製品開発・研究開発における「筋の良いコンセプト」

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筋の良い研究開発コンセプト

第Ⅱ部は、1997年4月に実施されたA社の技術系新入社員と、入社3年未満の若手技術者を対象とした社内研修で使用したテキストを基にしています。
だいぶ古い時期に開催された技術者向けの研修ですが、日本製造業の研究開発部門が抱えている問題について、いまでもなお解決のヒントとなり得るネタも多いため、改めてとり上げてみることとしました。

この研修の講師は、”「成熟・衰退期」における筋の良い研究テーマの発掘法” の著者である久里谷美雄先生(故人)でした。久里谷先生は、日本企業と外資系企業において一貫して製品開発、研究開発の実務に従事してきた「R&Dのプロフェッショナル」として高度な知見を有しており、そのセミナーも各方面から高い評価を得ていました。筆者はこの研修に「カバン持ち」で同行していましたが、当時の若手技術者たちとの意見交換が大いに盛り上がった記憶が残っています。では、本題に入りましょう。
 

「成熟・衰退期」における筋の良いコンセプトの発掘法

「魅力ある研究テーマがない」「筋の悪いテーマばかりが集まる」といった問題は、日本企業の多くの研究開発部門で共通する悩みとなっています。更に、会社組織から先人たちの知識、知恵、経験といった記憶が消えていくことも懸念されています。

会社はスピード経営を掲げていますが、「知的基盤」がなくては、スピード経営は成しえません。そのスローガンは、絵に描いた餅に過ぎないのです。

この状況の中で、企業の製品開発・研究開発は、どうすればより成果をあげることができるのか、「筋の良いテーマとはどのようなものなのか?どうすればそれを生み出せるのか?」、「創造力とはどのようなものなのか?それを共有するにはどうすればよいのか?」といった点について、情報を活用することでその方向性を見いだすことを目的としてご説明します。

 

新商品は、既存技術の組み合わせ?

製品は幾つかの技術の組み合わせで出来上がっています。
その技術には、「既に知られている(存在している)もの」と「未知のもの」があります。
また、既に知られている技術には、「既に自社にあるもの」と「社外にあるもの」に分けられます。

では、研究開発の目標となる新製品にはどのようなものがあるのでしょうか?

一つは「既存新製品」です。
世の中に同じ製品があるけど、自社にとっては新しい製品である場合です。

次は、「技術新製品」です。
製品は、既に存在するけど、新しい技術によって差別化するものです。

おしまいは「新規新製品」です。
これは文字通り、どこにも存在していない新しいコンセプト製品です。

既に存在する技術の中から新しいコンセプトを炙り出すことは、新製品を作り出すための大きなキッカケとなるのです。

コンセプトをあぶりだす

 

おいしいコンセプトを生み出す

研究開発のテーマの候補としての製品や技術のコンセプトを、図で分類してみましょう。
横軸はそのコンセプトが、既にに存在するものかどうかを示し、縦軸は、それを実現するときの難易度を示します。左にいけばいくほど、そのコンセプトはまだ知られていないものであり、上にいけばいくほど、自社にとってそのコンセプトの実現は容易なものとなります。

《コンセプトを分類する》
コンセプトを分類する

では、図のどの領域に属するコンセプトが、企業にとって最も重要なおいしいコンセプトでしょうか?
領域(Ⅳ)は、まだ誰も気づいていない製品や技術のコンセプトです。
しかし、自社が気づいていたとすれば、自社にとってそれを達成するのは容易です。

これまでの経験からして、こんなおいしい話はそうざらにあるわけはないです。有難いに決まっています。
つまり、研究開発の目標は、領域(Ⅳ)のコンセプトを作り出す、あるいは見つけ出すことなのです。

美味しいコンセプトとは?

 

おいしいコンセプトは、この領域

課題を解決するのと、課題を発見するのと、どちらにより高い独創力や創造力が要求されるかは別として、少なくとも、いま多くの企業が求めている「独創性・創造性」は、領域(Ⅳ)に属するコンセプトを見つける、あるいは作り出す力です。
まず、これをハッキリと認めることが「筋の良いコンセプト」を見つけるための第1ステップとなります。そうすれば採るべき方策が自ずと明らかになります。

そうした態度をハッキリさせれば、研究開発者は迷うことなく、また企業にとっても大変有難い方向へ進むはずなのです。
 

研究開発の役割

《研究開発の役割》

領域Ⅰ・Ⅱ・Ⅲに属する情報やコンセプトから、領域Ⅳに属するコンセプトを作り出すこと
 

《企業が求める創造的人間》

「人が気付かない易しい課題」を生み出すことができる人

課題創出の研究開発が重要
 

(日本アイアール 知的財産活用研究所 N・Y)

 

 

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