【技術者のための法律講座】技術契約の基礎知識


技術契約の基本
 

技術契約とは?

「技術契約」とは、何でしょうか?
おそらく一般的な辞書や教科書には、そのような項目は存在しないのではないでしょうか?

「中小企業経営者のための技術契約マニュアル(第4版)」(平成28年10月 東京都中小企業振興公社発行)によると「知的財産や技術を主な対象として他社と取り交わす契約を技術契約といい、物品の売買契約や、不動産の賃貸借契約などと区別されます。」とされています。要は技術が関わる「契約」という程度の意味のようです。多くの場合、「知的財産」が関係します。
 

技術契約の例

では、「技術契約」の一つに該当すると考えられる具体的な契約の例を挙げてみましょう。

  1. 秘密保持契約
  2. 共同研究契約
  3. 共同開発契約
  4. 業務委託(受託)契約
  5. 特許等の共同出願契約
  6. 実施許諾(ライセンス)契約
  7. 技術譲渡契約
  8. オプション契約
  9. OEM契約
  10. 技術指導契約

皆さんのような技術者であっても、おそらく「秘密保持契約」くらいは作成・締結に関わる機会も多いと思います。

以下に秘密保持契約に記載すべき事項の例を挙げておきます。

  • 秘密情報の特定
  • 使用目的の特定
  • 開示対象者の限定
  • 秘密情報の返還
  • 秘密保持期間

 

技術契約に関わる法律

技術契約には主に以下の法律が関わります。ここでは法律名だけ挙げ、内容には触れません。

  • 民法
  • 独占禁止法
  • 産業財産権法(特許法等)
  • 不正競争防止法
  • 外為法(外国為替及び外国貿易法)

 

契約の基礎

ところで「契約」は何でしょう?
簡単に言えば「当事者間の約束(合意)」のことで、お互いの合意が成立すれば、文書によるものだけでなく、口約束でも契約は成立し、法的な拘束力を持ちます。すなわち、契約違反に対する損害賠償請求、契約解除など、一定の制裁が法的に認められます。

多少法律的な用語でいえば、「一方当事者の申込みの意思表示に対し、他方当事者の承諾の意思表示によって成立する法律行為」とのことです。ただし、一部法律の規定や、公序良俗などの一般原則に反する契約は一部又は全部が無効になるなどの制限があります。

民法には「契約自由の原則」があり、「誰と契約するか」、「どんな内容・形式で契約にするか」は原則自由ですが、「合意内容が適法」で「合意内容に社会的妥当性があること」などの制約があります。

 

契約書作成の利点

前述の通り、契約は口頭による合意のみでも成立しますが、ビジネスにおいては契約書を交わすのが通例であり、「約束(合意)の有無、有効期間を明確にできる」「約束(合意)の内容(契約内容や条件)を確認できる」「約束違反(契約違反)を容易に証明できる」などの利点があります。
 

典型契約(有名契約)と非典型契約(無名契約)

以下に記載することは、技術者の皆さんは特に気にする必要はありません。
頭の片隅にでも置いていただければ結構です。

(1)典型契約

民法には、以下の13種類の契約が定められています。契約当事者が、これらの契約を結びながら、その内容を定めなかったとか、あるいは定めても、その意味が明確でなかった場合に適用されることになります

  1. 財産権を譲渡するタイプの契約
  2.  ①贈与 ②売買 ③交換

  3. 貸すタイプの契約
  4.  ④消費貸借 ⑤使用貸借 ⑥賃貸借

  5. 労務を提供するタイプの契約
  6.  ⑦雇用 ⑧請負 ⑨委任・準委任

  7. その他
  8.  ⑩寄託 ⑪組合 ⑫終身定期金 ⑬和解

なお、上記典型契約の2以上の組合せになっている契約を混合契約と呼ぶこともあるようです。

(2)非典型契約

 上記以外の契約で、技術契約の多くはここに属します。

 

一般的な契約書の構成について(参考)

技術契約に限らず、契約書は一般的に以下のような構成をとります。

  • タイトル(題名、標題)
  •  ・契約書のほか、覚書、確認書、協定書など表題の付け方に決まりありません。
     ・「特許実施契約書」「秘密保持契約書」など契約内容が端的に分かるものが望ましいです。

  • 前文
  •  誰と誰が、何について、どのような契約をするのか、当事者、契約締結の目的、背景、意図などを記載します。

  • 本文
  •  誰が誰に、どういう条件で、何をするのか、当事者間の決め事を項目ごとに、条文を分けて記載します。

  • 後文(末文)
  •  契約書を何通作成したか、誰が保有するかなどを記載します。

  • 日付
  •  通常はこれが契約締結日として契約期間の起点となります。

  • 当事者の記名捺印(署名)

 
 
以上、技術契約を中心に、契約一般についても簡単にまとめてみました。
ご自身で技術契約を作成する機会はあまりないと思いますが、ご参考になれば幸いです。

また、技術契約に関する妥当性の判断は専門家でなければ難しいケースが殆どです。
契約書の作成や交渉にあたっては、ぜひ社内の法務部門(法務担当者)や外部の弁護士さんなどの専門家に相談のうえ、手続きを進めるようにしましょう。

 
(日本アイアール株式会社 A・A)
 


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