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不具合未然防止の基本と実務への適用《事例で学ぶ FMEA/FTA/DRBFMの効果的な使い方》(セミナー)
2024/12/3(火)9:30~16:30
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目次
これは、広義でいうコンピュータの持つべき通信機能を階層構造にしたモデルです。
つまり、通信機能を持つ機器や通信システムを構築するために必要となる設計方針を決めたものです。
OSI(Open System Interconnection :開放型システム間相互接続)は、1977年頃よりISO(国際標準化機構)と当時のCCITT(国際電信電話諮問委員会 現在のITU-T)が共同で策定した規格です。
では、OSI参照モデルがどのようなものか以下に説明します。
[表1:OSI参照モデル]
OSI参照モデルの階層 |
名称 |
第7層(レイヤ7) |
アプリケーション層 |
第6層(レイヤ6) |
プレゼンテーション層 |
第5層(レイヤ5) |
セッション層 |
第4層(レイヤ4) |
トランスポート層 |
第3層(レイヤ3) |
ネットワーク層 |
第2層(レイヤ2) |
データリンク層 |
第1層(レイヤ1) |
物理層 |
これはその名の通り、アプリケーションレベルを示します。
例えば、皆さんがメールを出すときに、タイトルや宛先メールアドレスの入力を行います。また、Webでは、検索などによりURLを自動で入力してくれたりしますが、自分でもURL欄に入力したりします。
アプリケーション層は、このような宛先情報などを、下位層で処理ができるように変換などを行います。
「プレゼンテーション」とは、聴衆や相手に向かって情報を言葉や表示など行って伝えることですが、このために、伝える相手に問題なく共通の情報を送り、表示などを行う必要があります。
情報であるデータや文字を送り、表示などを行うために通信相手と共通のフォーマットにする必要があり、場合によって変換するなどを行うような役割を行うレイヤです。
これにより、異なる文字コードを扱うコンピュータ等との通信が可能になり、文字化けなどの表示上の不具合が生じないようにすることができます。
「セッションをつなぐ」「セッションを切る」とか聞かれたことがあるかと思いますが、これはこの層を示します。
通信のためのコネクションを開始したり、終了したりすることを決める役割を持ちます。
例えば、メールやWebアプリケーションでサーバとの接続のようなもので、論理的な通信路のサポートを担います。
「トランスポート」というと輸送する/運ぶということを意味しますが、通信の場合はこのための信頼性を向上するために、情報を加えるなどの様々な工夫を行います。
必要によっては、お互いに連携して再送を行うとか、データ長をあるサイズに区切って確認しながら送るなどのことを行う役割を担うレイヤです。
聞いたことがある方も多いと思いますが、TCP(トランスミッション・コントロール・プロトコル)は、このレイヤの代表的なプロトコルです。
自分のネットワークと通信したい相手のネットワークが異なるネットワークであっても繋ぐ役割を担うレイヤです。
このために、論理アドレスといわれるIP(インターネット・プロトコル)アドレスなどを使用し、ネットワーク間を所定の形式のデータフォーマットでルーティング、ネットワーク探索を行いながら、ネットワークを識別してコネクションをつなげることを担うレイヤです。
ネットワーク層はネットワーク間でしたが、データリンク層は、通信機器間、コンピュータ間など個々の機器間をつなぐ役割を担うレイヤです。
このためにMAC(メディア・アクセス・コントロール)アドレスという物理アドレスを使用して通信相手を特定します。
物理層とは、名前のごとく実際の物理的なもの定義を行うレイヤです。
例えば、無線か有線かというような通信媒体、通信速度、コネクタなど実際に通信を行うため必要な物理上のルールを決めることを担うレイヤです。
通信機器の機能を実現するためには、OSI参照モデルに従った7つのレイヤの定義を構築して設計することが基本です。
その一方で、インターネットを含む通信ネットワークにおいて「TCP/IPモデル」というものが、ネットワークのモデルとして多く使用されています。
これは、7レイヤであるOSI参照モデルを4プロトコル(アプリケーション層、トランスポート層、インターネット層、ネットワークインタフェース層)の4レイヤに集約する考え方でアメリカのARPANET(高等研究計画局ネットワーク)が提唱するものです。このような考えに沿った開発も進められています。
以上、今回は通信機器設計者としての前提知識の一つである、OSI参照モデルについて解説しました。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)