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薬を服用する患者が小児の場合は、苦みや臭いのある薬の服薬をいやがる場合が多くなるのは容易に理解できます。このように矯味・矯臭は、小児科領域においては特に重要でありますが、大人にとっても服用の際の不快感は、コンプライアンスに影響を与える大きな要因となっています。
今回のコラムでは、薬を飲みやすくするためには欠かせない「甘味剤」「矯味剤」についてご紹介します。
目次
「甘味剤」とは、医薬品に甘味をつけるためのもので、白糖、マンニトール、フルクトース(果糖)、ラクトース(乳糖)などの糖類、甘草粉末などで、散剤や顆粒剤などに苦味低減やマスキングの目的で添加されています。小児用の溶液製剤であるシロップ剤でも汎用されています。
「矯味剤」とは、苦い薬物に添加して飲みやすくするもので、糖類が主に使われます。ドライシロップや内用剤などに使用されている例があります。
また、「矯臭剤」とは、薬の不快な臭いを消したりやわらげるもので、l-メントール、ハッカ油、フレーバーなどが用いられます。
製剤の苦味マスキング法には、包摂化などの化学的な方法、コーティングなどの物理的な方法がありますが、甘味剤・矯味剤は、官能的な方法に当たるといえます。
コーティング法は膨潤剤の併用により、口腔内での薬物溶出を未処理の場合の1/100以下にする事ができるのに対して、矯味剤による味の抑制は、一般に1/10位までとの報告もされております。
苦味マスキング効果としては、物理的または化学的方法に比べて、味剤・矯味剤を用いる官能的な方法は、その効果は低いといえます。
しかしながら、錠剤などは、糖衣錠やコーティング錠とすることができますが、小児用製剤は、粉やシロップなどが多く、物理的なコーティングを施すことができない製剤も多くあります。
したがって、甘味剤・矯味剤を用いた苦味マスキングは、特に小児にとってコンプライアンス上必要な製剤ということができます。
白糖、精製白糖は、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤などに医薬品添加物として使用されています。
錠剤では、主として糖衣として、散剤や顆粒剤、シロップ剤の場合には、主として甘味剤として用いられています。
いずれも患者の服用性向上のために用いられていますが、白糖は安価で安全性が高く、甘味剤としては最も多く使用されています。
性状は、無色又は白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味は甘く、水に極めて溶けやすく、エタノール(95)に極めて溶けにくいとされています。
経口投与での1日最大投与量は、白糖は、経口投与は適量、皮下注射 50mg、一般外用剤 700mg/g、舌下適用 541.76mg、精製白糖は、経口投与 33g、静脈内注射 39.84g、皮下注射 25mg、舌下適用 9gとなっています。
精製白糖に機能性を付与した添加剤として、「精製白糖球状顆粒」があります。これは精製白糖を顆粒状に調製したものです。
これを芯物質として、表面に有効成分をコーティングし、さらに、水不溶性膜などの機能性のコーティングを施すことにより、徐放性(徐々に放出されて効果が持続する性質)などの機能を付与し、投与回数を減じることが出来るようにする際に使用されています。
白糖を甘味剤として使用している医薬品は多数あります。
通常のシロップ剤では、溶液の40~60%は白糖が用いられているようです。
また、白糖の水溶液として、「単シロップ」が販売されており、シロップ剤の調剤に用いられています。
ショ糖(スクロース)の約500倍の甘味を持つ人工甘味剤です。
性状は、無色~白色の結晶又は白色の結晶性の粉末で、味は極めて甘く、エタノール(95)にやや溶けにくく、水に溶けにくいです。
ヒトへの影響が懸念されていますが、医薬品としては少量のため使用されており、最大使用量経口投与8mgとなっています。
アジスロマイシン小児用細粒、アセトアミノフェンドライシロップ小児用、アシクロビルドライシロップ、エピナスチン塩酸塩ドライシロップ小児用、カルボシステインシロップ、クラリスロマイシンDS10%ドライシロップ小児用などに使用されています。
ヒトにはショ糖(スクロース)の100~200倍の甘味に感じられる人工甘味料です。
性状は、白色の結晶性の粉末又は粒で,においはなく、強い甘味があり、ギ酸に溶けやすく、水に溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けないとされています。
FDAでは、1日摂取許容量は体重1kgあたり50mg と定められています。
医薬品としては、アシクロビルドライシロップ、アジスロマイシン細粒小児用、アセトアミノフェンDS小児用、アムロジピンOD錠、アンブロキソール塩酸塩内用液、エピナスチン塩酸塩DS小児用、カルボシステインドライシロップ、クラリスロマイシンドライシロップ小児用など、多くの医薬品に用いられています。
キシロースから合成される糖アルコールの一種で、果実や野菜の中に含まれ、また人体でも作られる甘味料です。
最大使用量は、経ロ投与4.2g、静脈内注射200mg、筋肉内注射90mgとなっています。
医薬品としては、アムロジピンOD錠、ドネペジル塩酸塩内服ゼリー、などの医薬品に用いられています。
果実や発酵食品に含まれている天然の糖アルコールで、ブドウ糖を発酵させることにより作られます。
性状は、白色の結晶又は結晶性の粉末で,においはなく,味は甘く冷感があり、本品は水に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けないとされています。最大使用量は経口投与5 gとなっています。
糖アルコール類は、水に溶解すると吸熱するため、口腔内で溶解すると清涼感がありますので、顆粒剤や散剤で多く使用されています。
医薬品としては、アンブロキソール塩酸塩ドライシロップ小児用、エピナスチン塩酸塩ドライシロップ小児用、ドネペジル塩酸塩内服ゼリー、フェキソフェナジン塩酸塩OD錠、プランルカストDSなどに使用されています。
消化管から吸収されない性質があり、エリスリトールを使用した健康志向をアピールしている製品も出てきています。
ショ糖(スクロース)を化学修飾することで開発された人工甘味料です。
性状は、白~淡灰白色の結晶性の粉末で,においはなく,味は極めて甘く、水又はメタノールに溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けやすいとされています。最大投与量として45mgとなっています。
医薬品としては、アジスロマイシン小児用細粒、アリピプラゾール内用液、アンブロキソール塩酸塩徐放OD錠、オルメサルタンOD錠などに使用されています。
医薬品として用いられるフレーバーとしては、オレンジ、アップル、ストロベリー、ヨーグルトなど多くのフレーバーがあります。
医薬品としては、小児用ムコソルバンシロップ(ラズベリーフレーバー)、小児用ムコソルバンDS(ヨーグルトフレーバー)、 ピコスルファートナトリウム内用剤(オレンジフレーバー) などに使用されています。
また、塩酸バンコマイシンにオレンジ、青リンゴ、コーヒーを用いて評価した報告があり、この報告ではさらにクエン酸、酒石酸を、添加・増量することで良好な矯味となったとされています。
上述の通り、特に、小児用の製剤としては、甘味剤・矯味剤は必要不可欠な添加物といえます。
また、OD錠などにも多く使用されていることがわかります。
ただ、甘味剤等だけで味の改善をしようとすると量が多くなったり、製剤としての品質にも影響が出てくることが懸念されます。
また、苦味に関しては、ヒトの閾値は個人差が大きいとされており、時には、その差が10倍程異なることがしばしばあるとされています。
万人が苦味を感じない製剤とすることは、なかなか難しいことかもしれませんが、味のマスキングには、物理的方法(例えば疎水性物質で表面処理するなど)、化学的方法(例えばpHを調整するなど)もあり、これらの方法を組み合わせることによって、不快な味を低下させた服用しやすい味の製剤が開発可能になるものと考えられます。
(※いずれも2020年7月時点での検索結果です)
j-Platpatを用いて甘味剤・矯味剤の特許を調査してみました。
これらの特許文献の内容をざっとみたところ、錠剤の製法など医薬品製剤の特許が多数見られました。
矯味剤・矯臭剤にはFターム4C076FF52[(医薬品製剤 )目的,機能 ・機能矯味剤、矯臭剤]があります。
Fターム検索で得られた4646件を年代別グラフにしてみると次のようになりました。
また分野別にみてみると、「医薬品製剤」のテーマコードということで、やはり医薬分野が圧倒的に多い結果となりました。(2000年以降)
分野(FI) | 件数 |
A61(医学または獣医学;衛生学) | 2854 |
A23(食品または食料品) | 931 |
C07(有機化学) | 264 |
C12(生化学 など) | 119 |
C11(動物性または植物性油,脂肪など) | 76 |
B01(物理的または化学的方法または装置一般) | 51 |
上記の甘味剤・矯味剤が請求範囲に記載されている特許を調べてみました。
文献データベース「J-STAGE」を用いて文献調査を行ってみました。
各特許文献・非特許文献の具体的な内容について知りたい方は、ぜひ実際にデータベースを検索して確認してみてください。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・T)