非晶性の高分子フィルムの延伸と構造緩和【提携セミナー】
開催日時 | 未定 |
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担当講師 | 田中 穣 氏 |
開催場所 | 未定 |
定員 | 未定 |
受講費 | 未定 |
非晶性の高分子フィルムの延伸と構造緩和
熱量測定とその解析を主にしたエンタルピー緩和研
【提携セミナー】
主催:株式会社R&D支援センター
◆セミナー趣旨
多くの高分子材料はガラス転移を示し、冷却によってガラス状態となる。高分子のガラス状態は熱力学的な平衡になっていない凍結状態であり、液体らしい性質、固体らしい性質の両方が現れる。これを示差走査熱量計 (DSC)の方法で観測すると冷却時の条件(温度の履歴で表される)に応じて著しく異なる結果が得られる。とりわけ比熱データ(Cp.カーブ)で測定結果を表わしたとき、試料のサイズ、形態、温度履歴によってガラス転移温度付近で安定したベースラインが得られないなど、しばしばデータ解釈において難題が生ずる。
本セミナーでは、こうした難題について「ガラス転移は緩和現象の一つ」という観点から取組み、系統的な解析を可能とする実験手法をとり扱う。さらに高分子物理で汎用される数学モデルを基盤としたモデル計算によってCp.カーブを再現する手法について解説する。合わせて、冷却の過程で変形を受けた試料についてCp.カーブの再現を明示して、この分野に関する今後の展望を示す。
◆習得できる知識
汎用プラスチクスおよび高分子を対象とした、示差走査熱量計 (DSC)測定によるガラス転移温度の測定手法、解析手法を修得できる。
スライドで示す研究データは、おおむねシアノビフェニルのくし形ポリマーとポリスチレンに限られている。
汎用プラスチクスを広範囲に網羅したものではない事、留意されたい。
◆受講対象
- プラスチック・樹脂関係の研究開発において、高分子のガラス転移が関係する熱分析(DSC)データの解釈および解析にたずさわる技術者。
◆必要な前提知識
(1)物質の三体変化と分子の熱運動について、高校物理程度の予備知識。
(2)高分子の定義と分類、重合度と分子量の分布、高分子の集合状態と性質についてある程度の予備知識。
(3)熱分析(DSC)データの解析のために、多種類の数式を使用する。高校卒業程度の数学の知識とスキルを用いてデータ解析する。
これらの知識に乏しい場合でも、随時、質問に答える形式で補足して受講者の理解を促すようにセミナーを進める。
◆キーワード
高分子,フィルム延伸,ガラス転移,DSC,エンタルピー,セミナー,講演,研修
担当講師
福井大学大学院 工学研究科材料開発工学専攻 准教授 博士(理学) 田中 穣 氏
【ご専門】高分子力学物性
【ご経歴】
1995年 北海道大学大学院理学研究科博士後期課程修了 博士(理学)
1996年 新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)技術研究員
1997年 福井大学工学部 助手
2001年 福井大学工学部 講師
2009年 福井大学大学院工学研究科 准教授
現在に至る、この間、
2001年 日本MRS学術シンポジウム奨励賞
2002年~2003年 英国マンチェスター大学博士研究員
2007年 文部科学省海外先進研究実践プログラム(英国リーズ大学研究員)
【総説、解説書】
(1) 動的粘弾性測定による高分子ゲルの架橋状態評価
動的粘弾性測定とそのデータ解釈, 第4章, p.346 -351,株式会社技術情報協会(2021)
(2) 非晶性高分子の熱的性質と温度履歴の影響
押出成形の条件設定, 第1章 3節, p.19-31, 株式会社技術情報協会(2019)
(3) 高分子フィルム材料の延伸と熱的性質との相互関係
延伸による高分子の構造と物性制御, 第二章第13節, p.103–111, 鞠谷雄士(監修), S&T出版(2021)
セミナープログラム(予定)
(1). 緒言 – 高分子のガラス転移
(2). 高分子とは何か、低分子に見られない性質
2-1. 高分子の定義
2-2. 重合度と分子量の分布
2-3. 高分子の集合状態と性質
(3). ガラス状態
3-1. 高分子の熱的振る舞い
3-2. 過冷却状態と仮想温度
3-3. ゴム状態とガラス状態
3-4. 高分子のガラス転移温度 (Tg)
(4). 示差走査熱量測定 (DSC)
4-1. DSC曲線とその表示方法.
4-2. 基線(ベースライン)の引き方とピーク面積
4-3. DSC.データからCp.データへの変換法
(5). ポリスチレンのエンタルピー緩和
5-1. 温度履歴と構造緩和, エンタルピー緩和
5-2. 代表的な三種の温度履歴
5-3. 緩和したエンタルピーとその平坦値
5-4. 緩和関数の算出と換算変数による解析
5-5. 他の高分子との比較
(6). 重ね合わせの原理
6-1. ガラス転移と粘弾性
6-2. 粘弾性の温度依存性と
6-3. 時間-温度換算則とWLF.式
(7). くし形ポリマーのエンタルピー緩和
7-1. 温度履歴とエンタルピー緩和
7-2. エンタルピー(内部エネルギー)の減衰
7-3. 活性化エネルギースペクトルによる解釈.
(8). ポリスチレンのエンタルピー緩和と緩和を示す数学モデル
8-1. 数学モデルと緩和量の予測
8-2. Cp.データのモデル計算の詳細解説
8-3. 計算データと実測データの比較ならびにデータフィッティング
8-4. モデルパラメータとCp.データの関係
8-5. 適正なモデル計算のために
(9). ポリスチレンの物理エージングとエンタルピー緩和
9-1. 冷却と延伸による物理エージング
9-2. 延伸試料のDSC測定
9-3. 延伸とTg の関係
(10). 結言 – エンタルピー緩和の研究から学べること
公開セミナーの次回開催予定
開催日
未定
開催場所
未定
受講料
未定
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