【資料・ツール解説】FMEA表の使い方
このコラムでは「FMEA表」について簡単に説明するとともに、当サイトから無料でダウンロードして使えるFMEA表テンプレート(雛形)についてご紹介いたします。
FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)は、構成部品や要素ごとに考えうる故障モードを列挙して、その部品や要素で構成される設備や機器の機能に対する影響度を解析するもので、下位から上位へ展開する帰納的な手法です。
【※当サイトからダウンロードすることできる、FMEA表(EXCEL形式)での記入例】
想定される故障モードと、その発生メカニズム、発生した時の影響の大きさ、対策の要否、対策内容などを、できるだけ見やすく、なるべく手間のかからない方法で、書き出していきます。
「部品・要素」の欄について
製品・機器の構成部品や機構やサブアセンブリといった要素を記入していきます。
新規設計開発製品であれば、ほとんどすべての部品・要素が対象となります。
実績製品の流用設計や一部改良であれば、設計変更した部品および関連する部位が対象となります。
「故障モード」の欄について
故障モードは、製品・機器の部品単位、要素単位で列挙します。
故障モードとは、故障そのものではなく、機能に影響を及ぼすあるいは機能を損なう好ましくない事象のことです。故障モードは、機能からではなく構造、材質などの設計仕様から予測するようにします。
「故障メカニズム・故障の原因」の欄について
故障モードをもたらす理由や要因を記入する欄です。
必要に応じて列を増やして分けて記述しても構いません。
「影響」欄と影響の大きさの評価点について
影響欄には、その故障モードが発生した時に、その製品・機器が使用されるシステムへ及ぼすと想定される影響を記述します。
影響の大きさは、影響度、発生度、検知度、の3項目ごとに点数をつけて総合点で評価します。
なお、影響の大きさについては、恣意的な点数にならないように、できるだけ簡素でわかりやすい基準表を用意しておくべきです。数値化可能なものは数値で基準を表記すると良いでしょう。
【※基準表の例】
FMEAの目的は、ロバスト性(robustness、頑健性)を確認して、不足している部分の補強を行うことです。
ロバスト性を向上するには、コストと時間もかかるため優先順位を決めて改善します。
この優先順位を評価するために、影響度、発生度、そして検出度の三つを用いるわけです。
このテンプレートでは、この3つの影響因子は、プルダウンリストから5段階の評点を選択できるようになっています。
評価点は、3つの影響因子に対する評点を掛け合わせた数値として自動計算表示され、影響の大きさを定量評価できるようになっています。
「対策」欄について
対策欄には、具体的な対策を記述します。
その設計思想(フェールセーフ、フールプルーフ、フォールトトレランスなど)も記述しておくと、対策案の審議の際の参考となります。
またこの欄には、検証方法や妥当性の確認方法についても記載します。
もちろん必要に応じて、列を増やして分けて記述することでも構いません。
ぜひFMEA表を活用して、より良い製品の改良や開発に役立ててください。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)
※当研究所が提供している資料や各種フォーマット等につきましては「資料ダウンロードページ」をご参照ください。