実験計画法の種類(要因配置実験と部分配置実験)
実験計画法では、着目する事象・結果にいずれの要因が影響を与えているのか、その要因をどのような値に設定すれば最適かなどを知ることができます。
実験計画を行う際には、実験の目的にあわせて実験計画法の種類を選択していくことが必要です。
実験計画法には、組み合わせの観点から分類すると次のような方法があります。
1.要因配置実験
「要因配置実験」とは、取り上げた因子と水準のすべてを実施する総当たりの実験です。
(1)一元配置実験
「一元配置実験」は、1つの因子を取り上げて、特性に影響を及ぼすか調べる際に行う実験です。
3つ以上の水準で行い、各水準で繰り返しの実験が必要です(図1a)。
(2)二元配置実験
「二元配置実験」は、2つの因子を取り上げて水準を設定し、各水準の組み合わせで行う実験です。
2つの因子を取り上げるため、交互作用があるかどうか考える必要があります。
交互作用がないとわかっている場合は、繰り返しの実験を行わなくても要因効果が調べられます(図1b左)。
主効果と交互作用を調べる場合は、各水準の組み合わせで繰り返し実験が必要になります(図1b右)。
(3)多元配置実験
「多元配置実験」は、3つ以上の因子を取り上げて水準を設定し、各水準の組み合わせで行う実験です(図1c)。
いずれも要因効果は分散分析によって検定することができます。
【図1 要因配置実験】
要因配置実験の因子数と繰り返しの有無によって分散分析で判定できる要因効果について、図2にまとめました。(表の記号はA:因子Aの主効果、AxB:因子AとBの交互作用を表します。)
【図2 要因配置実験での判定項目】
2.部分配置実験
一部の水準組み合わせを実験するのが「部分配置実験」です。
どの水準組み合わせで実験するのかを決めることが重要になります。
直交配列表実験
「直交配列表実験」は、直交配列表(直交表)を利用して、少ない実験回数で各因子の効果や因子間の交互作用の効果を測定できるようにした方法です。
2水準に対して作られた表は「2水準系直交配列表」(2n系)、3水準に対して作られた表は「3水準系直交配列表」(3n系)といい、図3右のようなL8(27)直交表は、2水準7因子の場合の実験で適用されます。
(※直交表の記号の意味は図3左を参照ください)
L8(27)直交表は、どの2列を見ても4つの水準組み合わせ(1,1)、(1,2)、(2,1)、(2,2)が同じ数(2回)ずつ現れます。
そのため、1つの因子を調べたい時に、水準1の4つ、水準2の4つの実験結果の平均を比べることで、他の因子の効果が相殺され、因子の効果が独立してわかるようになっています。
【図3 直交表の表し方】
例えば、おいしい出汁を取るための実験を行うとして、鰹節の種類(A、B)、加熱温度(75℃、95℃)、加熱時間(5分、10分)を各々2水準で設定します(図4左)。
多元配置実験で行う場合、2水準3因子なので23=8通りの総当たりとなります(図4中)。
L423の直交表を用いて部分配置実験を行う場合、4通りの実験で済み(図4右)、8通りの多元配置実験と同様の情報を得ることができます。
【図4 直交配列表実験】
2水準系直交表はL4、L8、L16、3水準系ではL9、L27などがあり、図3で示したL8(27) 直交表では2水準最大7要因まで適用でき、27=128通りの組み合わせが8通りで確認できます。
効果があるかわからない因子を調べる際に、多くの因子を取り扱う必要がでてきた場合は、直交配列表実験が有効となります。
次回は、直交表の「割り付け」について解説します。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 N・Y)