数値化を怠るべからず(技術者べからず集)
その対策品は崖っぷち?
対策品が評価で”OK”になると安心してしまうケースがよく有ります。
そしてよくあることは、市場で不具合再発を繰り返すことです。
その原因は、‘強くしたし、評価でもOKだったから問題ない‘という考えです。崖っぷちでも評価はOKとなるのです。
ストレス(Stress)とストレングス(Strength)
加わる応力が、強度を上回ると破壊が起こりますが、もう少し広い意味で、外乱負荷をストレス[Stress]、それに耐える力(ロバスト力)をストレングス[Strength]と呼ぶ場合があります。
崖っぷちか、崖から遠いかは、単純に言えば「余裕率を数値化する」ということになりますが、実際にはそれほど簡単なものではありません。
予想もしなかった不具合というのは設計的な想定を越えているため現象も複雑です。
数値化も難しく時間もかかるし、取り敢えず対策品もできたからということで怠りがちです。
「正確な」再現テストが重要
不具合対策時に行う、不具合再現テストでは現象の正確な再現が重要です。
不具合現象が異なり、ただ単にある要素の負荷を高めて不具合を発生させても、それは再現とは言えません。(例えば、部品の破損の場合には、単なる破損だけではなく、破損起点、進行パターン、最終的な破面模様が一致しなければなりません)
不正確な再現テストをベースに過負荷テストモードを作り、そのテストでOKとなっても対策品の有効性は疑問です。
複合要因に注意!
実際の現象で、見落としてしまったり、理解が不充分になるのは、複合要因の作用です。加速要因と言ってもよいかもしれません。
ストレスを加減速する要因があり、ストレングスを加減速する要因があります。
この要因について数値化することで「真の余裕率」を知ることができ、不具合再発を無くすことができます。
複合要因が分かり再現テストにも反映できている場合には、その複合要因を変化させテストすることにより不具合進行加速度効果(感度)も分かります。
技術者として「数値化を怠るべからず」を常に意識しておくことはとても重要ですね。
(アイアール技術者教育研究所 H・N)