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生成AI時代における秘密情報管理とメタバース空間の知財対応(セミナー)
2024/12/17(火)14:00-17:00
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現在テーマパークやゲームの世界で、またスマートフォン使った買い物などの世界で、いわゆる仮想空間を利用した仮想体験技術の利用が進んでいます。この技術は、1960年代より研究が本格化したと言われています。
このように仮想体験の技術開発が盛んに行われていますが、いろいろな場面で目にすることが増えた「VR」、「AR」、「MR」、「SR」など聞いたことはあるけど一体どのようなものか?また近年では「メタバース」なる用語も現れて、某アメリカ企業が企業名に冠する事態も発生していますが、一体何のことか?
今回これらの仮想体験技術に関する用語に解説したいと思います。
目次
まず、総称して「クロスリアリティ」(XR)と呼ばれるVR、AR、MR、SRについて説明していきます。
「仮想現実(VR)」とは、コンピュータグラフィック(CG)で作られた仮想世界に、自分があたかもそこに存在しているかのような感覚を体験できる技術です。
一般的に専用ゴーグルなどのヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使用して体験します。
VR装置の商品化が始まったのは90年代前後からで、ゲーム機やスマートフォンなどの機器がけん引役となり利用が拡がっています。ゲームなどのエンターテインメント以外では、例えば住宅など建築前を想定したユーザーへの体験シミュレーションや設計等の分野でデザインを確認するためのツールとして、また非常用の訓練環境を構築して体験するなどの利用が想定されます。
「拡張現実(AR)」は、現実世界にデジタル情報である仮想の視覚世界を重ね合わせる重畳世界を構築します。つまり仮想情報を現実世界に反映(拡張)していく技術です。1990年代から利用する技術が加速しました。
至近な例としてスポーツの映像など、例えば体操などの演技中の体の軌跡の流れをリアルタイム合成した映像を見た人も多いと思います。そのほかに水泳の競技中に各コースでプレーするアスリートの順位やスピードなどを表示する画面もあります。
またスマートフォンやタブレット端末などを使って モデルや自分の画像に衣類の着せ替えや髪の色を組み合わせるような体験や、室内に家具などを置いた場合のシミュレーション体験の利用もなされています。
利用に際しては「Google glass」のようなARスマートグラスを使用することもあります。現実世界を主体としながら、その世界にないものまで存在しているように体験できます。
「複合現実(MR)」とは、VRとARの中間的な存在であり、CGなどで作られた仮想世界と現実世界を組み合わせて融合世界を実現する技術です。現実世界の中に仮想世界の情報を提供することで、ユーザーは現実世界で仮想の体験を可能にすることができます。
MRの概念は1990年代に提唱されましたが、製品としては2015年ごろに主に産業用として市場に出回り始めました。
一般的にはMR専用のゴーグル(HMD)を使用して、CGを現実世界に映し出すことで、一例として会議室で共通の対象物(例えば3Dホログラムなど)を見ながらコラボレーションができることなど想定されます。
今後利用が期待される分野としては、医療 自動車 教育などが広く利用できると考えられています。
「代替現実(SR)」は、現実世界と過去のあらかじめ記録した画像や音声情報を重ね合わせて差し替えた世界を体験できる技術です。過去の事象をあたかも今起こっているかのように提供します。現実世界の一部を過去の事象に差し替えることで、実空間に過去の空間を存在させる錯覚を体験するものです。
SRの概念自体は、2000年代に入ってからと言われています。SRは製品というより認知機能の分野での活用などを想定されているようです。
上述のXR分野は、HMDやスマートフォンなどの端末を使って仮想空間を視聴する受け身的な体験が中心です。
これに対してメタバースとは、一言でいうとインターネットなどオンラインを利用して繋がりを持った三次元の仮想空間やその中に存在するサービスなどを含む空間を示します。
この空間内でユーザー同士が自分自身の分身である「アバター」を利用して、様々なコミュニケーションやコンテンツを楽しめる空間です。ゲームの世界では既にオンラインゲームなる世界が存在します。
しかしメタバースでは現実の世界のように、例えばビジネスの世界で仕事を行う場面や会議への利用が可能ですし、日常の生活においてはショッピングや友人との交流などへも利用可能になる点が異なります。
「メタバース」という用語は、メタ(Meta:超)とバース(Universe:ユニバース)を組み合わせた造語です。この三次元空間の概念は2000年代に入ってからであり、日本も2000年代中頃に話題となりました。ただし、話題が先行している感じが大で利用が進んでいませんが、オンラインゲームの世界で利用が行われているように新たなニーズの発掘が必要です。
現在、VR機器を利用したサービスの開発に重心をおいて各社が開発を進めており、ビジネス分野や教育分野などで日常的に活用するような世界が実現することが予想されています。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)