【センサのお話】センサのインテリジェント化を考える
スマートセンサ(かしこいセンサ)と呼ばれることもありますが、センサのインテリジェント化について考えてみたいと思います。
インテリジェント化されたセンサの事例
現在、検出した生波形をシステムコントローラに伝送する基本的なセンサに対して、インテリジェント化されたセンサの機能としては、以下があります。
- 生波形の処理をする
- アナログ信号をデジタル信号にして出力する
- センサプローブの個体バラツキを補正する
- センサの故障診断を行う
- センサを制御する
インテリジェント化するためのハードウェアの形態としては、センサプローブ本体に実装する場合とセンサに連結されたセンサコントローラを用いる場合があります。センサコントローラの場合には、センサコントローラとシステムコントローラを連結します。
センサプローブの個体バラツキ補正
センサにとって耐久信頼性と精度は、二大重要項目です。
このうちの精度に関しては、センサ個体に関係する様々なバラツキが影響を与えます。
センサでは検出目的の物理量に相関を持つ電気的出力を発生させるわけですが、制御システムでは「スケーリング」と言って、電気的出力と物理量との関係を決めておかなければなりません。
この際に用いられる電気的出力特性は、センサの個体バラツキのため、平均化した特性となります。
このスケーリングで用いた平均的特性と実際にシステムで使用するセンサとの差はシステム制御誤差の要因となります。
センサコントローラを用いるインテリジェントセンサでは、センサ個体バラツキを前もって補正することができます。
多く用いられる方法としては、センサプローブの特性検査において分類を行い、センサコントローラとのアッセンブリング工程で、その情報を用いてセンサコントローラからの出力値を調整します。
センサコントローラ
センサプローブとセンサコントローラはワイヤハーネスで連結されてセンサアッセンブリとされます。
センサアッセンブリとシステムコントローラ間もワイヤハーネスで連結されますが、システムコントローラには他のセンサやアクチェータとの連結もあるため、ワイヤハーネスは長くなります。
センサの信号の処理などに関しては、二つの方法があります。
一つはセンサをインテリジェント化しないで、システムコントローラを拡張して一体で対応する方法で、もう一つがセンサコントローラとして分離して対応する方法です。
センサコントローラ方式のメリットは、上述のようにセンサに関する対応をセンサアッセンブリで独立完結できることに加えて、センサが微弱電流を扱う場合に、直接遠いシステムコントローラとつなぐよりも外乱ノイズに対して有利となることです。
一方で必要な特性として、センサ搭載部に近いということで、耐熱や耐水などセンサ搭載に要求されるものと同等の耐環境性がセンサコントローラにも求められます。
全体システム設計 ~どこまでをセンサに持たせるべきか~
センサのインテリジェント化においては、根本の全体システム設計から見た場合に、どの程度インテリジェント化するのが良いかという視点があります。
すでに処理回路だけでなくCPUもソフトウェアも持てるとなると、どこまでをセンサに持たせるべきかという話になります。
アクチェータにも同様な話があって、微弱電流センサのノイズ対応と逆で、アクチェータを高電流で駆動するのでノイズを与えるので駆動回路をシステムコントローラから分離してアクチェータに持っていき、さらに関係する制御を切り離し、コントローラ付きのものができました。インテリジェントアクチェータの登場です。
どう分散させ、どう集積するのか。
全く新しいシステムの設計をするとしたら、まず全体のシステムの制御ブロックができたら、最適集積度&分散度の視点から区分わけを行わなければなりません。
実際には、技術や供給の状況、開発プロジェクトの進め方など、制約条件が山ほどあるかもしれませんが・・・
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)
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