CO2、GHG、そしてCAFE規制

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温室効果ガス
 

“GHG”はGreen House Gas (温室効果ガス) を表し、”CAFE”はCorporate Average Fuel Economy(企業別平均燃費)を表します。

地球温暖化抑制のためには、温室効果ガスの増加を防がなければなりません。
エンジンを用いる車両の燃料(ガソリン、軽油など)は炭化水素化合物で、燃料が燃焼して排出するCO2は燃料消費量に比例するため、車両から排出するCO2を削減するために、車両燃費の規制を行います。
 

車両から排出されるCO2だけを考えればOK?

車両に関するCO2については、車両から排出するCO2のみではなく、車両でのエネルギー(燃料、電気)を生成する過程で発生するCO2にも配慮が必要です。

すなわち電気自動車EV用の電気が、フランスのように多くを原子力発電でまかなっていれば、車両とエネルギー生成過程を合わせた総 CO2は低減できますが、火力発電などに電気供給を依存する場合は、電気の生成工程で多くのCO2が発生します。つまり各国の電力政策とも関係するということなります。

エネルギー生成過程で発生するCO2を‘well注1 to tank注2 CO2 ’、車両から排出するCO2’ tank to wheel注3 CO2と呼びます。
逆にバイオ燃料などを用いる場合には、原料の植物の段階でCO2を吸収しますので、車両で排出する分と相殺できます(カーボンニュートラルと呼びます)。
但しバイオ燃料でも、燃料生成の方法によっては生成工程で多くのCO2を発生します。

[注1 well:井戸・エネルギー源、 注2 tank:車両燃料タンク、 注3 wheel:走行車輪]

 

CO2以外のGHG抑制も重要

CO2以外の温室効果ガスとしては、メタン、代替フロンなどがあります。
メタンや代替フロン(例えばHFC-32)の温室効果は、それぞれCO2の、25倍、675倍と大きいので、これらの抑制も重要です。

 

そしてCAFE規制と企業平均燃費

CAFE規制では、各企業としての総販売車両の平均燃費で規制されるため、燃費改善技術の投入だけでなく、車種の構成(燃費の良い小型車の割合)も含めた戦略が必要となります。

規制値を達成できない場合は、未達成分に比例するペナルティ(罰則金)が課せられます。
一方、超過達成の場合には、‘クレジット’として保持(例えば3年間)できます。
未達成企業は、ペナルティを支払うか、他社からクレジットを購入しなければなりません。

例えば、欧州の事例では、2021年までに企業別平均CO2[95g/km]の達成が必要となります。
単位のg/kmは、測定走行モードに発生する走行距離当たりのCO2重量を表しています。
ペナルティは規制値を1g/km超えるごとに、総販売車両数量 × 95ユーロ の支払いとなります。
車両の種類によっても異なりますが、CO2[95g/km]を日本でなじみのある、km/l単位の車両燃費に換算すると、おおよそ24.4km/lに相当します。

エンジンのみで走る車両(特に重量車)では相当厳しいレベルですので、企業平均燃費の向上には、電気自動車EVの販売数量割合を増やす必要があります。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)

 


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