢れています。
これら監視/観察カメラ市場規模がさらに広がり、小型化、軽量化、高精細化、高コントラストでの撮像の要求もさらに高まります。
すでにスマートフォンのカメラ画質の向上によって、皆さんも感じている方も多いと思います。
イメージセンサ開発の特徴の一つは、それを搭載する製品を開発するメーカーが、独自でイメージセンサの開発を行っていることが多いことです。
いわゆるパーツの内製化ですが、この開発品を外販も行っています。
当然STマイクロエレクトロニクスなどのような外販専門の会社もあります。
現在ではCMOSイメージセンサの性能で6000万画素程度を有するものが出ていますが、今後もイメージセンサは各種カメラの心臓部にあたりますので、さらに熾烈な開発競争が予想されます。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)