【QC検定3級対策】方針管理と日常管理の違いは?仕組みづくりのポイントも解説
QC検定は、JSA日本規格協会グループが主催する品質管理の知識を問う筆記試験です。
内容は品質管理とは何か?から始まり、改善活動の基礎知識、統計的なプロセス管理など多岐にわたります。
受験者数は年々増加しており、毎年の受験者数が10万人を超える製造業ではメジャーな試験です。
[※関連記事:【技術系資格ナビ】QC検定(1〜4級の難易度/合格率/勉強方法/メリット)はこちら]
この連載では、各級の頻出範囲について例題を交えて解説を行います。この連載を通じて、QC検定の受験準備をしてみましょう。
3級の試験範囲は日本規格協会のHP(品質管理検定レベル表)をご確認ください。
【3級解説:第11回】方針管理・日常管理
今回は3級の試験範囲(実践分野)から「方針管理・日常管理」を解説します。
(1)方針管理
「方針管理」とは、企業の経営目的を達成するための根本となる計画です。
「経営方針」「中長期経営計画」「Vision」など企業によって様々な名称がありますが、経営活動のおおもととなる計画です。企業はこの計画をもとに事業計画や投資計画など企業全体の活動を決めていきます。
方針管理の仕組みづくり
方針管理はPDCAサイクルが回るように仕組みをつくることが重要です。
企業における方針管理の仕組みの一例を示します。
方針の決定(P)
- 経営環境を分析し、企業の問題点と重点課題を明確にする。
- 定量的・具体的な目標にする。
- 管理項目、目標値、達成期間を明記する。
方針の展開・実施(D)
- 方針を達成できるような経営資源配分や組織体制をつくる。
- 部門間をまたがるテーマについては、部門横断チームを編成し連携を強化する。
- 各組織の目標を達成することで、全体の目標が達成できるようにする。
実施状況の確認と処置(C)
- 目標が達成できない、計画通りに実行されていない現象を早期に発見できる仕組みをつくる。
- 経営トップや部門長は定期的に方針の実施状況や目標の達成状況を診断する。
実施状況のレビューと時期への反映(A)
- 期末や年度末には、その期の方針の実施状況を総合的にレビューし、長期的な方針や経営環境を踏まえて次期の方針に反映させる。
(2)日常管理
「日常管理」とは、方針管理ではカバーできない日常の業務に取り組むための仕組みです。
例えば、製造業の検査課で行う「手順書通りの日常検査業務」などをイメージするといいでしょう。
日常管理の仕組みづくり
日常管理でもPDCAサイクルを回すように仕組みをつくります。
手順書や標準類で作業を計画し(P)、日々の作業を行い(D)、結果を評価(C)します。
この結果に対し、さらに高水準の管理ができるよう改善を行ったり(A)、問題があった場合には通常に戻す是正処置(A)といった活動を行います。
日常管理の実施にあたっては下記をあらかじめ決めておくことが重要です。
- 各部署の役割(職務分掌)
- 作業に対する「管理項目」「管理水準」「目標」
- 異常発見時の処置方法や役割分担
- 目標を達成するための改善活動の計画
それでは例題にチャレンジしてみましょう。
《例題》
下記の文章はそれぞれ方針管理、日常管理どちらについて述べたものか選べ。
(1) 社長が経営計画の実施状況について確認した。
(2) 経営企画室のA氏は、市場動向などを調査し経営計画を立案した。
(3) 検査課にいるB氏は、検査結果が管理水準を満たしていることを確認した。
(4) 製造課のC課長は、工場目標とその達成状況を課員に説明した。
(5) 製造本部長D氏は、部門間をまたぐテーマについて部門横断チームをつくって連携を強化した。
(6) 製造課のE氏は製造した製品が工程検査で不合格になったため、手順書に従って上長や他部署に連絡して、対策会議を開催した。
《例題》[解答と解説]
まとめ
今回は実践分野の3回目「方針管理・日常管理」について解説しました。
次回は「プロセスの品質保証」について解説します。
今回出てきた日常管理に関する具体的な内容ですので、関連付けて覚えるといいでしょう。
(アイアール技術者教育研究所 A・K)