加工条件の変更は安易に進めるべからず(技術者べからず集)
既存の条件の安易な使用で手を抜くべからず
新製品を立ち上げる時に、その製品の特徴をよく考えないで、“既存製品の加工条件を単にコピーし、工程能力、耐久などの品質評価がOKなら流動しても良い”としてしまうケースがあります。
その結果、生産立上げ後に工程内不具が多発し、納入不良の再発を繰り返すこともあります。
この理由は、新製品の品質評価項目に、既存製品と異なる点が多く潜んでいる場合があるからです。
このようなトラブルを防ぐには、新製品の機能をまず徹底的に確認し、設計、品質、生産技術が十分に連携しあい、事前に設計DR、製造DRを実施する必要があります。
崖っぷちを歩くべからず
重要機能に関係する加工条件は、どこまでが良品になるのか、崖っぷちを見極めることが肝要です。
よくあるミスは、“たまたま設定した加工条件が製品規格内になり、品質評価も全てOKで問題なし” としてしまうことです。
しかし、その加工条件は、不良になる崖っぷちの危険条件となっている場合もあります。これは崖っぷちを、ぎりぎり歩くのと同じです。
対策としては、どこまでが良品なるのかテストを繰り返し、良品領域をしっかりと把握することが大切です。例えば、成形条件などは成形温度、圧力などの要因ごとに条件を振り、わざと不良になる規格外の領域までテストし、不良となる崖っぷちを見極めます。最終的な加工条件は、良品領域の中心で設定します。これなら崖からも遠いから安心です。
加工条件変更時は確認を怠るべからず
加工条件変更時は確認を怠るべからず設備のサイクルタイムの短縮など、品質関係以外の目的で、加工条件を変更することがよくあります。
この結果、生産効率が向上し、満足!とはならずに、不良の山となってしまうことがあります。
この原因として多いのは、“サイクルタイムがどの程度短縮したか”などの確認のみで終わり、うっかり品質確認を忘れてしまうケースです。
加工条件を変更する場合は、変更によって品質に影響する項目を全て洗い出し、加工条件変更後は、関連項目の品質確認が必要なのです。
(アイアール技術者教育研究所 T・I)