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LTspiceで学ぶシグナル・パワーインテグリティ設計・解析の基礎(セミナー)
2024/12/12(木)10:00~17:00
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今回はディスプレイの性能について説明したいと思います。
ディスプレイというとテレビジョンやパソコン、最近では携帯電話、スマートフォンのディスプレイとしてお馴染みですが、その性能にはいろいろな定義が存在します。
例えば「何インチのディスプレイ」とか「フルHDのディスプレイ」「ディスプレイの解像度 1280✕1080」、また最近では「4K/8Kテレビ(放送)」などなど様々な表現がなされます。
今回は、そのようなディスプレイの性能について、基本知識を解説いたします。
ディスプレイは、一般的にピクセル(画素)の2次元配列によるドットマトリックス構造で構成されます。
解像度は、この2次元の縦と横のピクセル数で表示されます。
どちらの数値も高いほど解像度が高いと表現します。
しかし、精細度(細やかさ、滑らかさなど)という観点からみるとこの解像度のみでは語れなく、後に述べるディスプレイサイズ(インチサイズ)との絡みによって決まります。
パソコンやスマートフォン、テレビジョンなどの代表的一例を以下の表に示します。
現在では、実に多くの解像度の種類があることがわかると思います。
特にスマートフォンの分野では、メーカーにより様々な解像度が提案されています。
パソコンでは、画面上の右クリックで画面の解像度が表示されるのでこれを選択することで推奨の解像度などの選択ができるのでご存じの方も多いかと思います。
テレビジョンは、放送という分野であり統一された解像度です。
ディスプレイの各画素をピクセルと言い、1ピクセルの大きさはこのピクセルの密度であるppi(pixel per inch)で表現します。つまり1インチ当たりのピクセル数が「ピクセル密度」です。
ピクセルを「ドット」ということもありますが、一般的にプリンターなど印刷物の画素としてドットが使用されます。
したがって画素の階調表現など違いもあり、区別して使用することが適切であると思います。
ディスプレイサイズは、インチ(1インチ=25.4mm)で表現され、ディスプレイ画面の対角線の長さを示します。
上図は同じインチでアスペクト比が異なるディスプレイを示します。
上述の解像度でも説明しましたが、同じ解像度でもインチサイズが異なると精細度が異なります。
つまりインチサイズが小さいほど、同じ解像度でも1ピクセルの大きさが小さくなり(ppi値は大きくなる)、精細度が向上します。
下の表は、インチに対するアスペクトの異なる横縦のサイズを示した例です。
アスペクト比は、縦横比・横縦比・塔状比などとも言われます。ディスプレイ画面の横と縦の数値比率です。
以下にパソコン、テレビジョンで一般的に利用されているアスペクト例を示します。
映画のアスペクト比は、これらとは異なり[1.33(または1.375):1],[1.66:1],[1.85:1],[2.35:1]など様々な比率が使用されています。
一昔前までは、ディスプレイとしてCRT(Cathode-Ray Tube)が使用されていました。
CRTは「ブラウン管」と一般的に言われていました。
この動作は、電子ビームを蛍光面に照射して発光させる原理を利用しています。
従ってある周期で繰り返し電子ビームの照射を繰り返すことで画像を形成することを維持します。
いわゆる走査(スキャン)の動作を行うことです。
その後、「液晶ディスプレイ」(Liquid Crystal Display)や「有機EL」(OLED : Organic Light Emitting Diode)などのディスプレイが出現しました。
液晶ディスプレイは、2枚の透明電極付きガラス基板で液晶層を挟み込んだ構造で電極の駆動により表示しますが、自分自身に発光機能がないためバックからのライトの照射により実現します。
また有機ELは、電圧を加えると自己発光する有機化合物を用いた表示デバイスです。
構造としては、有機化合物の発光層を電極の間に挟んでガラス基板に蒸着した構成になっています。
液晶ディスプレイや有機ELは、メモリに格納されているピクセルデータを読み出して、ピクセルごとに駆動します。これらのメリット/デメリットを以下に示します。
また最近では、新しい技術としてLEDをマイクロメートルレベルまで微細化した「マイクロLED」が開発されています。従来の技術に比べて高コントラストで明るく高画質を実現します。消費電力や応答性でも改善でき期待されるパネル技術です。
次は視点を変えてディスプレイの駆動方法に関して述べたいと思います。
ディスプレイの画面に対応するメモリを1秒間に1画面分書き換えるレートが「リフレッシュレート」と言われます。パソコンの設定でディスプレイのプロパティでこのリフレッシュレートを確認できるのでご存じの人も多いかと思います。
一般的に60Hzが利用されますが、120Hz以上とより滑らかな表示が可能に設定できるものもあります。
リフレッシュレートと画像の書き換えレートは同期する必要があります。
これが同期しないとティアリングという画像の途中でずれが生じる現象や、スタッタリングという画像がカクつく現象が表示されます。
ということで今回は、ディスプレイの主要な性能について6項目に分けて説明しました。
ディスプレイの歴史は、テレビジョンから始まり、測定器などへの利用やパーソナルコンピュータの出現によるモニターへ、そして携帯電話、スマートフォンへと発展しながら、新しいディスプレイデバイスの出現、グラフィックプロセッサの処理増大による高速化ニーズに対応しつつ、常に変化を続けています。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)