面圧、ヘルツ応力、そしてpv値
接触している二つの物に圧力が作用している場合、単位面積当たりに加わる圧力を「面圧」と呼びます。
荷重を接触面積で割れば面圧となりますが、例えば金属のように弾性を持つ材料では、荷重により変形が生じるため、接触して荷重負荷がかかる前と後では接触面積が変わります。
この変形を考慮した局部接触面圧を「ヘルツ応力」(Hertz’s stress)と呼びます。
1881年にハインリッヒ ヘルツが計算式を導き出したためにこのように呼ばれることになりました。
曲面と曲面の接触
一番単純な接触は、平面と平面の接触ですが、一番複雑なのは曲面と曲面の接触です。
ヘルツの式では、弾性により変形した接触面を楕円とし、この楕円により集中荷重を受けるとしています。
この楕円は、二つの曲面の曲率と、二つの材料の弾性特性、すなわち縦弾性係数E(MPa)とポアソン比νによって求められます。
求められた楕円の長径aと短径bを用い、発生する最大面圧P0は以下の式で得られます。
P:集中荷重(N)
a:長軸半径(mm)
b:短軸半径(mm)
真の接触面積
接触部をミクロ的に見ると表面粗さがあり、さらに粗さの密度があります。
粗さの測定には、実際の粗さの形状(プロファイル)を測定して、決められた定義によりRzなどの粗さの数値を得ますが、あるカット量で粗さの山谷(プロファイル)を高さ方向に切った時にカット面の長さの比率がどのくらいになるかをプロファイル接触比と呼びます。
例えば粗さの山が、接触によってカット量だけつぶれたとすると、カット面の長さの分で接触していることとなります。
プロファイル接触比が80%であれば、見かけ上の接触面積Sに対して、真の接触面積は、0.8XSとなります。この場合の真の最大面圧P0は、P0/0.8です。
pv値と剥離
金属部品が金属部品に対して摺動しており、負荷が高い場合に、まずは摩耗し、その後に疲労剥離します。
その時の疲労限界は、潤滑状態が同じであれば、pv値と呼ばれる値に比例します。
pは面圧、vは摺動速度です。この場合のpは、真の最大面圧を考えなければなりません。
(アイアール技術者教育研究所 H・N)