部品寿命忘れるべからず(保全技術:初級)(技術者べからず集)
長年未交換の消耗部品
読者氏は下図のような構造の機械の保全を担当しているとします。
ポンプやバルブなど高圧の流体を扱う機械によくみられる構造です。
内部構造部品は、運転中に摩耗や劣化が進むため、定期的に運転停止して分解点検を行います。(定期点検)
機械の組立状態ではこの内部構造部品は、外側の容器(ケーシング)内に挿入されて機能を発揮します。ケーシングの両側には、蓋(カバー)があってケーシングとカバーの締結部には、シール部品(Oリングなど)が挿入されて、機械の運転中に高圧の流体が外へ漏れないようにしています。
分解点検の際には、図の左側のカバーを外せば、内部構造部品を外へ取り出すことができます。この時、左側カバーは分解するのでそこのシール部品は当然消耗品として交換されます。また内部構造部品の軸がカバーを貫通する箇所には軸封部品が使用されており、これも分解されますのでその消耗部品は交換されます。
ところが、右側カバーは分解の必要がないので、カバーとケーシング締結部のシール部品は未交換のまま継続使用されることになります。
消耗部品の寿命は短い
シール部品は、Oリングであればゴムなどの非金属で作られており、その耐用年数は金属部品に比較すると非常に短いものです。(一般に4~6年程度)
Oリングなどシール部品は締結部の狭い隙間の溝などの空間に圧縮された状態で挿入されて元の状態へ戻ろうとする力(復元力)で挿入された空間一杯に充填されることで内部の圧力を持った流体が外へ漏れだすのを防止します。
ゴムなどのシール部品材料が経年劣化により硬化して弾力性(復元力)が失われるとシール機能を発揮することができなくなります。
右側カバーのOリングが長年にわたって未交換(カバー未分解)のままであると、Oリングが経年劣化により硬化してシール機能を失い、機械の運転中にある日突然、カバーとケーシングの隙間から高圧の液体が噴き出すというトラブルが発生する恐れがあります。
例えば、該機械の分解点検頻度が2年に一度であれば、分解点検2回ごと(4年おき)に右側カバーも分解してシール部品を交換する、というように保全計画を立てて、シール部品の寿命超え長年使用にならないように留意する必要があります。
要は、保全担当する機械や部品の構造をよく理解して、適切な保全計画を立案推進することです。
部品寿命忘れるべからず、を心がけましょう。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)