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まずは、Wi-Fi(ワイファイ)の話をしたいと思います。スマートフォンを使われている方はもうすでにご存じの方は多いと思いますが、しばらくお付き合いください。
皆さんは、最近特にWi-Fiという言葉を街中やTVなどで耳にすることが多いと思います。
このWi-Fiは無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)の中の一つの規格で、2000年代の初めに標準化活動が開始しましたものです。
無線LANの規格にIEEE802.11というものがありますが、これがWi-Fiにあたります。
IEEEとはアメリカに本部を置く技術標準機関です。またWi-Fiの普及促進を行う業界団体としてWi-Fiアライアンスという団体があり、相互接続のための試験方法や、認証などを行っています。一般的にWi-Fi対応の製品は、下図のような認証済みロゴが表示されています。
Wi-Fiに対応する機器は、Wi-Fiルーターをはじめ、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット、プリンター、デジタルカメラ、テレビ、レコーダー、ゲーム機器など多岐にわたってあります。
これらは、一般的に機器が、Wi-Fiルーター(アクセスポイント)を経由して相手の機器と繋ぐ機器間通信や、インターネットなどの外部のネットワークと接続を行ってデータ通信を行います。
そしてセキュリティ設定がなされたWi-Fiルーターには、それぞれを識別するSSID(Service Set ID)および暗号化キーを有しています。
皆さんは、スマートフォンやPCのWi-Fiの設定画面などに電波の届く範囲のSSIDなどが表示されるのを見たことがあるかと思います。
このWi-Fiルーター(SSID)に接続するために暗号化キーが必要となり、入力操作を自動、手動で行います。
現在普及しているWi-Fiの規格には、以下のようなものがあります。
周波数帯は、主に2.4GHzと5GHz帯を使用しています。
伝送距離としては、屋内で直線距離(半径)50m~100m、屋外で障害物などない場合には300mくらいでの通信が可能です。
また、通信の信頼性を確保するセキュリティにおいては、暗号化キーによる暗号化方法は「WEP」、「TKIP」、「AES」などがあり、セキュリティレベルが高いのが「AES」です。
「Wi-Fiダイレクト」とは、Wi-Fiルーターを中継せずに機器間を直接つなぐことを実現したもので、2010年にWi-Fiアライアンスが技術仕様を策定し、2014年にはさらに機能拡張を行いました。
これに対応した製品も出ており、PC、スマートフォン、カメラ、プリンター、デジタルテレビ、ブルーレイディスクプレイヤーなどが発売されており、これらの機器には”Wi-Fi CERTIFIED Wi-Fi Direct®“というロゴが表示されています。
Wi-Fiダイレクト対応機器を使うことで、特別な環境を必要とせずに機器間通信によって、印刷サービス、情報の共有、表示などを簡単に実現することが可能になります。
機器間接続は、Wi-Fiダイレクトに対応する機器が少なくとも一つあれば、1対1のみならず複数の機器間(同時には1対1のみ)で接続が可能です。
このとき、Wi-Fiダイレクトに対応する機器はアクセスポイントの機能を有しており、機器間を接続する際にいずれかがこのアクセスポイントの代替として機能します。この代替機器を「グループオーナー」と呼びます。
このアクセスポイント機能は、ソフトウェアにより実現するもので「ソフトウェアアクセスポイント」とも呼ばれます。
ここで注意点したいことは、Wi-Fiダイレクトと無線LANのアドホックモードとの違いです。
無線LANには、アクセスポイントを用いるインフラストラクチャモードと、アクセスポイントを用いず、直接に機器間をつなぐアドホックモードがあります。
この時のアドホックモードは、「ピアツーピア接続」ともいわれており、予めLANアダプタ設定でESSID(Extended Service Set ID:複数のアクセスポイントに跨る拡張識別子)を一致させる必要があります。これによるアクセスポイントなしの直接接続による動作を行います。
これに対して、Wi-Fiダイレクトでは”WPS”(Wi-Fi Protected Setup)の規格により機器同士の暗号化設定を自動で行うことで容易に接続し、ソフトウェアによるアクセスポイント機能を有した直接接続による動作となります。機器間の暗号化設定は、機器のWPSボタンによる方法とPINコードの入力による方法があります。
Wi-Fiダイレクトと無線LANのアドホックモードでのいずれでも、プリンター接続やファイルの共有が可能になる点は同じですが、Wi-Fiダイレクトは、接続動作上はこのように接続が容易であり、Wi-Fi規格による暗号化によってセキュリティが向上すること、また(同時ではありませんが)複数の機器間で接続が可能になる点などが異なります。
Wi-Fiダイレクトに関しては、Wi-Fiアライアンスにおいて以下のような機能が提供されています。
このように、Wi-Fiダイレクト機能を有する機器が少なくとも一つあれば、例えばスマートフォンやPCからプリンターに直接印字したり、モニターに表示を行ったり、またスマートフォンとPCとのファイル共有なども容易に実現することができ、機器間の利用アプリケーションが広がっていきます。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)