環境技術

企業の環境活動におけるPDCAサイクルですべきこと

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環境活動とPDCA

国際標準規格ISO14001でも定義され、企業や組織において行われている環境マネジメントシステムEMS、Environment Management System)の活動においては、継続的な改善活動が求められます。

継続的改善活動の実行と管理は、図1に示すようなPDCAサイクル
[Plan ⇒ Do ⇒ Check ⇒ Act(計画 ⇒ 活動 ⇒ 確認 ⇒ 対処)]
を回すことにより実現することができます。

本コラムでは、環境活動におけるPDCAサイクルの各ステップで行われる内容を説明します。

環境活動とPDCAサイクル

 

1.SDGsと環境活動

環境活動により環境負荷を軽減することは、持続可能な環境と社会を作ることに貢献し、SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標、国連で定めた国際目標)の活動にも繋がります。

環境活動の対象となるのは、大気、水、土地、天然資源、植物、動物、人及びそれらの相互関係を含み、組織の活動をとりまくものです。また、組織内から、近隣地域、地方及び地球規模のシステムまでを含み、生物多様性、生態系、気候への影響も含みます。

環境活動で、低減すべき環境負荷を具体的に挙げると以下のようになります。

環境負荷

これらの環境負荷を低減することは、SDGsの17のグローバル目標のうち、以下の目標達成に繋がるものです。

  • 目標6 :安全なとトイレを世界中に (Clean Water and Sanitation)
  • 目標7 :エネルギーをみんなに そしてクリーンに (Affordable and Clean Energy)
  • 目標11 :住み続けられるまちづくりを (Sustainable Cities and Communities)
  • 目標12 :つくる責任 つかう責任 (Responsible Consumption and Production)
  • 目標13 :気候変動に具体的な対策を (Climate Action)
  • 目標14 :海の豊かさを守ろう (Life Below Water)
  • 目標15 :陸の豊かさも守ろう (Life on Land)

次に、PDCAサイクルの各ステップで行う内容を説明します。

 

2.”P”(Plan、計画)

「計画段階」では、以下を行います。

  • 環境への組織の関わりを整理
  • 課題の明確化
  • 利害関係者や地域環境への影響の明確化
  • 環境側面・環境影響を決定
  • 組織活動において、EMS(環境マネジメントシステム)を適用する範囲の決定
  • 環境活動の方針決定
  • 活動計画の作成

環境側面」は、環境と相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素を表します。
環境影響」は、有害か有益かを問わず、全体的に又は部分的に組織の環境側面から生じる、環境に対する影響を表します。

 

3.”D”(Do、活動)

「活動段階」では以下を行います。

  • 支援体制の整備
  • 具体的な計画や手順の整備
  • 外部委託先と強調するための伝達の整備
  • 緊急事態への対応手順整備
  • 活動項目の実行

緊急事態」とは、組織内部で発生するリスクがある突発的事態の他、外部からの影響や天災などによる影響によって組織活動に起こる事態を含みます。

 

4.”C”(Check、確認)

「確認段階」では以下を行います。

  • 設定された指標による評価
  • プロセスの適切性の評価
  • トップマネジメントへ報告
  • トップマネジメントは、改善方向・方針を指示

プロセスの適切性」については、実際に発生した事案を検証して、たとえ結果がOKであったとしても、プロセス自体が充分機能してOKにできたのかを評価します。

 

5.”A”(Act、対処)

「対処段階」では以下を行います。

  • 評価結果、改善方針に基づく対処
  • 状況の変化に合わせ、EMS(環境マネジメント)を最適化する継続的改善活動

継続的改善」においては、活動段階で即応策としては採用されなかった案や、課題として挙がった項目に対して、今後の活動で短期で対応した方が良いもの、中・長期で取り組みが必要なものを分類し、優先順位を付けて取り組むことが必要です。また、これまで経験していない想定外の事案を新たに考え出し、予防的な改善を行うことも有効です。

 
しっかりした環境マネジメント活動を活発に行うことにより、企業や組織は信頼を得てビジネスチャンスを拡大したり、外部評価による価値を高めることができるとともに、組織のメンバーもSDGsへの貢献ができるという実感を持つことができます。

 
(アイアール技術者教育研究所 H・N)
 

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