【資料・ツール解説】不具合報告書のテンプレートと記入例

製造現場や業務プロセスにおいて、不具合の発生を完全に防ぐことは困難です。重要なのは、発生した事実を正しく記録し、原因を分析し、再発防止につなげることです。不具合報告書はそのための正式な記録文書です。
本記事では不具合報告書の役割と、実務で使いやすいフォーマット構成、各項目の記入事項とそのポイントを解説します。
なお、本記事でいう「不具合報告書」は社内向けの運用を前提としています。以降は便宜上「不具合報告書」と表記します。
不具合報告書とは
不具合報告書は、業務や製品が定められた要求事項・基準から逸脱した場合に、発生した事実を記録し、是正処置を管理して再発防止につなげるための文書です。(例:工程内不良、手順逸脱、検査漏れなど)
監査対応だけでなく、日常の改善活動の起点としても重要な役割を担います。
不具合報告書は単なる反省文ではありません。
不具合を個人の問題で終わらせず、仕組みの問題として整理し、再発防止を組織知として残すために作成します。この視点が欠けると、同様の不具合が繰り返される原因になります。
ISOとの関係
ISO 9001では、不適合の管理(8.7)と、原因除去・再発防止を含む是正処置(10.2)が要求されます。
不具合報告書は、事実/対応/原因/対策/確認を一貫して残せるため、監査時の説明根拠となり、再発の有無を確認する起点にもなります。
社内向け不具合報告書のフォーマットサンプル(記載例)
【※当サイトでダウンロードできる、不具合報告書(Excel形式のテンプレート)と記入事項の文例】
各記入項目の解説
- 不具合内容:
「何が起きたのか」を事実ベースで記載します。推測や評価はここには書かず、確認できた事実のみを整理します。あわせて5W1H(いつ/どこで/誰が/何を/どのように)を整理し、発生状況を客観的に記録します。 - 要求事項/基準:
どのルール・仕様・手順に適合していなかったのかを明示します。基準が不明確なままでは、是正処置の妥当性も判断できません。 - 波及範囲の確認:
社内不具合では、発生した事象そのものだけでなく、同様の問題が他に広がっていないかの確認が重要となります。
※記載例: 同一ロット・前後ロット、同一工程の他製品、過去の対象品(必要に応じて他ライン・他拠点など)。
影響が「ない」と判断した場合でも、どこまで確認したうえで判断したのか(対象範囲、件数、確認方法)を記載することがポイントです。 - 暫定処置:
影響拡大を防ぐために実施した暫定対応(応急処置・封じ込め)を記載します。是正処置(恒久対策)とは切り分けて考えることが重要です。
※対応例: ロット隔離、出荷停止、全数再検査、再作業など。 - 原因分析:
なぜその不具合が発生したのかを、なぜなぜ分析などを用いて掘り下げます。「作業員がミスをした」などの個人要因で止めず、なぜミスが起きたのか/なぜ流出を防げなかったのかまで確認しましょう。
結論は、原因を「管理の不足(基準・手順・教育・設備設定・確認記録・ダブルチェック等)」などの形で言語化すると、対策に落とし込みやすくなります。 - 是正処置(恒久対策):
原因を取り除くために実施する対策を記載します。「注意喚起」「再教育のみ」で終わらせず、再発しないよう運用に組み込むことが重要です。
※対応例: 作業手順の変更、チェックリスト追加、設定の固定化、設備改善、ポカヨケの設置など。 - 再発防止策:
再発防止策は、是正処置を仕組みに落とし込むイメージで整理します。ルール化、記録の仕組み、チェック機構の追加など、運用に組み込まれていることが重要です。 - 有効性確認方法:
是正処置が有効だったかをどのように確認するかを明示します。確認方法が決まっていない対策は形骸化しやすいため、確認時期、確認者、確認方法(監査、データ評価、現場観察など)まで書けると確実です。 - 承認欄:
部門長、品質部門など必要な承認ルートを明示します。誰が、いつ承認したのかが分かる形式にしておくことで、後日の確認やトラブル防止につながります。
ぜひ不具合報告書を活用し、発生した事実の共有と原因・対策の整理を、組織として継続的に積み重ねてください。
小さな不具合でも記録を残すことで、再発防止と継続的な改善につながります。
(アイアール技術者教育研究所 K・A)
※当研究所が提供している資料や各種フォーマット等につきましては「資料ダウンロードページ」をご参照ください。






































