- おすすめ
不具合未然防止の基本と実務への適用《事例で学ぶ FMEA/FTA/DRBFMの効果的な使い方》(セミナー)
2024/12/3(火)9:30~16:30
お問い合わせ
03-6206-4966
品質保証業務に関する別コラム”製造業における品質保証とは何か?品質管理(QC)との違いなど要点解説“では、品質保証と品質管理との相違や、品質保証の変遷などを中心に、品質保証業務の概要を解説しました。
今回は主にISO9001との関連から品質保証のあり方について考えてみたいと思います。
品質保証に関連する国際規格としてISO9001が思い浮かぶと思います。
ISO9001は、品質マネジメントシステム(QMS)の要求事項を定めた国際規格です。
ここで品質保証とQMSの関係を整理しておきましょう
会社などの団体で、複数の人が仕事をするためには、何らかのしくみが必要です。
さらに、方針や目標を定めて、皆が同じ方向を向いて行動できることも必要です。
「マネジメントシステム」とは、この方針や目標を定めて、それを達成するためのしくみのことを指します。
品質マネジメントシステム(QMS)とは、品質に関する方針や目標を持つマネジメントシステム(品質に関する運営管理)のことであり、品質マネジメントシステム(QMS)のしくみの概要を示すものが、「品質保証体系図」とよばれる図です。
これは、社内各部門がものづくりのどの過程でどのように関わるか、ものづくりの各過程でどのようなもの規格が必要かなど、組織における品質保証のしくみを図示するもので、必要に応じて取引先に公開します。
ISO9001の最初の発行は1987年で、当時の主たる目的は「品質保証」そのもので、顧客に信頼感を与えることを主眼に置いていました。
その後2000年に大幅改訂され、「品質保証」だけでなく「顧客満足」が追加されて、品質保証の国際規格から品質マネジメントの国際規格へと拡大していきました。
その変遷をまとめると表1のようになります。
上述のコラム「製造業における品質保証とは何か?」で、品質管理は品質保証の中の一つの手段と書きました。
実は品質マネジメントというより大きな体系には、図1に示すようにこの二つを含む品質に関わる4つの活動が含まれます。
4つの活動の概要は下記のようになります。
ISO9001は、品質マネジメントシステム(QMS)の要求事項を定めた国際規格ですが、ひとつ重要なことは、QMSはISO9001そのものではないということです。
ISO9001は、あくまで要求事項を定めるものであって、ISO9001だけでは不十分です。
図2に示すように、ISO9001の要求事項を満たした上で、実際に顧客の要求に応え、組織の目的や顧客満足を達成するための効果的な、独自のQMS(品質マネジメントシステム)を構築し、整備することが必要不可欠となります。
効果的なQMS(品質マネジメントシステム)を構築するために、「TQM(Total Quality Management)」(統合的品質管理)も有効です。
TQMは、かつて日本で盛んに行われたTQC活動(全社的品質管理)から発展したもので、製品品質はもとより、サービスや経営の質までも高めて、顧客満足を確保していこうとするものです。
またISO9001に比較すると、自由度が高く、ボトムアップにより品質改善を図っていこうとするもの、ともいえます。表2に比較を示します。
なおTQMの特徴として、次の点も挙げることができます。
品質保証部門は、品質マネジメントシステム構築と、その維持管理の要です。
業務プロセスの見直しと改善に、品質保証部門がまず率先して取り組む必要があります。
業務プロセス改善で一つ重要な活動として、作業手順、業務フロー、業務プロセスを標準化、文書化することを挙げることができます。
業務プロセスを見える化し ”暗黙知”から”形式知”へと変えていくことです。
誰が・いつ・どこで・何を・何のために・どうやって、と5W1Hを明確化して、社内へ広く展開します。
さらに重要なことは、図3のようにPDCAサイクルを回して、プロセス標準化のさらなる改善を継続していくことです。
以上、今回はISO9001やQMSとの関連から、品質保証のあり方について解説しました。
次回のコラムでは、モノづくりの各プロセスにおける品質保証の関わり方という視点から、品質保証の仕事を整理してみたいと思います。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)