レーザ溶接・接合の基礎と欠陥防止策・高品質化および異材接合への展開
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溶接は、古くから広く製造現場、建設現場で使用されている接合技術であり、モノづくりを支える根幹となる技術です。今回は、アーク溶接の中でも非溶極式の溶接方法について説明します。
空間的に離れた2つの電極に電圧をかけると、やがて空気の絶縁が破壊されて電極の間に電流が発生し、同時に強い光と高い熱を発生します。
このとき発生する光を「アーク」といいます。
アーク溶接はまさにこのアークの熱を利用する溶接方法です。
アーク溶接の原理を図に示します。
母材と電極に電圧をかけてアークを発生させ、その熱で母材を溶解させています。
また、溶接部の酸化を防止する為に、溶接部から酸素をシールする対策が必要となります。
アーク溶接法は、溶接のなかの「融接」の溶接法です。
つまり、溶接しようとする部分を加熱し母材のみか、または母材と溶加材(溶接棒など)を融合させて溶融金属を作り、これを凝固させ接合する接合する方法です。
電極自身が溶加材となり、溶融して消耗する「溶極式」と、電極がほとんど消耗しない「非溶極式」の2種類に分類できます。「非溶極式」には「TIG溶接」と「プラズマ溶接」があります。
TIG溶接は「タングステン・イナート・ガス溶接」の略称で「ティグ溶接」とも呼ばれています。
TIG溶接は、先に記述したように、非溶極式のアーク溶接法で、融点が3380℃と金属のうちでは最も融点が高いタングステン、またはタングステン合金を電極として使います。
溶接方法としては、片手に溶接トーチ(電極部)、片手に溶加材(溶接棒)を持って行う手作業になります。
他のアーク溶接法に比べ溶接の能率は劣りますが 高品質の溶接金属が得られるため、高級鋼等の溶接に多く用いられる。
溶接棒は、溶接部の融解金属を補うため使用されます。
また、溶接部の酸化を防止する為のシールドガスに、アルゴン(Ar)ガスや、ヘリウム(He)ガスなどの不活性ガスが使用されます。
タングステンを電極に用いる非溶極式には、プラズマ溶接という溶接法もあります。
下図のようにTIG(ティグ)溶接と非常に似通った方法ですが、その違いは、電極をノズルとプラズマガスで包み込むことで、アークが広がらないように絞っていることです。
それにより、そのアークは電流密度が高く、熱集中性もTIG(ティグ)溶接と比べて高くなります。
プラズマアークの強いアーク力により、母材を貫通させるキーホール溶接が可能となります。
キーホール溶接はプラズマ溶接の最大の特徴で溶込みが深く貫通力があります。
プラズマを発生させるためのプラズマガスにはアルゴンを、溶融金属の酸化を防止するシールドガスには、アルゴンまたはアルゴンと水素の混合ガスを用います。
以上、今回は非溶極式アーク溶接の基礎知識をご紹介しました。
次回の連載コラムでは、溶極式アーク溶接のうち、フラックスを用いた溶接方法解説します。
(アイアール技術者教育研究所 T・I)