NOxとPMそしてPN

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排気ガス

NOx (ノックス、エヌオーエックス、窒素酸化物)とPM (ピーエム、Particulate Matter,パーティキュレートマター、粒子状物質) は、HC, COとともに、重要な車両排ガス規制物質です。

NOxとPMは、エンジン燃焼においてトレードオフ(一方を減らすと、他方が増える)の関係にあり、同時低減のための技術開発が行われてきました。

 

NOxとは?

NOxは、太陽の紫外線と反応して光化学スモッグの原因物質である光化学オキシダントを生成酸性雨の原因にもなります。
車両から排出される、NOxは、NOとNO2です。とくに吸気に空気が多い場合の燃焼において、高温で、急激な燃焼圧力となる時に多く発生します。

かつて、東京都は世界的に最も厳しいレベルの車両NOx規制を導入しました。
当時とある政治家が、「ディーゼル車から出るあの黒いNOxを低減しなければならない」と発言しましたが、NOxは空気(O2+N2)と同様、無色透明であり、黒くは見えません。
ディーゼル車から出ていた黒煙は、PMの構成物でもあるドライスート(すす)です。
ディーゼル車の黒煙は、都市部で導入されたDPF(ディーゼルパーティキュレートフィルター)装着義務化を契機に、車両のマフラーに白いハンカチをあてても黒くならないレベルまで低減されました。

 

PMとは?

浮遊するような粒子径の小さいPMは気管に入りやすく、健康に悪影響を及ぼします。
粒子径10μmの浮遊粒子状物質は、SPM(Suspended Particulate Matter)とも呼ばれます。
PM2.5は、粒子径2.5μm以下のPMで、SPMの中でも、より有害性の高い小さいPMを表します。(SPMはPM10とも呼ばれます)

PMの他の規制物質と異なる特徴は、他の排ガス成分がCO、HC、NOxのように化学式で表されるのに対して、‘粒子状物質’と形態で定義され、化学成分的には様々な構成を持つことです。
しかも凝集や分裂など行うため、構造も一定ではないのです。
車両から排出されるPMの主な構成化学成分は、HC、サルフェート(硫黄酸化物)、カーボン(ドライスート、すす)、硝酸塩、水分、金属分(Zn、Mgなど)です。

大気中のPMには車両から排出されるもの以外に、工場から排出されるものや、黄砂のような土壌粒子や花粉などもあります。

 

そして、PNとは?

PNは、Particulate Numberを表します。
PMの規制は、例えば乗用車であれば0.005g/km、大型トラックであれば0.01g/kWhというように、測定運転において発生したPMの総量を、走行距離あたり又は出力・時間あたりの数値とするため、個々のPMの粒子径とは関係がありません。

これに対して、より有害な粒子径の小さいPMを規制するために、PN規制(PM粒子数の規制)が導入されました。
同じ重量ならば、粒子径が小さいほど数は多いことになりますので、数を制限すれば、より小さいPMを規制できるという考えです。
例えば欧州における、乗用車用のEuro6という規制では、1kmあたり6×1011個という規制値を設定しています。

 

(アイアール技術者教育研究所 H・N)

 


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