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2024/12/3(火)9:30~16:30
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製造業の技術者として環境を意識して活動することは重要です。
今回は、製造業での環境活動に関係する三つの言葉、EMS、DfE、IMDSについて説明します。
EMSは、Environment Management System(環境マネジメントシステム)の略で、組織における、環境活動の仕組みを表します。
組織の活動にとっては、QMS(Quality Management System, 品質マネジメントシステム)やISMS(Information Security Management System 、情報セキュリティマネジメントシステム)とともに重要な仕組みです。
EMSに関して、 ISOにより認定されている国際標準規格がISO14001です。
ビジネスにおいては、 ISO14001の認証を保持していることは、信用あるビジネスパートナーであることをアピールする手段ともなります。
EMS活動において、設計段階で行うのが環境配慮設計(DfE、Design friendly for Environment)です。
例えば、表面処理を設定する場合、製造工程においても有害物質を使わない仕様を選択します。
切削加工に対して、鍛造素材を使用するような仕様にした場合には、廃棄切粉、切削電力量、切削油廃油などを減らすことができます。
精密鍛造技術により完成品に近い状態に仕上げるニアネットシェイプ(Near net shape)鍛造を用いるとさらに効果的で、コスト低減と環境負荷軽減の両立が可能となります。
これは、精密鋳造や精密焼結などにも当てはまります。
もちろん、製品特性そのものが、省エネ性能の高いものであったり、大気のクリーン化やCO2低減に効果が高いものは、環境配慮設計品であると言えます。
EMS活動において、「3R」(スリーアール)と呼ばれ、環境を配慮するための下図のような活動がありますが、リユースとリサイクルのためには、製品を構成する材料が明確でなければなりません。
加えて、含有量が規制されているような有害物質を含むような場合には、材料情報を元に、再利用方法とともに廃棄方法を計画しなければなりません。
IMDS(International Material Data System)は、自動車関連企業において利用されてしている材料データベースで、製品を構成する材料を国際的に標準化されたリストを用いてまとめたものです。
材料、部品あるいはサービスなどをサプライヤーから調達する際に、環境負荷の小さいものを選ぶ活動を「グリーン調達」と呼びますが、この際にもIMDSは重要な情報として活用されます。
技術者としては、製品の基本構成を決める企画段階から、想定される工程プロセスも含めて、環境負荷の小さい、環境に優しい製品とするように意識することが重要です。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)