- おすすめ
不具合未然防止の基本と実務への適用《事例で学ぶ FMEA/FTA/DRBFMの効果的な使い方》(セミナー)
2024/12/3(火)9:30~16:30
お問い合わせ
03-6206-4966
最近よく聞く言葉として「IoT:Internet of Things(モノのインターネット)」というものがあります。
そもそもインターネットは、コンピュータ同士を相互に接続するために現れました。
しかし、これがさらにモノがインターネット経由で繋がり、通信するということに進化しています。
このインターネットを切り口に「IPアドレス」を、そして「IPv4/IPv6」について考えてみたいと思います。
目次
インターネットについては、もう既に世の中にあふれている言葉で当たり前のように使われています。
1990年頃よりコンピュータなどの情報機器間を接続する手段として発展してきました。今では世界規模に発展して社会基盤(インフラ)として不可欠なものになっています。インターネットをベースとしたサービスとして、いわゆる「クラウドサービス」なども活発に利用されています。
このインターネットは、「IP(Internet Protocol)」という通信規約を利用した機器間通信のネットワークです。「IP」とは、データパケットをネットワーク経由して正確に宛先に届けるためのルールを示します。
当連載の「通信機器設計の大前提知識!「OSI参照モデル」とは?」の回でとりあげている「OSI参照モデル」のレイヤ3であるネットワーク層がIPです。
このデータパケットを送り届けるために宛先住所に相当するものが必要となり、そのために「IPアドレス」というものを使用します。これは、ネットワーク層の識別用で論理アドレスとも言われます。
IPアドレスの歴史としては、当初1970年代に米国国防省で策定されました。
その後同じく米国国防省の高等計画研究所が、大学や研究機関とプロジェクトを組んで1980年代にARPANET(Advanced Research Projects Agency Network)というネットワークを構築して標準プロトコルとして実用化されました。
IPアドレスでは特に、「IPv4(Version4)」と「IPv6(Version6)」の2種類が現在広く利用されています。
IPv4は、1990年代後半に提案されました。
構成はデータ長32ビットで、ネットワークアドレスとホストアドレスに分けられ、0~255の4組の構成で、表記は例えば「180.105.78.250」のように表現されます。およそ43億アドレスが付与できる計算です。
また、接続方式が、PPPoE(Point to Point Protocol over Ethernet)方式です。
この方式は、従来から使用されている電話回線やISDN回線などで採用された方式で、基本的に1対1で機器間を接続するものです。そのために網終端装置を経由した形となります。
通信速度は最大1Gbps程度で、通信が集中すると輻輳による速度低下が生じる可能性が生じます。
また、IDとパスワードによるユーザ認証が必要になります。
【IPv4によるパケット構成例】
しかし、世の中にスマートフォンの出現や前述したIoTの波が現れたことで、この数ではアドレス不足となり、いわゆる「IPアドレスの枯渇」の問題が発生しました。
この枯渇問題を解消するため新しく提案されたのが「IPv6」です。
IPv6は、日本国内において2011年頃よりサービスが開始しました。
データ長は128ビットで、表記は16ビットごとに区切り例えば「2023:0abe:2435:0000:0000:88ab:0000:cdef」のように表現されます。
およそ340澗アドレス(3.4×10の38乗アドレス)が付与できる計算となります。IPv4に対して比較にならない数となり、枯渇問題が解消できます。
IPv6の接続方式は、PPPoEに加えてIPoE(Internet Protocol over Ethernet)の方式が利用可能です。
通信速度は、IPoEの場合最大10Gbpsと網終端装置を使用しないため高速となります。
認証に関しては、IPv4と異なり回線認証のみでユーザ認証は必要ありません。
【IPv6によるパケット構成例】
またこれまでの説明を基にIPv4/IPv6のメリット・デメリットを以下にまとめました。
IPv4 | IPv6 | |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
将来的には移行していくという前提で現れたIPv6ですが、現在IPv4とIPv6が市場では混在して利用されています。まだまだIPv4の使用比率が大きく、当初の想定ほど置き換えが進んでいないようです。両者にインターネット上の互換性がないため円滑に切り換えが進んでいないことが要因とされています。
プロバイダーにおいても、IPv6をIPv4ネットワーク経由で使用するための技術として、トンネリング、デュアルスタック、IPv4/IPv6トランスレーションなどを採用しています。
さらにプロバイダーは、IPv4の使用において「キャリアグレードNAT」などの技術で対応することなど行っています。
「NAT」(Network Address Translator)とは、ネットワークアドレス変換であり、通常インターネットサービスプロバイダー(ISP)はユーザがLANや宅内、事業所内で使用するプライベートIPとインターネット内で使用されるグローバル(パブリックとも言われる)IPとのアドレス変換を行っています。
プロバイダーの「キャリアグレードNAT」は、変換レイヤを追加する形をとっており、ユーザのプライベートIPをプロバイダーのプライベートIPへ、その後グローバルIPへ経由することで見かけ上さらにアドレスが増加する仕組みをとることです。
このようにIPv4を使用し続ける仕組みには全部を網羅していませんが、このような技術が使用されています。
では、今後IPv6を広めていくには、IPv6が単にアドレス数を拡張できるのみではなく混雑緩和や通信速度向上に加え、セキュリティ性を向上、プラグアンドプレイ機能など充実させているため、IPv4に比べた優位性を理解すべきです。そのためIPv4の従来のユーザに対しては、IPv4 over IPv6技術をさらに推進する必要があると思います。現状のプロバイダーや使用ルータに対してはIPv6技術への対応がさらに推進されることが必須となります。
海外においては、IPv6に完全移行すべきと政府が取り組んでいく国もあります。日本においても、さらに行政府をはじめとして、法整備などIPv6使用を高める何らかの義務付けなどの措置が必要と思われます。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)