3分でわかる技術の超キホン IPv4・IPv6って何?違いと特徴は? IPアドレスの前提知識を解説

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IPアドレス PCネットワーク

最近よく聞く言葉として「IoT:Internet of Things(モノのインターネット)」というものがあります。
そもそもインターネットは、コンピュータ同士を相互に接続するために現れました。
しかし、これがさらにモノがインターネット経由で繋がり、通信するということに進化しています。
このインターネットを切り口に「IPアドレス」を、そして「IPv4/IPv6」について考えてみたいと思います。

1.インターネットの前提知識:そもそも「IP」って何?

インターネットについては、もう既に世の中にあふれている言葉で当たり前のように使われています。
1990年頃よりコンピュータなどの情報機器間を接続する手段として発展してきました。今では世界規模に発展して社会基盤(インフラ)として不可欠なものになっています。インターネットをベースとしたサービスとして、いわゆる「クラウドサービス」なども活発に利用されています。

このインターネットは、「IP(Internet Protocol)」という通信規約を利用した機器間通信のネットワークです。「IP」とは、データパケットをネットワーク経由して正確に宛先に届けるためのルールを示します。
当連載の「通信機器設計の大前提知識!「OSI参照モデル」とは?」の回でとりあげている「OSI参照モデル」のレイヤ3であるネットワーク層がIPです。

このデータパケットを送り届けるために宛先住所に相当するものが必要となり、そのために「IPアドレス」というものを使用します。これは、ネットワーク層の識別用で論理アドレスとも言われます。

 

2.IPv4とIPv6の基礎知識

IPアドレスの歴史としては、当初1970年代に米国国防省で策定されました。
その後同じく米国国防省の高等計画研究所が、大学や研究機関とプロジェクトを組んで1980年代にARPANET(Advanced Research Projects Agency Network)というネットワークを構築して標準プロトコルとして実用化されました。

IPアドレスでは特に、「IPv4(Version4)」と「IPv6(Version6)」の2種類が現在広く利用されています。

 

(1)IPv4とは?(IPv4の概要・特徴)

IPv4は、1990年代後半に提案されました。
構成はデータ長32ビットで、ネットワークアドレスとホストアドレスに分けられ、0~255の4組の構成で、表記は例えば「180.105.78.250」のように表現されます。およそ43億アドレスが付与できる計算です。

また、接続方式が、PPPoE(Point to Point Protocol over Ethernet)方式です。
この方式は、従来から使用されている電話回線やISDN回線などで採用された方式で、基本的に1対1で機器間を接続するものです。そのために網終端装置を経由した形となります。
通信速度は最大1Gbps程度で、通信が集中すると輻輳による速度低下が生じる可能性が生じます。
また、IDとパスワードによるユーザ認証が必要になります。

 

PPPoE接続方式

 

IPV4パケットフォーマット
【IPv4によるパケット構成例】

 
しかし、世の中にスマートフォンの出現や前述したIoTの波が現れたことで、この数ではアドレス不足となり、いわゆる「IPアドレスの枯渇」の問題が発生しました。
この枯渇問題を解消するため新しく提案されたのが「IPv6」です。

 

(2)IPv6とは?(IPv6の概要・特徴)

IPv6は、日本国内において2011年頃よりサービスが開始しました。
データ長は128ビットで、表記は16ビットごとに区切り例えば「2023:0abe:2435:0000:0000:88ab:0000:cdef」のように表現されます。
およそ340澗アドレス(3.4×10の38乗アドレス)が付与できる計算となります。IPv4に対して比較にならない数となり、枯渇問題が解消できます。

IPv6の接続方式は、PPPoEに加えてIPoE(Internet Protocol over Ethernet)の方式が利用可能です。
通信速度は、IPoEの場合最大10Gbpsと網終端装置を使用しないため高速となります。
認証に関しては、IPv4と異なり回線認証のみでユーザ認証は必要ありません

 

IPoE接続方式

 

IPV6パケットフォーマット
【IPv6によるパケット構成例】

 

(3)IPv4/IPv6の違い(メリット・デメリットの整理)

またこれまでの説明を基にIPv4/IPv6のメリット・デメリットを以下にまとめました。

IPv4 IPv6
メリット
  • 普及率が高く、プロバイダの選択に制約がない
  • ルーターなど接続機器の選択に制約がない
  • Webサイトなども利用制限がない
  • IPアドレスが豊富に利用可能で、IoTへの対応が可能
  • IPSecの実装による暗号化で、盗聴・改竄などへの対応強化
デメリット
  • IPアドレスのビット長が短くアドレス数の枯渇化
  • 輻輳や遅延障害が発生する可能性がある
  • IPv4との相互接続には互換性がなく、「IPv4 over IPv6」の変換技術が必要
  • 対応Webサイトが少ない
  • 対応するWi-Fiルータを選択する必要がある

 

3.現状の技術動向とIPv6への移行に際して

将来的には移行していくという前提で現れたIPv6ですが、現在IPv4とIPv6が市場では混在して利用されています。まだまだIPv4の使用比率が大きく、当初の想定ほど置き換えが進んでいないようです。両者にインターネット上の互換性がないため円滑に切り換えが進んでいないことが要因とされています。

 

プロバイダーが用いている主な技術(仕組み)

プロバイダーにおいても、IPv6をIPv4ネットワーク経由で使用するための技術として、トンネリング、デュアルスタック、IPv4/IPv6トランスレーションなどを採用しています。

  • トンネリング: IPv6パケットをIPv4パケットにカプセル化して通信するもので「IPv6 over IPv4」とも言われます。
  • デュアルスタック: 文字通りIPv4とIPv6を共存させる仕組みで、状況に応じて選択するものです。
  • IPv4/IPv6トランスレーション: 機器がトランスレータを有し、両者間をトランスレータが取り持つ仕組みです。

さらにプロバイダーは、IPv4の使用において「キャリアグレードNAT」などの技術で対応することなど行っています。
「NAT」(Network Address Translator)とは、ネットワークアドレス変換であり、通常インターネットサービスプロバイダー(ISP)はユーザがLANや宅内、事業所内で使用するプライベートIPとインターネット内で使用されるグローバル(パブリックとも言われる)IPとのアドレス変換を行っています。
プロバイダーの「キャリアグレードNAT」は、変換レイヤを追加する形をとっており、ユーザのプライベートIPをプロバイダーのプライベートIPへ、その後グローバルIPへ経由することで見かけ上さらにアドレスが増加する仕組みをとることです。

このようにIPv4を使用し続ける仕組みには全部を網羅していませんが、このような技術が使用されています。

 

IPv6への完全移行に向けて、官・民を挙げた取り組みに期待

では、今後IPv6を広めていくには、IPv6が単にアドレス数を拡張できるのみではなく混雑緩和や通信速度向上に加え、セキュリティ性を向上、プラグアンドプレイ機能など充実させているため、IPv4に比べた優位性を理解すべきです。そのためIPv4の従来のユーザに対しては、IPv4 over IPv6技術をさらに推進する必要があると思います。現状のプロバイダーや使用ルータに対してはIPv6技術への対応がさらに推進されることが必須となります。

海外においては、IPv6に完全移行すべきと政府が取り組んでいく国もあります。日本においても、さらに行政府をはじめとして、法整備などIPv6使用を高める何らかの義務付けなどの措置が必要と思われます。
 
 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)
 

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