センサのお話

【センサのお話】測定と画像

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ブラックホールの観測と画像化
 
最近、ブラックホールの画像が報道されて驚きました。
形状には、あまり違和感はありませんでしたが、光をも曲げる引力のブラックホールは、光学的な観測では形を捉えることは不可能で、磁気を使った観測で将来可能になるかもしれないという話を信じていたので、えっ光学的な観測で形状の観察ができるんだという驚きを感じました。
 

測定と哲学

測定とはいったい何でしょうか。観測結果を定量的に表すことでしょうか。
人間の観測方法の一番の基本は五感、すなわち、視覚、聴覚、触覚、嗅覚そして味覚を用いたものです。
五感を使った観測を、もう少し拡張していき、測定値と画像を用いることで観測の範囲は広がっていきます

かつて、かの有名な哲学者デカルトは、‘真実とは何か’と考え、自分が見えるもの・聞くものなどには、錯覚や幻聴などがあると疑問をいだき、最後に‘我思うゆえに我あり’という結論に至りました。すなわち、そういう疑問を考えている自分自身は真実であるという考えです。

物理現象を理論的に理解し(又は理解した人を信用し)、測定値の精度を信じ、そして画像化方法を信じることにより、人間として直接観察できないことを画像として理解できます。

 

画像表示

電気は目に見えません。静電気で、電球が光り、これが電気ですと説明されますが、目に見えるのは電気ではなく、フィラメントの発する光です。地球は平らではなく、球体で、引力や電場や磁場があって、物質を細かくしていくとクォークとかニュートリノとかに分解できて・・・。これらは、観測と数式的な理屈が一致していることにより存在するとされ、このようなものであろうと信じられています。

人間どうしのコミュニケーション、すなわち知識を共有するのに画像表示は大変な威力を発揮します。
色がついた画像によって理解ができることは多いですよね。例えば流体解析の答えとして、数値だけの圧力分布表や速度分布表だけで、色や画像を使って表すことができなかったとしたら理解するのは大変です。

いまやVR(Virtual Reality) やCG(Computer Graphics)を駆使した画像で、複雑なことがイメージとして容易に理解できます。
宇宙のこと、体の中のこと、化学反応など観察の限界をはるかに超えて理論で分かっていることが映像によって理解できます。

 

観察者の限界

平面移動しかしない生物は二次元の感覚はありますが、三次元の感覚はありません。
一般の人は、観念的に理解できる時間軸を加えて四次元まで理解できます。
次元の定義にもよりますが、五次元以上の世界を感覚的に理解するのは中々難しいことです。

色を例にした場合、ある生物は人間が見える全ての種類の色が見えません。
その生物は、見るものを見える色の種類で理解しています。それでは人間はどうでしょうか。
人間も同じで、人間が見える色以外の色が存在しても人間には見ることはできないので、見える色だけで理解することになります。

 

センサと画像

センサにより測定できるのは、ある点における状態情報です。
この情報を集積したり、時間変化を追ったり、欠けている領域を計算により推定補完したりして、数値での分布を求めることができれば画像として表すことができます。
画像によって人間でも理解できることが画期的に増えましたが、AIを使うことにより、これまで人間が画像から理解してきた経験をAIに学習させ、画像から得られる情報をマクロ的(全体的)にもミクロ的にも解析することが可能になります。(簡単にAIから答えを得られるようになると、人間の考える力は急激に衰えていくでしょうか)

 

センサ、画像そして制御

自動運転の制御では、自動車自身の状態、交通など周りの状態を知らなければなりません。
センサでは、対象物との距離など物理量を観測します。一方カメラを用いた画像解析で、歩行者と他のものを判別します。
他の例として、快適性制御などで、物理面だけでなく心理面も含めて人間に対する制御を行う場合には、多くのセンサ技術に加え、表情などを分析するために画像解析技術が活用できます。

 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)
 
☆各種センサ技術に関する特許調査・技術情報調査は日本アイアールまでお気軽にお問い合わせください。

 

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